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死者の仮面

「……どうして、生きてるんだ?」


Heroの声が、

暗いスタジオに響いた。


男は答えずに

ただ、口元だけをわずかに歪める。


Jokerが目を細めた。


「いやいや……待ってよ!」


一歩、前へ出る。


「俺たちが見た報告じゃ、あんたは――」


「死んだ…だろ?」


男が遮った。


「そういうことになっている。」


Knightの表情が険しくなる。


「じゃあ、あの遺体は誰だった?」


「そこまでは…知らない。」


「ふざけるな!」


Knightが睨みつけるが

男は動じない。


「俺は一度、名前を捨てたさ!

顔も、過去も、全部な…』


Mirageが静かに尋ねる。


「NoFaceなの?」


男は首を横に振った。


「違う。

俺はNoFaceじゃない。」


「なら、何者なの?」


男はしばらく黙っていた。


そして――


「案内人だ」


その言葉に、

Heroが眉をひそめる。


「案内人?」


「ああ…

NoFaceは人を消す。

俺は、その先へ案内する。」


Dollが不安そうに湊を見る。


湊は意味が分からず、

首を横に振った。


その時だった。


Maskが端末を操作する。


「……待ってください。」


「何だ?

この人物……過去の事件資料と一致します。」


画面に男の情報が表示される。


しかし、そこには一つだけ奇妙な点があった。


**死亡確認――該当人物なし。**


Maskが息を呑む。


「死亡したという記録そのものが……

偽装されています。」


Jokerが振り返る。


「じゃあ、最初から死んでなかったってことか?」


「はい。」


「誰かが死亡したことにした…」


Heroは男を見る。


「誰が?」


男は答えない。


代わりに、

スタジオの奥へ視線を向けた。


「見せたいものがある。」


男についていくと、

地下へ続く階段が現れた。


古びた階段を下りる。


一段

また一段

やがて地下室へ到着する。


そこには――

大量のモニターが並んでいた。


壁一面に映し出されているのは、

様々な人物。


配信者

コスプレイヤー

芸能関係者

企業の役員


そして――

裏社会の人間


Maskが呟く


「……監視システムね?」


「これだけの人数を、

ずっと監視していた?」


男が答える。


「NoFaceは、人を選ぶ。

だが、選んだ後に必要なのは監視だ。」


Mirageがモニターを見る。


「じゃあ、失踪した人たちは……

殺されたとは限らないってこと?」


全員が男を見る。


「どういうこと?」


Dollが尋ねると

男は一つのモニターを操作した。


映像が切り替わる。


そこに映ったのは――

星宮レイ。


「……レイ!」


湊が駆け寄る。


画面の中のレイは、

見知らぬ部屋にいた。


椅子に座っているが

手足は拘束されていない。


ただ、どこか疲れた表情をしていた。


『……湊……?』


湊の目が見開かれる。


「レイ!」


思わず画面へ手を伸ばす。


『聞こえてるの?』


「レイ!」


しかし映像の中のレイには声が届かない。


男が静かに言う。


「彼女は生きている。」


湊は振り返った。


「どこにいる!?」


「それは俺にも分からない。」


「分からないって……!」


湊が詰め寄ると

男は静かに続けた。


「この映像はリアルタイムじゃない。

数時間前の記録だ。」


「じゃあ、今は……?」


「移動させられた可能性がある。」


湊の顔が青ざめると

Heroが男に近づいた。


「お前は何を知っている?」


男はHeroを見つめる。


「NoFaceの目的を知りたいか?」


「ああ。」


「なら、これを見ろ。」


男が別のモニターを起動する。


そこには――

六人の写真が並んだ。


Hero

Joker

Doll

Mirage

Knight

Mask


その下には、

それぞれの活動記録が書かれていた。


「……俺たちを調べてた?」


Maskが呟くと

男は首を横に振る。


「やったのは俺じゃない。

全部NoFaceだ。」


「お前たち六人は、

以前から監視対象だったってことだ…」


Heroの表情が変わる。


「俺たちが結成される前からか?」


「ああ。」


Jokerが驚く。


「じゃあ、CKRそのものが狙いだったってこと?」


男は頷く。


「そうだ。」


「NoFaceは、

君たちが事件を解決するたびに観察していた。」


「なぜ?」


Mirageが聞くと

男は一つのファイルを開いた。


そこには、

過去の事件記録と

その中央に一つの名前があった。


**COSKILLER**


「NoFaceは、君たちを壊したいわけじゃない。

むしろ――」


男が言う。


「君たちを、自分の側へ引き入れたいのさ…」


沈黙。


Jokerが笑った。


「……冗談でしょ?」


「俺たちを?」


「ああ。

君たちは、普通の人間じゃない。」


「裏社会で仕事をし、

仮面を被り、警察が動かない人の罪を裁いてきた。」


男はHeroを見る。


「NoFaceは、君たちを同類だと思っている。」


Heroは即答した。


「俺たちはあいつとは違う!」


男が笑う。


「そう言うと思った。

だから――」


モニターが突然切り替わる。


白い仮面…

NoFaceだ。


『こんばんは。』


全員が画面を見る。


『やっとここまで来たね。』


Heroが画面に向かって言う。


「レイを返せ!」


『もちろん。』


「なら、場所を言え!」


『その前に――』


NoFaceはゆっくり仮面へ手を添えた。


『君たちに、一つだけ見せたいものがある。』


画面が切り替わる。


そこには――

CKR事務所。


そして、

その前に立つ一人の人物。


「……!」


Dollが息を呑んだ。


「事務所……?」


NoFaceが言う。


『今、君たちの帰る場所には――』


一拍。


『誰もいない。』


Heroの目が鋭くなる。


「どういう意味だ?」


『君たちがここへ来ている間に、

私はもう一つの仮面を剥がした。』


「もう一つ?」


『そう。

君たちの仲間ではない。

でも、君たちが

一番大切にしている場所にいる人物だ。』


Heroが黙る。


そして――


事務所の映像が一瞬乱れた。


ノイズの向こうに、

誰かが映る。


Dollが小さく声を漏らす。


「……あれ……?」


映像の人物は――


**CKR事務所のスタッフ用カードを持っていた。**


Maskがすぐに解析を始める。


「……これは。」


Heroが振り返る。


「どうした?」


Maskの顔から血の気が引く。


「この人物……」


「俺たちが普段、

事務所で会っている人です。」


全員が凍りつくと

NoFaceの声が響く。


『さて。

君たちは誰を信じる?』


画面が暗転した。


そして最後に、

一つだけ文字が浮かび上がる。


**『次に仮面を剥がされるのは――CKRだ。』**


Heroは無言で画面を見つめ

やがて、ゆっくりと振り返った。


「戻るぞ!」


Jokerが頷く。


「今度は、俺たちの番ってわけだな!」


Knightが拳を握る。


「事務所を守るぞ!」


Mirageも立ち上がる。


「そして、レイを取り戻す!」


Dollは湊を見る。


「湊くん、行ける?」


湊はカメラバッグを握りしめた。


「……行きます。

レイを、絶対に連れ戻す!」


Heroは六人を見渡す。


「よし…

ここからは――」


仮面を被る。


「俺たちが追う。」


地下室を出ていく七人


その背後で、

男は一人残った。


「……気をつけろ。」


誰もいなくなった部屋で、

男は小さく呟く。


「NoFaceが本当に欲しいのは……」


モニターに映る六つの仮面を見つめる。


「CKRの命じゃなくて

――その仮面の向こう側だ。」


そして

遠く離れた場所で

白い仮面の男が静かに笑っていた。


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