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COSKILLER (コスキラー)―CKR(シクル)―  作者: 黒薔薇
男性コスプレイヤー失踪事件 
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20/54

すれ違う仮面

北館二階の撮影エリアでは

人気作品の大型併せが始まり、

広場は大勢のレイヤーとカメラマンで

埋め尽くされていた。


色鮮やかな衣装が行き交い、

あちこちでシャッター音が鳴り響く。


そんな熱気の中、

CKRの六人はそれぞれ別行動を取りながら

会場を捜索していた。


HeroとKnightは会場全体の警戒をし

Maskは監視カメラやSNSの解析を担当し

Mirageはレイヤーへの聞き込みをさりげなく行い

Jokerは人気レイヤーとして目立ち、

情報を集める囮をしてくれている。


そしてDollは、

美月の護衛として守ってくれている。


「人、多いですね……」


美月は少し緊張した様子で辺りを見回す。


それを見てDollは優しく微笑む。


「大丈夫よ?

今日は私たちがついてるんだから♪」


美月は小さく頷いた。


「……はい」


---


その頃

Jokerの前には撮影待ちの列ができていた。


「Jokerさん! こっちお願いします!」


「はい、次いきまーす!」


笑顔でポーズを決めるたび、

周囲から歓声が上がる。


『相変わらず人気だな?』


Heroが通信で呟く。


『仕事だからね♪』


Jokerは笑って返す。


『目立てば情報も集まるし

さっきも奏斗さんを知ってるレイヤーが三人いたよ。

あとで詳細の報告する。』


「頼む。」


その時だった。


『Hero』


Maskの声が通信へ割り込む。


「どうした? Mask」


『"Snow White"のアカウントが更新されました。』


会話が止まる。


『投稿は二十秒前に写真が一枚

被写体は……Jokerです。』


「俺?」


Jokerが思わず周囲を見回す中

Maskは続けた。


『コメントは一言』


「今年も、美しい人を見つけたわ♡」


Knightが低く呟く。


『完全に獲物を探しているな…』


Mirageも眉をひそめた。


『まるで品定めね…』


Heroは即座に指示を飛ばす。


「Mask、投稿位置を特定しろ!」


『了解。』


数秒後


『北館二階、西側撮影スペース

ここから約五十メートルです。』


「近いな…」


Heroはイヤホンを押さえた。


「全員、西側へ集合」


『了解。』



一方、その頃

西側撮影スペースでは

純白のロングウィッグを被った一人の女性が、

人混みの中で静かにカメラを構えていた。


白いコートに

白いブーツ

誰が見ても美しい女性レイヤー


しかし、

その瞳だけは異様な熱を宿していた。


カシャ


液晶にはJokerの笑顔


カシャ


Hero


Knight


Mirage


Mask


Doll


そして最後に、美月


女性はその写真だけを拡大した。


「……やっぱり」


優しく微笑む。


「奏斗くんに似てるわね♡」


バッグから小さなアルバムを取り出すと

そこには、

失踪した男性レイヤーたちの写真が

一枚一枚大切に収められていた。


イベントで笑う姿や

撮影中の姿に

仲間と談笑する姿。


どれも丁寧に整理され、

まるで宝物のようだった。


最後のページだけが空白になっている。


そのページには、

鉛筆で小さく書かれていた。


**『KANA』**


女性は静かに微笑む。


「あと…もう少し…

もう少しで完成するわ♪」


「あなたも私だけのコレクションになるのよ♡」


その瞬間だった。


美月が急に立ち止まる。


「……また感じる…」


Dollが振り返る。


「どうしたの?」


「誰かに……見られてる。」


Dollも周囲を見渡す。


その時

人混みの向こうで、

一瞬だけ白いコートの女性と目が合った。


女性は微笑み、

小さく会釈する。


「……!」


Dollが一歩踏み出した瞬間


「Hero!」


通信機へ声を飛ばす。


「見つけたわ!

白いコートの女性よ!」


Heroが駆け出すと

Knightも続く。


Mirageは別ルートへ回り込み、

Jokerも撮影列を抜けて走り始めた。


しかし


「きゃっ!」


近くで女性レイヤーが誰かとぶつかり、

小道具を落とす。


人混みが一斉に動き、

視界が塞がれた。


ほんの数秒

その隙だった。


白いコートの女性は角を曲がる。


Heroたちもすぐに後を追う。


だが――

通路の先にいたのは、

黒髪ショートの女性だった。


白いコートも、

白いウィッグも消えている。


「……いないぞ?」


Jokerが息を切らす中

Maskが監視カメラ映像を確認する。


「映っていますよ?」


全員が画面を見ると

映像には、

白いウィッグの女性が角を曲がる姿が映っている。


しかし数秒後、

そこから現れたのは黒髪の女性で

服装まで変わっていた。


Knightが眉をひそめる。


「編集じゃないな…」


「違いますね…」


Maskは静かに答えた。


「角の死角でウィッグと上着を脱いでいます。

これは…早着替えです。」


Mirageが小さく息を吐く。


「レイヤーだからこそできる変装……」


Heroは映像を見つめたまま呟いた。


「俺たちと同じだな…

変装を武器にしている。」


人混みのどこかで

黒髪になったその女性は、

静かに振り返る。


「ふふ……」


「やっぱり…

あなたたち、面白いわね♪」


そう呟くと、

再び何事もなかったかのように

イベント会場へ溶け込んでいった。



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