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COSKILLER (コスキラー)―CKR(シクル)―  作者: 黒薔薇
男性コスプレイヤー失踪事件 
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19/54

視線の主

イベント開始から二時間

会場の熱気はさらに増していた。


撮影スペースでは

カメラのシャッター音が絶え間なく響き、

人気レイヤーの周りには人だかりができている。


その中でも、

ひときわ多くの人を集めていたのは

Jokerだった。


「Jokerさん! こっち向いてください!」


「ありがとうございます!」


「次、ツーショットお願いできますか?」


「もちろん!」


次々とポーズを変え、

自然な笑顔で応じるJoker


その姿に、

Heroは通信機越しに小さく息をついた。


『……相変わらず目立つなぁJoker』


『人気者だからね♪』


Jokerは笑いながら答えた。


『でも、そのおかげで話しかけてくる人も多いよ?』


『さっきも奏斗さんを知ってるレイヤーが

何人かいたから

あとでまとめて報告する。』


「頼む。」


Jokerとの通信を切った

その時だった。


Maskの声が入る。


『Hero…』


「どうした?Mask」


『"Snow White"のアカウントが更新されました!』


全員の動きが止まる。


『投稿時間は……三十秒前』


Heroは眉をひそめた。


「内容は」


Maskは画面を見つめ

そして、

小さく息をのんだ。


『写真が一枚

今日のイベント会場です。』


『写っているのは……』


一瞬の沈黙。


『Joker』


「……俺?」


Jokerが思わず周囲を見回す。


『コメントには一言だけ』


Maskが読み上げる。


『今年も、素敵な人を見つけたわ♡』


空気が凍りつく中

Knightが低い声で言う。


『狙われたかもな?』


Heroは周囲を見渡した。


「Mask」


『はい。』


「投稿場所を特定できるか?」


『写真の角度から逆算します。』


キーボードを叩く音が続く。


数秒後


『北館二階の

撮影エリア付近です。』


「近いな……」


Heroはイヤホンに触れる。


「北館二階へ全員集合だ!」


『了解』


六人がそれぞれ人混みをかき分けながら移動を始める。


その頃

北館二階の片隅で

一人の女性がカメラの液晶を静かに眺めていた。


純白のロングウィッグに

白いロングコートを羽織り

端正な顔立ちをしている。


周囲から見れば、

ただの美しいコスプレイヤーだが

その視線だけは異様だった。


液晶に映るのは、

笑顔で撮影に応じるJoker


女性はその写真を指先で優しくなぞる。


「……綺麗ね♪」


小さく微笑む。


「でも…

今回はあなたじゃないの…」


カメラをゆっくりと横へ向けると

レンズの先にいたのは、美月だった。


兄が作った衣装を身にまとい、

Dollと笑い合っている。


女性は目を細める。


「その衣装……

奏斗くんの作品ね?」


「やっぱり、あなたが妹だったんだ。」


口元がゆっくりと吊り上がる。


「会いたかったわ♡」


その笑みには、

温かさなど一切なかった。


愛おしそうに見つめる瞳の奥には、

底知れない執着だけが宿っていた。


一方その頃


Heroたちは、

まだその視線の存在に気付いていなかった。


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