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COSKILLER (コスキラー)―CKR(シクル)―  作者: 黒薔薇
死刑囚の元コスプレイヤー 久我 誠司(くが せいじ)
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14/54

仮面の向こうへ

夕暮れに

裁判所を出た六人は、

しばらく無言で歩いていた。


空は茜色に染まり、

昼間の重い空気が少しずつ溶けていく。


最初に口を開いたのはJokerだった。


「……終わったね。」


誰に言うでもない、

独り言のような声だった。


Dollが小さく頷く。


「うん。」


Mirageが空を見上げる。


「長かったわね。」


その一言に、皆が静かに同意した。


Knightが腕を組む。


「結局、あいつは死刑じゃなくなった。」


「そうだね?」


Jokerが言う。


「でも、罪が消えたわけじゃない…」


Maskも静かに続ける。


「妹のことも、犯した罪も、全部残ったし…」


しばらく沈黙が流れる。


そして

Heroが立ち止まった。


五人が足を止める。


Heroは夕焼けの向こうを見つめながら言った。


「……それでいい。」


全員が彼を見る。


「忘れられない真実が残る。」


「それが、今回の答えだった。」


誰も反論せず

Dollが少しだけ笑う。


「久我くん、最後に笑ってたね♪」


「ええ…」


Mirageが頷く。


「あれで全部解決したわけじゃないけど…」


「でも、少しだけ前を向けた。」


Jokerが両手を後ろで組む。


「美咲ちゃんのこと、七人で覚えてるしね♪」


Knightが短く言う。


「八人だろ?」


「ん?」


「高橋もいる。」


一瞬の静寂。


そして


「……あ。」


Jokerが吹き出し

Dollもくすっと笑う。


Mirageの口元も少しだけ緩んだ。


Heroも、ほんの少しだけ目を細める。


風が吹く。


そのとき

ピロンと

電子音が鳴った。


全員が振り向くと

Maskが端末を見ていた。


「……来た。」


空気が変わる。


Jokerが首を傾げる。


「何?」


Maskは画面を見つめたまま答えた。


「匿名の相談…」


Dollが瞬きをする。


「相談?」


「内容は?」


Maskがゆっくり読み上げる。


「『誰も信じてくれません。

兄が失踪しました。

警察は家出だと言います。

でも、私は違うと思っています』」


静かになった。


Mirageが尋ねる。


「送り主は?」


「十九歳の大学生。」


Knightが言う。


「事件かどうかは、まだ分からない。」


「そう…」


Mirageも頷く。


「ただの行き違いかもしれない…」


沈黙。


すると

Jokerが小さく笑った。


「でもさ…」


全員が見る。


「前にも、そんな話があったよね?」


誰もすぐには答えない。


そして。


Dollが小さく微笑んだ。


「……うん。」


『誰も信じてくれない。』


その言葉は、どこか懐かしかった。


HeroがMaskへ視線を向ける。


「他には?」


Maskが画面を操作する。


「最後に、一文がある。」


静かな声で読み上げた。


「『せめて、話だけでも聞いてください』」


夕暮れの中

誰も動かない。


そして

Heroが静かに言った。


「……行こう。」


「依頼を受けるの?」


Dollが聞くと

Heroは頷いた。


「ああ…」


一拍置く。


「まずは、話を聞くだけだ。」


Jokerが笑う。


「出た…リーダーの話聞くだけ」


Knightが小さく息を吐くと

Mirageがタブレットを閉じる。


Dollが両手を後ろで組むと

Maskが端末をしまう。


そして六人は、

夕焼けの中を歩き出した。


人は皆、

仮面を被って生きている。


だからこそ

その仮面の向こうで、

誰かが助けを求めているなら――。


彼らは立ち止まり、

耳を傾ける。


それが、

CKRのやり方だ。


六つの影が、

長く伸びていく。


そして、

新しい物語が静かに幕を開けようとしていた。


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