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モノリス・ギア  作者: 櫛名田
土都編
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69/71

レポート68:どうしようもないことをどうにかしようとして

翌日。例の儀式とやらまであと1日。さて…どう抜け出したものか。…という考えは少し薄れつつあった。

監禁生活、娯楽もふたりで遊ぶようなものばかり。

ネイティーンが不在の間は考える時間など無限にある。

大目標は、この地のギアの回収。だがそれは不可能に近くなっている。

なぜと問われれば簡単な話で、エルフが想定以上に強すぎた。

遠距離高火力。これが複数いるという時点で面倒な上に肉薄しても対応してくる。そんなのが複数いる中では多勢に無勢。

「ギアさえ…取れればな。」

モノリスのようにギアの力を自由自在に行使できる訳では無いが、僕の魔力を全力で流し込めば、自然と一体化しているこの国をめちゃくちゃにできるだろう。

問題点はまず、ギアの所在が不明なこと。世界樹の頂上、或いは根元にあるとは思うがどちらかは分からない。解析が使えればこうして監禁されている間にサーチ可能だが…やはり拘束義手が厄介。

能力も魔力行使も封じられている。これさえ無くなれば余裕だと言うのに。

悩んでいれば、陽気な鼻歌と軽い朝音。

ネイティーンの帰宅だ。壁に穴が開き、広がって入ってくる。

「ただいまー。いい子にしてた?」

「明日になればろくでもない事がされると察しが着いてるやつが大人しくできるかよ。」

投げつけるようにして投げたトランプの束は綺麗にネイティーンの方に飛んでいく。

「ひぃん…!」

しゃがんで避ければその先にあるのは、穴が塞がるように閉じかけている扉。それに巻き込まれたトランプは真っ二つになってその場パラリと虚しく落ちる。

「もーっ…危ないでしょ!めっ!!」

「ふん。」

「…まあ気持ちは分かるけどね。突然攫われてきて、儀式するって言われたら誰でもいやだよねぇ…」

「よく理解できてるみたいで。」

「…大丈夫。私が何とかしてあげるから。だから、出来れば暴れないで欲しいかなって。」

「大人しく死を待てって?」

「そうさせないって今言ったじゃん…っ!」

「敵があなたを殺さないから暴れないでって言って信用できると?」

「…んーっ…確かにそうかも。」

「なんのために僕を助けようとする?」

「なんで…かぁ。なんでだろうね。最初は、みんなが嫌がるお仕事回ってきたなぁーって思ってたんだけど。実際お世話してみると愛着湧いちゃった…って感じかなぁ?」

「そんなペットみたいな扱いなのかよ。まあ、その方がわかりやすいか。」

何処までが本気なのかも分からないからには情報は話半分で聞いておく方がいい。この状況下において信用に足りるのは事実として起きている現象。

そして置かれている状況の分析と手札の整理。

計画の立案。…まだまだ不確定要素は多いが…やれるようにやるしかない。今できることは、ろくに無い。

なれば答えは1つ。寝る。

「あれ…もう寝るの?珍しいね。」

「そういう気分の日もある。」

ベットに潜り込むと少し右に寄る。そうするとネイティーンは左側に入る。断ってもそうしようとしてくるので抵抗するのはもはや諦めた。

「…大丈夫?怖くない?」

「なんで?」

「だって…明日は儀式があるし…」

「何されるのかも知らなければ怖がりようがないし…それに、何とかしてくれるんでしょ?」

「そうだけど…私が失敗したらとか考えないの…?」

「考えた上でその時もどうしようもないって結論。」

「…強いんだね。」

「ほんとに強かったら今こうして囚われてないよ。」

「そうかな?…そうかもね。」

自然と互いに口数が減っていき、部屋は静寂が満たされていく。

明日、後は野となれ山となれ…どっちも自然系だからこっちには不利だな…

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