↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モノリス・ギア  作者: 櫛名田
土都編
PR
68/71

レポート67:姉と弟。敵と味方。

監禁されてからから2日が経った。

「はいあーん」

「……」

「あーん」

あーんとはなんだったのか。そっぽを向くが半ば無理やりに口の中に食事を押し込まれる。相変わらず味が薄いことを除けば、丁寧に作られて美味しい料理。

「よし。今日もちゃんと食べられたねー?偉い偉い」

「不本意だ。」

「もーまたそんなこと言ってー。ほらお口ふきふきするよー?」

ずっと、この調子だから、こちらも調子が狂う。

はっきり言うと…こいつからは一切の敵意を感じなかった。朝になれば起こされ…ご飯を食べさせられ…着替えさせられ…外には出られないが一緒にトランプやらオセロやら…旧時代の娯楽を用いて遊んだりした。

それはまあ…そこそこ…それなりに楽しかったからまあ、良しとするのだが、困ったことが1つ。

「お姉ちゃんに他にしてほしいことあるー?」

これだ。

「お前は僕の姉じゃない。」

「えー?そんな冷たいこと言わないでよー。お世話してあげてるんだしー…ここには私と君しか居ないんだしー?君可愛いしー…お願いっ…!お姉ちゃんって呼んで!」

「エルフ。」

「もーっ」

ずっと、この調子なのだ。ことある事に姉をアピールしてくる。理由を尋ねどはぐらかしてくる辺り、何か企んでいるのだろうとはおもうが…その企は分からない。しかし、その立場を利用できることもある。

「入るぞ。」

しゃがれた声が、ドア越しに響く。

入ってきたのは、老…と言うには少しばかり若いエルフ。ヒューマンでいえば40代くらい。プラチナのブロンドに、少しばかり白色の毛の混じった髪模様。

顔は眉間に皺が寄り、威圧を放っている。

「出来損ないでも、ガキとなった悪魔の世話位は問題なくできるようだな。」

「長老……」

「…こいつが……」

怯えてるように演じて、ネイティーンの背後に身を隠す。…まさか、見方ごと打ち抜きはしないだろうが…今の発言。出来損ない。もしかしたら…肉壁としての役割はもう無いかもしれない。信じるべくは同族の情。最悪の場合…盾に…

「まあいい。その悪魔を、抑えておけるのならば、それでいい。」

「…ふん。悪魔…ね。どっちが悪魔だか。」

「…なに?」

「黒いローブの存在を知っているはずだ。各国で暗躍していた…悪魔を。」

「よく回る口だ。その魔力がなければ今すぐにでも、物言わぬ屍にしていたところだ。」

その刹那、顎を捕まれ壁に叩きつけられる。

脳が揺れる、肺が押されて空気が、吐きでる。

「かはっ…」

「…どちらが悪魔だ。神の子。…世界の、破滅者め。」

「なん…の…こと…」

「…生きてさえいればいい。利用価値さえ残れば…貴様の意識など。」

長老の魔力が流れ込む。記憶の蓋をこじ開けられる。忘れていた、忘れようとしていた。モノリスと出会うよりも前の、独りの記憶。

「…意識など、不要か。」

「やめてくださいッ!」

長老の魔力の高まりに死を覚悟した時、それを突き飛ばす存在あり。

「ネイ…ティーン…?」

「…なんの真似だ。出来損ない。」

「お世話は私に一任されてたはずですよね。」

「……そうであったな。…ああ、それでいい。…明後日、儀式を結構する。それまで、管理しておけ。」

「はぁーい」

汚物を捨て去るように地面に落とされた僕をネイティーンが抱き上げる。

暖かい。…ミルクのような…あまい香りが、する…


「あ、起きた?」

目を覚ませば、そこは膝の上。

「…ねい…?」

「…ん、なぁに?」

「…ネイティーン…だったっけ?…いま…何日目…」

「まだ二日目の夜だよー?」

「…そう…か…」

体を起こそうとするが、窘めるように撫でられ自然と力を抜く。

「怖かったね…大丈夫?」

「…問題ない。」

そうは言いつつ、抵抗しないこの子がとても可愛らしい。私のところに来た時にはもう小さい子供の姿で、お世話するように申し付けられた子。

ずっと生意気だけどそれも反抗期みたいでまた可愛らしい。撫でれば、嬉しそうに喉を鳴らす。

落ちこぼれとしてずっと…独りだったわたしが、初めて役に立てる子。誰かのためにできること。

「大丈夫だよ…もう、夜だから。ゆっくり休んで…?」

「……」

素直に認めたくないのか、何も答えはしないけど素直に膝に顔を埋める…カキュウくんだっけ。その身体を抱き上げて、抱き寄せ、その背中をとんとんと叩くと微睡み始めれば、すぐに眠りについた。

明後日の儀式を終えればこの子は…生きた魔力タンクにされてしまう。わたしはその時この子を手放せるかなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。