レポート61:幕間。移動革新と考察。
土都を離れ数日。
まず、土都に行った最大の利点を1つ。
「これはなかなか…快適というか。」
「こんな事やったら普通は速攻で魔力切れて倒れちゃうはずなんですけどね。」
ノームの技術を経て作成したのは…一見すると横幅2m縦幅3メートルほどの金属の板。
底面には金属の筒がいくつも着いており、安全バーの付いた席が前にひとつ後ろに4つの計5つついているだけのもの。その板は今、底面の筒から炎を吹き出し肉塊の台地を焼きながら飛んでいた。
「一応安全バーは外すなよー。振り落とされて肉塊に触れたら普通に死ぬし。」
「やはりこの肉塊は危険物であるが…その上を飛行できるのは何とも革新的であるな。」
「というより、このような魔力を死ぬほど食う事をできる人がいなかった…と言うべきです。普通の人生命体であればせいぜい30分間を1人分の範囲で精一杯です。マスター。もう何時間飛んでますか?」
「あんまし覚えてないが…五日間通算で90時間は飛んでるんじゃないか?」
絶句。あるいは呆れか。全員もはや何も言う必要も無い。そんな様子は我関せずで周りをキョロキョロと過求は見回していた。
「なにか気になるの?」
「いや?他の地域と比べてこの辺りは肉塊の汚染が少ないなって。」
「言われて見れば…この辺りは、なんというか、地面の肉塊が疎らになっているね。相変わらず目に優しくない真っ赤であるけれども。」
「んー…僕は他の国に行ったことは無いからなんとも言えませんけど…この辺りはずっとこうだと思いますよ?」
「同様のことでいえば、確か俺様の国の時も火に弱いとか言ってなかったか?」
「ああ…地熱で弱って金属を変質させたりしてたな。ドラゴンの炎でも焼けて無くなっていた。」
「……火に弱い…と言うよりはエレメントに弱いのでしょうか?」
「…エレメントに弱い……か。」
確かにそう考えれば、地面そのものである土のエレメントの多い土都と自然として大地に活力を与え、繁茂する自然のエレメント…があると推定される木都のことを考えれば、相乗効果でこの辺りの肉塊が弱体化していてもおかしくはない。むしろそう考えればモノリスがある国々が肉災害の中でも無事だったこともギアによるエレメントが豊富だったためと考えられ、合点が行く。
「逆説的に考えれば…世界のエレメントが何らかの理由で減った結果肉災が発生したとか考えられるのかもな。」
「その仮説から解決策を考えようとしたら、なんでエレメントが減ったのか…とか肉災はどこから来たのか…だとか考えなくてはならないね。」
「難しい話だな。」
その答えを知っているとすれば、神か悪魔か。
現実的にいえば古代の知識を所持しているとされているエルフや精霊に近しい存在であるシルフなど…未だにあっていない存在が挙げられる。
それに…目下の課題はまだ解決していない。
「次の都市には…ローブの男も居るのだろうか。」
ふと、ウィーネが呟いた言葉。まさしくその通り。水都で暗躍し、火都では国王をドラゴンに変えた男。推定エルフの類だと予想はしているが……
「キュウ!前!!前見て!」
「ん…っとあぶね!」
岩にぶつかる直接で噴射への供給を増やす。しかし、まあ人は驚いた時には思ったより力が出るわけで。
僕たちは、空を飛んだ。
…訂正。すごく跳ねてそのまま落下をはじめた。
「バーニア展開!モノリス!そっちも姿勢制御!」
「はいっ!」
逆に幸運と捉えるべきか。全力で前推進を吹かしてモノリスには左右制御を担当させる。
これにより、かなりの速度で前進が可能。
予定よりも遥かに早く、推定木都周辺地域に辿り着けそうだ。




