レポート50:救世の伝承について
「…確認が取れた。」
その言葉と同時に、牢獄の扉を開ける、仮名称衛兵ノーム。
「ようやく事実確認が取れたか?」
「それ以上、だった。」
「想像以上?」
「とりあえず着いてきてくれ。」
衛兵ノームに連れられて、向かった先は…
「組頭!例の奴らを連れてきました!」
1階建て、高い、大きいというより広い。そんな建物の奥も奥。豪華絢爛という訳でもなく、どちらかといえば無骨とまで言えるようなそんな部屋にその組頭とやらはいた。いやまあ…うん。ノームは基本的に成人でも160程度。と。記載にはある。だがこいつは…
「でけえ。」
「カキュウくん…今はそんなこと言ってる場合じゃないよ…」
「だってデカいって…のっぽとかじゃなくてもうでかいよひたすら。」
身長、推定190…いや200cm程か。まさに筋骨隆々。
ムキムキの、色黒デカ男。髪や髭は白髪になりかなり歳をいっているとみえ、その巨体に対してどこか柔らかな物腰を感じる。
「なるほど…貴方達が……伝承の…」
「伝承?」
「まずは自己紹介から。私はこのノムニスを統治している組頭…他国で言うところの国王。と言うやつですな。」
「お初にお目にかかります。水都の姫、ウィーネと申します。」
「火都サラマンディア王子、フレイド。」
「モノリス、です。」
「…考古学者、カキュウ。」
一通りの自己紹介が終わり…やけにモノリスと俺の名前に関心を示しているような。
「なるほど…貴方達が……」
「なんだその反応。お尋ね者にでもなってるか?」
「まあ…ある意味ではそうかもしれませんね。良い意味でのお尋ね者…いえ、来訪する意味でのお訪ね者でしょうか。」
「要領を得ない言い方だな。はっきり言え。」
「カキュウくん。失礼にも程があるよ。」
「いいのです。相手は救世主様ですから。むしろこちらが非礼を詫びるべきです。」
「救世主??」
「まあ確かに救世といえば救世か…」
「…説明致しますので、奥へ。」
組頭が壁に手を触れると音を立て移動…いや、あれは変形か。それにより壁の先の通路が顕になる。
連れられて通路に入れば…神代の素材。
「遺跡か。」
「やはり分かられますか。このノムニスは神代の遺跡から発展した国でありますゆえ、最奥には重要な伝承をかしておるのです。」
通路の先にある扉を押し開けると、その先にあるのは…壁画。縦5m、横15m程度。右側には、内蔵のような…細胞のような…醜悪な塊と、その先頭に立つ何か。左側には多くの人間と、先頭に立つ2人の存在。
片や機械の腕を持ち、長いコートを着た存在。
片やその存在に付き従うように立つ、全身に歯車のついた存在。そして中央に書かれた謎の文字。
「これは…戦争かな?」
「右側のものは肉災に見えぬか?」
「察しがよろしいですな。これは、神々の伝承。その中でもおそらく現代に近しいものです。」
「…」
壁画の文字。見たことは無いはずの文字。いや、モノリスのいた遺跡で見たことがあるか。それに…そうだあれは。術式を刻む時にも使う形状にも近い。
「とはいえ我々ノームも神代に精通しているとは自負していますが読み取れたのは部分的なものであり…救世主の名をモノリス、カキュウということ。そして…」
「…『神は地を離れ、神代の世の終わりとする。
次なる時代の果て。終焉に現れる厄災。それを率いるものあり。生まれしものよ、案ずるなかれ。下の地に残された救世のデバイス、モノリス。その使い手、カキュウ。虚空の倉庫と構築の力を持つ神の子が、厄災におわりをもたらす。』」
「マスター…読めるのですか?」
「なんとなく…ではあるが」
「…驚きました。我々の解読と相違ありません……
やはり、貴方は神の子…!」
「…神の子……?」
子
別名:子供
歳のいかない幼いもの。
親のもうけたもの。男であれば息子。女であれば娘とも形容する。
~の子という場合世間一般的に
~の扶養にあるものとするのが通例であり…
「カキュウくん!」
「…っ!」
気が付けば心配そうに覗き込むウィーネがいた。
「大丈夫かい?」
「あ…うん。大丈夫。」
親が、神?僕の?親が?育児放棄…いや、気がついたらもう青年の体ならば育児放棄ではないのか?分かんないな。
「信じられない…な。」
「ショックを受けているのか。カキュウ!」
「…そんなこと、ない。」
そんなことは、ありえない。




