入試 前編
いつもよりちょっと長いです
やっとついたぁ。遠かった。いやもう電車乗り継いで約5時間! 受験登録はしてあるから宿泊費含め補填はされるらしけど、それにしても金貨1枚は大金すぎるよ...。私の今の給金1年分だよ? しかもそれ、生活費とか計算に入れないでだからね? 近所のおばさんが少し出してくれたからいいけど、そうじゃなかったら私結構な距離歩いてこなきゃいけなかったよ? 大体20キロ、約4時間! そんなに歩いたら受験の体力無くなっちゃうでしょ、いや何やるか知んないけどさ。でも剣術とか多分やるよね? だって剣術の特待生枠とかあるし。魔法学校じゃないの? なんで? いや文句言ったって仕方ないけど...。
まあうだうだ言ったって仕方がない、さっさとホテルにチェックインして、荷物置いて会場に行かなきゃ。始まっちゃう!
ーーー
よし、手続きしに...。
っ! あぶな...。
「大丈夫か? 怪我は?」
えっと、すごいかっこいい女の人だなー。
「おい、聞こえてるのか?」
「あっ、すいません、大丈夫です!」
「そうか、ならいいんだが。あぁ、すまない。名のっていなかったな。僕の名前はヒナタだ。呼び捨てで構わない。よく男に間違えられるんだが、一応女だ。君も受験生か?」
「えっ、あっ、ハイ...」
「その反応と見た目から考えるに、補助金目当てか」
「ゔっ...」
何この人めっちゃ鋭い。ごめんなさいこんな邪な気持ちで受験とか嫌ですよねすみません。
「いや、別にけなしたりしたいわけじゃない。それを言うなら僕だって人のことは言えないからな」
「?」
「僕は孤児でね。この間までは母親がいたんだが、最近男ができたらしくて捨てられたのさ。まぁ元からスラムに住んでいたから別に今更どうとは言わないが...」
「えっと、つまり寮目当てってことですか?」
「あぁ、そういうことになるな。それと、敬語はいらないぞ。僕はスラム出身だし、年も近いんだ。いちいち気にするのも面倒だろう。それに、僕自身、敬語を使われることに慣れていない」
うっわ何この人超優しい。いやもうほんとにごめんなさい私なにもできないんです。
「そういえばさっき使ってたのって...」
「これのことか?」
「うん、それって剣だよね? 剣術得意なの?」
「あぁ。これでも昔から剣技では負けなしでね。実際に冒険者にも勝ったことがあるのさ。僕には魔法が使えないから、剣術のみで戦うことになるだろうね」
「剣術のみ...。それって相当きつくない? 試験官ってたしか剣聖の称号持ちだったよね? 剣術のみで入学するんだったら最低でも一撃は入れないと駄目だったと思うんだけど...」
「まぁ、落ちたら僕の実力不足さ。それはそうと、まだキミの名前を聞いていなかったね。教えてくれるかい?」
「あっ、ごめん。私はカレン。お察しのとおり、補助金目当ての入学です...」
「そうか、よろしくな、カレン。お互いに浮かれるように頑張ろう」
「うん!」
ーーー
(...。彼女は一体何なんだろう。僕は、彼女を、知って、いる? 彼女は誰だ? いや、「僕ら」は誰なんだ? いや、そもそも「僕ら」は何なんだ? この違和感は一体...)
ーーー
ここが1つ目かな? って、嘘でしょ!? 殿下たちもここ受験すんの!? 貴族学校じゃ駄目なの!? 枠一つ消えてんじゃん、今年の受験生かわいそー。
あ、私の番来た。まぁ魔力測定なんてね、私が引っかかるわけもなく...。
〈ビーッ ビーッ 創造魔法検出 創造魔法検出
ゑ、ん? え? 今なんて? 創造魔法検出? え? なにこれドッキリ? 仕掛け人どこ? 嘘でしょ? え? え??
「創造魔法!? めちゃくちゃ珍しいじゃん!」
「たしかにな。つーかお前声デカすぎ」
「いやリオンに比べたら小さい方だと思うけど」
「いやお前ら対して変わんねぇよ」
「えー、そうかなー?」
「俺からすれば3人とも大して変わんねーけど?」
「「「俺(僕)はそこまでうるさくないっ!」」」
「ん?」
「は?」
「あ゙?」
「いやお前らめっちゃ仲良しじゃん」
創造魔法...。要するに、創造神様の魔法だ。神話では、創造神様は何年も何年もかけてこの世界をお創りになった。そして、途中で一度この世界におりて、この国、ルミア神王国を建国なさったと伝えられている。約5000年前の話だ。この世界が世界として確立されてから、何百億年と経っているから、きっと、神界の時間感覚とこの世界の時間感覚はだいぶ違うのだろう。というかこの国よく5000年も無事だったね。いや、他の大国はもっと歴史があるんだけど...。なんなら中小国でも余裕でこの国より長く生き残ってる国とかもあるくらいだから、当たり前っちゃ当たり前なんだけどね。
そんな歴史があるから、この国の国教はもちろん女神教だ。ちなみにこんな名前だから信者以外によく勘違いされるが、多神教だ。そもそもこの国の初代国王が創造神様なわけだが、その伴侶として選ばれたのは、国民ではなく、雷神様だ。それに、女神様には大天使であり光を司っている兄のアキト様、大悪魔であり闇を司っている弟のライト様もいるし、この世界の空間そのものを生み出したのは時空神であるクロノス様だ。他にも人が死ぬのは死神がいるからだし、ものがいつか壊れるのは、創造神様が物を生み出せることに嫉妬した破壊神がものを壊して回っているからだといわれている。不可壊系のエンチャントもあるけど、そもそもエンチャントのほうが劣化してしまい、ずっと使い続けるにはエンチャントをかけ直す必要がある。あと、人が戦争を起こすのは、戦と勝利の女神、エミーリア様がいるから。この世界の神様は、森羅万象の全てに何かしらの神様がいる。そして、その殆どの神様がこの国の建国に関わっているからか、この国で神様の名前がつくのはある意味当たり前なのである。これは、決して神を軽んじているわけではなく、むしろ、神の名を通じてその力の一部を授かろう的な意図がある。決して名前を考えるのが面倒だからなんていう理由じゃない、はずだ。
だいぶ話がそれたが、私が言いたいのはつまり、私は本来創造神様とはなんのつながりも無いただの一般人だ。それなのに創造魔法。正直言って、女神様はたかだか一般人に対してそのお力を無駄遣いし過ぎではないだろうか。こんな事を言っては駄目だと思うが、こんなことをするなんて、女神様が暇だとしか思えない。
え? 『真に女神の力を欲するものが現れし時、王の血が流れしものに女神の力が現れる』? それがどうした? 私には王族の血は流れていないはずなのだ。つまりこれは伝説に反することに...。
「お前、カレン...、か?」
「え?」
「やっぱそうだよな!? 俺が最愛の妹の顔を見間違えるわけがないもんな。そんなことがあったら世も末だ」
「え、あの...」
え!? っと? え? この人、クラウディオ公爵家の跡継ぎの人、えっと、名前は確かアキト、だったはず、だよね? この人の妹ってどういうこと?
「やっと見つけた。会いたかっ...」
スパァンッ
「バカかっ!」
「いでぇっ!」
「あ、すみません。受験生の方ですよね。理事長のアキラ・ブラウンです。うちのバカがご迷惑を...」
「誰がバカだ!」
「事実だろ。考えても見ろ、こんなやつがお前の行動のせいでうちに入学してこなかったらどうする? どんだけ損失がデカいと思ってんだ? それに今お前はこの学校の教師であり試験官だ。お前の行動はどう見ても彼女に対する贔屓としか受け取れないぞ?」
「ゔっ」
「あの、すごい音しましたけど大丈夫ですか...? あと、私がアキト...先生? の妹ってどういうことなんでしょう?」
とりあえずまずは落ち着く時間が欲しい。本当にマジで色々ありすぎ。疲れる。
「兄さん、大丈夫か...w?」
「とりあえずその含み笑いは何だよ」
「...w」
「なんか言えよ...」
「あ、さっきの...」
さっきのかっこいい人だ...。やっぱ貴族だったんだ...。
「あぁ、さっきは嘘をついてすまなかったな、カレン。僕はヒナタ・クラウディオ。一応これでもクラウディオ公爵令嬢さ。あ、母親が居ないのは事実だ。本当は三つ子の姉妹だったらしいんだが、まだ僕と姉が小さかった頃にもう一人の姉を連れてどこかに言ってしまったらしい」
「もし今の話が本当だったら、私がその連れてかれた姉...ってことになるってこと?」
「まぁ一応そうなるだろうな。兄さんが過剰反応してるし。あ、ちなみにそれで判断できるのは兄さんがあまりにもシスコンをこじらせているからなんだよ。にしても驚かないんだな。態度も変わっていないし」
「最初からなんとなく予想はしてたから。それに、敬語に慣れてないっていうのは多分本心でしょ?」
「あ、あぁ。その通りだ。よくわかったな」
「それ以外は若干目が泳いでたけど、そこだけは本気の目してたから」
これ、半分本当で、半分嘘なんだよね。本当は、私は人の心が聞こえるんだ。これだけが唯一の自慢。ちなみに今のヒナタの心の内に字幕をつけるとこうなる。
(「母親に捨てられた」ねぇ。僕からすればそういう認識なんだが実際のところはどうなんだろうな? 母さんの日記を読んでいる限りはただ僕らを捨てた以外にもなにか理由があるんだろうが...。おっと、いけない。人と話しているのにこんな事を考えていては失礼だな。集中しなくては...)
「うちのこてんさぃ゙っ゙」
「貴様は黙っておれ。口を開かれると自体がややこしくなって仕方がないわ」
「き、貴様...? 兄に対して貴様呼ばわり...?」
「なんじゃ、文句でもあるのか?」
「いえございません」
「ならば口を開くことのないようにな。次に開いたらそのときは二度と子をなせぬと思え」
「罰重すぎない? 流石にやりすぎじゃない?」
「ん?」
「...キノセイデス」
...。狐の獣人さん? モフモフ、尻尾モフモフ。すごいモフモフ。あれはモフりたい。モフラーの血が騒ぐっ!
「...。何じゃ、その目は」
「はっ! すみません、その尻尾に埋まったら相当気持ちがいいだろうなぁと...」
「何じゃ、その程度か。一瞬喰われるかと思うたぞ」
「すみません...」
「ユズ! いつ来てたんだ?」
あ、この人ユズっていうんだ。覚えとこ。
「む、言っておらんかったか。妾もここを受験しようと思うての」
「え、どうやって?」
「...。失礼にもほどがあろう。妾も多少の特技くらいは持ち合わせておるわ」
「すまない、たしかに今のは失礼だったな。だが、まさか戦闘試験のみで受験する気か?」
「妾が合格するのにそれ以外の道はなかろう?」
え、もしかして彼女、魔法が使えないの?
「あ、本気なんだね。だったら僕は止めはしないよ」
「うむ、そうしてくれると助かるの。ところで、カレンといったか? そなた、魔法が発現しなかったらどうするつもりだったのじゃ?」
「え、や、もともと記念受験のつもりだったので...」
「ふむ、つまり、むしろこちらのほうがイレギュラーということか」
「はい、そうなりますね」
「...。なぜそなたは妾に対して敬語なのじゃ? ヒナタにはタメ口だと言うのに...」
「え、これ、敬語じゃなくて大丈夫なの?」
「あぁ。むしろこじらせないためにはタメ口にしたほうが得策まであるぞ。ユズは僕の姉だしな」
「マジかぁ。要するにこの人血縁の人なのかぁ」
結構この人めんどくさい...。
「そなた、一瞬妾のことをめんどくさいと思ったか?」
「いや、そんなわけ無いじゃん!」
「ふむ、そうか...。一瞬匂いが変わった気がしたのじゃが...」
「え?」
「ユズは獣人だからね。僕らよりも鼻が効くのさ」
「なるほど...」
「試験を続ける。次の受験者は前へ!」
「はい」
「この魔力測定機に手をかざしてください」
「あぁ」
「こっ、これは! 素晴らしい! ほぼ全属性ですよ! さすがは勇者様! 歴代の大快挙! 歴史に残りますよ!」
「『ほぼ』?」
「えぇ。いくら勇者とはいえ種族の壁はそう簡単に超えられませんから。それと、創造魔法が...」
「あの貧民が創造魔法を得られて勇者たる私が得られないのか?」
「え、えぇ。古代魔法、時空間魔法、創造魔法の3つは取得条件が定かでは無いので...。一説にはそれぞれの属性を司る神に直接関わりがある、あるいはレベルの高い加護を得る、などありますが...」
え、私この中のどれにも当てはまってないよね? 確か創造神の加護とか持ってないもん。直接関わりがあるとも思えないし。あ、もしかしてあの夢が? いや、そんなわけ無いよね。でもあの夢、やたらとはっきりしてたんだよなぁ。
「この国には魔法の譲渡ができる魔道具があるだろう。それで譲渡は可能なのか? また、それで得た場合使えるのか?」
「えぇ。可能です。ただし制約があるようで、古代魔法では一定以上のレベルが使用不可、時空間魔法では規模の収縮、創造魔法では一定以上のサイズの生成不可となります」
「なるほど。では、私がギフトを使った場合でも可能ということだな」
「え?」
え?
「ん? どうしたんだ? この人たちは」
「勇者様、もしかしてこの人たち、勇者様のギフトの詳細を知らないのかも」
「なるほど、では説明してやろう」
ところでなんでこの勇者さっきからだいぶ上から目線なんだろう。もしかして自分が世界の中心とか思っちゃってるタイプ? そういえば、魔王及び魔王軍幹部って確か今空席だったよね? この人たち、一体何をする気なんだろう...? あれかなぁ、侵略戦争かなぁ、でもこの国の王家ってそこまで好戦的じゃないよね。どっちかって言うとお隣の帝国の方のイメージが強いかも...。
勇者が偉そうに無駄話を添えてした説明をまとめるとこうなる。
・このギフトは属性やスキルの譲渡・移行を行える
・このギフトによって加護の譲渡・移行は不可能である
・このギフトによって得た属性やスキルに制限はつかない
・このギフトによって譲渡・移行が不可能な属性やスキルはない
・このギフトによってスキルの譲渡・移行をする場合は、相手の承諾あるいは相手の意思疎通が不可能な状態のどちらかでなければいけない
・このギフトにおいて相手の意思疎通が不可能な状態とは、以下の状態を指す
・相手が意識不明の植物状態であること
・相手が催眠状態であること
・相手の脳の一部が欠損しており、自分で考える力が失われていること
・相手が自分に隷属・使役されていること
・相手が自分に対して何らかの攻撃手段を持てないこと
要するにさっき勇者と試験官の話に出てきた魔道具の上位互換なのだが、とにかくひどい。何がひどいってこの「相手の意思疎通が不可能な状態」だ。これだけ見ればただ単に略奪者に過ぎない。ついでに言えば、勇者は今まで何らかの形で相手を騙して承諾させるか、意思疎通が不可能な状態に追いやって奪ってきたのがほとんどらしい。本人曰く「殺しはしていない」らしいが、意思疎通が不可能な状態に追いやったことのほうが多いらしいので対して変わらないだろう。ちなみに意思ryになった人たちはみんなそこに放置らしい。もはやそれ殺人でしょ。今意思ryって何回言った?
「ですから、勇者様のご命令を断った方々には私たちが直々に、勇者様に逆らうとはどういうことかを丁寧に教えて差し上げているのですわ」
だそうです。ちなみにこちら、聖女から出てきた言葉でして、貴族の人たちの中に居た何人かの神官様たちがドン引きしております。マジでこれ聖女の言うことか? 「教える」って要するに行動不能にするってことだよね? ヤバくない? それ、「私たちは強盗殺人犯でーすw」って言ってるようなもんだよね? あと、流石に王家とかもこれで支援するとかいわないよね? あ、大丈夫そう。王家側の人達めっちゃ近づきたくなさそう。何なら関わりたくなさそう。めっちゃ引いてる。そりゃそうだよね。倫理観ガン無視だもんね。こんなやつと同類扱いとかまともな感性した人なら一種の拷問だよね。私もやだわこんなん。
「おいおいおい、こんなのが勇者でいいのかよ...」
「同類とか思われたくねぇ...」
「でも事実若干僕らと被るところもあるんだよねぇ...」
「み、認めたくないことを...」
「ははは...」
「と、言うわけだ。それでは、貧民。属性を渡せ」
「え、普通に嫌ですけど」
え、だってやだよね? 自分の属性をやっと手に入れられたのに、渡すわけ無いよね?
「何だと?」
「あ、もし勇者様がそのギフトを使って代わりの属性をくださるって言うなら別ですけど」
「あなた、自分が何を言っているか、理解しているの? 勇者様に力を求められたのにそれを拒否するなんて!」
「いえ、ですから『代わりの属性を得られるなら』構いませんと言っているんです。無条件で拒否なんてしてません」
「変わらないでしょう。今の勇者様にそのような余裕がお有りだと思うのですか?」
「レイナ、シア、そこまででいい。あまり私も戦うことは望まないのだが、今に限っては仕方あるまい。創造魔法は貰って行くぞ」
はいっ! 私の人生終了! せめて合格発表までは生きたかった!
「ちょっと待って。それなら僕から一つ、提案をいいかな?」
「誰だ?」
「僕はヒナタ。クラウディオ公爵家第二令嬢さ。」
「あぁ、召喚の間に居た騎士の中に紛れていたやつか」
ヒナタ、そんなことしてたの...
「あぁ。まさかそこまで細かく見ているとはね。それで、提案なんだが、少し、僕らと決闘してほしいんだ」
「決闘? なぜだ?」
「もしかして君、さっきの会話を聞いていなかったのかい?」
「会話?」
あれ、この人聞いてなかったの? 結構ガッツリ話してたと思ったんだけど、私の記憶違いだった?
「先ほどカレンに創造魔法が発現したときに、少し話していたんだが。それとも僕の記憶違いじゃないよな? ユズ」
「あぁ。妾も見ておったから間違いは無いじゃろう。それよりも、その決闘に妾も参加してよいかの?」
「向こうがOKを出したらね。もともと僕一人だけでやろうとは考えてないさ。向こうは勇者パーティー全体で来るだろうし。そもそも決闘が一番しっくりきたからそう言っただけで、こちらも2人を誘おうと思っていたしな」
「2人?」
「もちろん、ユズとカレンに決まっているだろう?」
え?
「? カレン、何をほうけた顔をしているんだ? そもそも君の命の安全を守るための模擬戦なのに本人が参加しなくてどうするんだ?」
「う、たしかに...」
「それとも何か人を傷つけたくない理由でもあるのか?」
めっちゃ核心ついてくるね。無いよ? そんな理由、あるわけ無いよ? ただ単に人に攻撃するのが怖いってだけだよ?
「なぁ、ヒナタ。単純に喧嘩とかしたこと無いって可能性は無いのか?」
「......。あぁ! そういうことか! すまない、完全にいつもの僕ら中心で考えてしまっていたな。たしかにルイの言うとおりの可能性もあるのか」
殿下マジでありがとうございます。一生尊敬します。
「...。カレンよ、少し水をさすようで悪いのじゃが、ルイはまともではないぞ。先に言うておくが、戦場でもない限り、奴は完全な下半身直結型じゃ。こちらが気を許したら何をしてくるかわからぬぞ」
あれ、殿下結構ヤバい人だった。
「半分嘘じゃねーか!」
「え、半分?」
「いや、別に戦場以外でも完全に直結はしてねーから。流石にそんな誰とでもとか言うめでたい頭はしてないから」
「まず下半身直結型を否定しようよ」
「事実を否定する理由も根拠もないからな」
「うわぁ...」
うわぁ...。たしかにこれは引くわ。や、でも勇者よりはマシなのか...?
「で、話がだいぶそれたけど、実際のところどうなんだい? カレン」
「あ、うん、殿下の言うとおりかな。そもそも誰かを殴る機会がそんなにないし」
「魚とかは?」
「それはもちろん大丈夫だよ? なんで?」
「だったら、勇者のことは魚とでも思っておけばいい。そうすれば多少は殴りやすいだろ?」
勇者=魚...。勇者...www。ヤバい、めっちゃツボったwww。勇者www。あ待って本当にヤバいwww。勇者...www。
「カレン、大丈夫...?」
「大、丈、夫www。ちょっとツボっただけwww」
「ならいいけど...」
「おい、貴様、誰が魚だと? もう一度言ってみろ」
「え、あ、もしかして君、現実受け入れられないタイプ? かわいそーw」
「何だと!? 貴様、私を虚仮にしやがって! わかった、その勝負、受けてやろう!」
まだまだ続きます
お魚勇者さんですが、ド◯クエは関係ありません。どちらかと言うと魚市場の方です。捌かれ待ちのお魚さんです。




