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横道 長いのが好き。でもマンネリは嫌だ

ここまで書いてきて。


自分の好みを振り返っていると、どうにも矛盾したところが多い。


安心したい。


でも退屈は嫌。


いつもの味がいい。


でも少し新しいものも欲しい。


そして、もう一つ。


かなり分かりやすい矛盾がある。


私は長い作品が好きだ。


百話。


二百話。


三百話。


まだ続いている。


そういう作品を見ると、ちょっと嬉しくなる。


逆に。


「全三十話・完結済み」


みたいな作品を見ると。


面白そうだと思う一方で、


「ああ、すぐ読み終わっちゃうな」


とも思ってしまう。


読む前から何を心配しているのだ。


これは前にも書いた通り。


好きな作品の世界には、できるだけ長くいたいからだと思う。


主人公に慣れ。


仲間に慣れ。


世界観も分かってきた。


人間関係も把握した。


そして、


「よし、この作品好きだな」


となったところで。


完結。


すると。


「え、もう終わり?」


となる。


もちろん。


物語として綺麗に終わることは大事だ。


無理に引き延ばせばいい、という話ではない。


分かっている。


分かっているのだが。


読者としては。


好きになった作品ほど、


「もうちょっと読みたい」


のである。


だから私は。


新しい作品を探す時。


話数を見る。


百話以上ある。


「おっ」


二百話ある。


「いいね」


五百話。


「しばらく読めるな」


となる。


もはや作品の長さを、


備蓄食料みたいに見ている。


これだけあれば当分困らない。


何に困るのかは分からない。


ところが。


そんな私にも問題がある。


長ければ何でもいいわけではない。


同じ展開が続くと。


普通に飽きる。


主人公が新しい場所へ行く。


馬鹿にされる。


実力を見せる。


驚かれる。


次の場所へ行く。


また馬鹿にされる。


また実力を見せる。


また驚かれる。


最初の数回は気持ちいい。


十回くらいなら、まだ読める。


それが何度も何度も続くと。


さすがに、


「あれ、これ前にも読んだような……」


となる。


長い作品が好きなくせに。


長く続くと、


「変化が欲しい」


と言い出す。


本当に面倒な読者である。


私にとって。


このことを実感した作品の一つが、


『ひとりぼっちの異世界攻略』


だった。


私はこの作品をかなり長く、楽しんで読んでいた。


だからこそ。


途中で読むのをやめることになるとは、最初は思っていなかった。


だが。


読み続けているうちに。


事件の起こり方や主人公の動き、周囲とのやり取りに、


私自身が少しずつ、


「またこの流れかな」


と感じることが増えていった。


もちろん。


実際には毎回同じ話ではない。


場所も違う。


敵も違う。


状況も違う。


だが。


長く読んでいる私の側が。


先に「いつもの流れ」を感じるようになってしまった。


さらに。


感動的な場面についても。


最初は素直に、


「いい話だな」


と思えていたものが。


何度も続くうちに。


だんだん、


「ここ、感動するところですよ」


と強く言われているように感じることが増えた。


これは完全に私個人の受け取り方である。


作品が変わったのか。


私が慣れたのか。


その両方なのか。


そこまでは分からない。


ただ。


私の中で。


物語に感動するより先に、


「またこの流れかもしれない」


と思うようになった。


そして。


少しずつ続きを開かなくなった。


ここで面白いのが。


私は別に、


「長すぎるからやめた」


わけではない。


むしろ長いのは好きである。


もし展開にずっと新鮮さを感じていたら。


百話でも。


三百話でも。


五百話でも。


普通に読んでいたと思う。


つまり。


私が欲しいのは、


長さではなく、長く楽しめること


なのだ。


似ているようで。


これは結構違う。


長編作品には。


長編だからこそできる面白さがある。


登場人物が増える。


昔出会った人物が再登場する。


最初は小さかった世界が広がる。


主人公の立場が変わる。


人間関係が変わる。


過去の出来事が後になって効いてくる。


百話前の話が、


「ああ、ここにつながるのか」


となる。


これは短い作品ではなかなか味わえない。


だから私は長編が好きだ。


ただし。


長編だからこそ。


変化がないことにも気づきやすい。


十話なら楽しかった繰り返しが。


百話になるとパターンに見えてくる。


そして一度パターンが見えると。


読者は先を読めてしまう。


これは第1章で書いた、


「テンプレを覚えすぎた」


という話とも似ている。


作品そのもののテンプレだけではない。


その作品独自のテンプレまで覚えてしまう。


「ああ、この展開になったら次はこれだな」


「このキャラが出てきたら、たぶんこうなる」


「この辺で主人公が無茶するんだろう」


長く読んでいるからこそ分かる。


それは。


作品に慣れたということでもある。


だが。


慣れすぎると。


今度は刺激が減る。


また矛盾している。


慣れたい。


でも。


慣れきりたくはない。


考えてみると。


理想の長編というのは。


難しい。


基本の味は変えない。


でも少しずつ変化する。


主人公らしさは残す。


でも主人公も成長する。


いつもの仲間はいてほしい。


でも新しい人物も欲しい。


世界観は壊さない。


でも世界は広がってほしい。


安心して読みたい。


でも先まで全部分かるのは嫌。


……作者からしたら。


「無茶を言うな」


である。


その通りだと思う。


それでも。


長く続く作品を読む時。


私はたぶん、そういうものを期待している。


同じ作品であり続けてほしい。


でも。


少しずつ違う作品にもなってほしい。


昨日まで好きだったものを捨てないでほしい。


でも。


明日は少し新しい景色を見せてほしい。


だから。


何百話も楽しく読める作品に出会うと。


本当にありがたい。


長く続いて。


しかも。


まだ続きを読みたいと思える。


それだけで。


かなりすごいことなのだと思う。


結局。


私は。


短いと、


「もっと読みたい」


と言い。


長いと、


「変化が欲しい」


と言う。


だったら何話なら満足するのか。


たぶん。


話数の問題ではない。


百話でも短く感じる作品はある。


三百話で飽きる作品もある。


千話あっても、


まだ読みたい作品だってある。


欲しいのは。


終わらないことではなく、飽きないこと。


そして。


好きな世界に。


できるだけ長くいられること。


……やっぱり注文が多い。


でも。


十数年読んだ結果。


どうやら私は。


そんな面倒な読者になったらしい。


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