第58話 文化祭で彼氏と回る時間が仮決定した翌日、今度は二人で写真を撮る場所まで友達に探され始めました
水曜日の朝。
目を覚ました私は、枕元のスマートフォンへ手を伸ばしながら、昨日決まった文化祭の仮予定を思い出していた。
十五時。
まだ正式確定ではないけれど、私のクラスではその時間が自由枠になり、春斗のクラスも午後に少し空けられそうだという話になっている。
文化祭で一緒に回ろう。
最初はただ、それだけの約束だった。
どの時間に回れるのかも分からなかったし、お互いのクラス企画さえ決まっていなかった。それが今では、私のクラスは喫茶、春斗のクラスは射的と輪投げ。私はベージュのエプロンを着て接客し、春斗は射的を担当する予定で、十五時頃から少し二人で回れそうなところまで具体的になっている。
さらに愛ちゃんたちとも一緒に回るし、春斗とは二人だけの写真も撮る。その写真は愛ちゃんが撮ると言い出して、石井さんは勝手にポーズを指定しようとしている。
そこまで思い出したところで、私は枕へ頭を沈めた。
「……決まりすぎじゃない?」
まだ文化祭本番までは時間がある。
それなのに、当日の予定だけは少しずつ埋まっていく。
前の私なら、ここまで先のことを考えるだけで恥ずかしくなっていたと思う。春斗と二人で文化祭を回るだけでも無理だっただろうし、「二人で写真を撮る」なんて言われたら、それこそ愛ちゃんへ何度もやめてと言っていたかもしれない。
今も恥ずかしい。
でも、嫌ではない。
むしろ、写真は少し楽しみだった。
春斗と二人だけの写真。
付き合う前にも、家族ぐるみで出掛けたときや学校行事の写真ならある。友達も一緒なら何枚も残っている。それでも、彼氏と彼女になってから、二人だけで「残したい」と思って撮る写真はまだほとんどない。
文化祭の日には、私はベージュのエプロンを着ているかもしれない。春斗も、いつもの制服姿とは少し違う係の格好をしている可能性がある。
その状態で隣に並んで。
愛ちゃんがスマートフォンを構えて。
春斗と私が笑う。
そこまで想像したところで、私は布団を少し顔まで引き上げた。
「……朝から何考えてるんだろ」
本番はまだ先だ。
それなのに、文化祭当日の春斗ばかりが頭へ浮かんでくる。
そのとき、枕元のスマートフォンが短く震えた。
春斗からだった。
『おはよう』
いつもの四文字を見ただけで、自然に口元が緩む。
『おはよう』
返すと、すぐに既読がついた。
『十五時』
「朝一番それ?」
思わず声に出しながら。
『まだ仮』
と返す。
『うん』
『何』
『楽しみ』
『昨日も言ってた』
『今日も』
私は少しだけ笑った。
『私も』
送って、そのまま画面を閉じようとしたところで、もう一度通知が入った。
『写真』
今度はそっちなのか。
『何』
『二人』
『うん』
『撮る』
『知ってる』
『手』
そこで指が止まった。
二人で写真を撮るときに手を繋ぐかどうか。その話は昨日までにも何度か出ている。
私はまだ決めていない。
春斗も、「当日聞く」と言ってくれた。
『当日聞くんでしょ』
『うん』
『じゃあ今聞かないで』
『聞いてない』
『手って送った』
『思い出しただけ』
『何を』
『真理が当日決める』
その返事を見て、胸の奥にあった小さな緊張がほどけた。
春斗はちゃんと覚えている。
今の私に答えを決めさせようとはしていないし、その日の私がどう思うかを待ってくれている。
『うん。そのとき決める』
『分かった』
そこで終わると思ったのに、少ししてまた届いた。
『でも』
『何』
『繋げたら嬉しい』
胸が小さく鳴る。
でも、嫌ではない。
むしろ、今の気持ちだけで答えるなら。
『私も』
そこまで打って、少しだけ指を止めた。
今そう返したら、ほとんど答えを決めているみたいにならないだろうか。
でも。
今思っていることまで隠す必要はない。
『繋げたら』
付け足して送った。
既読がついたあと、返事まで少し間が空く。
『真理』
『何』
『朝からかなり』
『それ禁止』
『でも嬉しい』
『知ってる』
『かなり』
『共有』
朝から、いつも通りのやり取り。
私は小さく笑いながらスマートフォンを置き、ようやく布団から出た。
◇
朝食を済ませ、制服に着替えて一階へ降りると、母はすでに玄関近くで車の鍵を持っていた。
昨日みたいに、持っている鍵を探してはいない。
「今日はちゃんと持ってるね」
私が言うと、母は右手を見て眉を上げた。
「昨日のこと、まだ言う?」
「だって持ちながら探してたじゃん」
「朝だったから」
「今日は?」
「ちゃんと寝たから大丈夫」
「よかったね」
私が笑うと、母も少しだけ笑った。
「真理も今日は機嫌いいね」
「普通」
「文化祭?」
「うん」
最近は、それを言えば大体間違いではない。
「何か決まったの?」
「昨日、仮で十五時が空いた」
「春斗くんと回る時間?」
反応が早い。
「……うん」
「じゃあ楽しみなんだ」
「うん」
もう、そこは否定しない。
母もその変化には慣れたのか、それ以上わざとらしくからかってはこなかった。
「写真も撮るんでしょう?」
「何で知ってるの」
「前に自分で言ってたよ」
「あ」
そうだった。
文化祭の話をするたびに、少しずつ予定が母にも伝わっている。
「二人で?」
「うん」
「愛ちゃんが撮るんだっけ」
「そう」
「手は繋ぐの?」
「何でみんなそこ聞くの!」
母は少し驚いたあと、楽しそうに笑った。
「写真なら普通かなと思っただけ」
「まだ決めてない」
「そうなんだ」
「当日決める」
「いいんじゃない?」
母は鞄を持つ私を見ながら、今度は少し落ち着いた声で続けた。
「写真は残るからね。あとで見て、自分が嫌な気持ちにならない写真にした方がいいよ」
「それ、どういう意味?」
「普通に並びたいなら普通に並べばいいし、手を繋ぎたいなら繋げばいいってこと」
「最初からそのつもり」
「春斗くんは?」
「知らない」
「聞いてないの?」
「春斗も、当日聞くって」
そこまで言うと、母の表情が少しだけ柔らかくなった。
「ちゃんと聞くんだね」
「何が?」
「春斗くん」
「うん」
「いいと思う」
その言い方で、何となく意味は分かった。
手を繋ぐか。
キスをするか。
抱き締めるか。
春斗は最近、そういうことを毎回ちゃんと聞いてくれる。私も、自分がどうしたいかを考えて答えるようになった。
母も、全部ではなくても少しは気づいているのかもしれない。
そう考えているうちに、玄関のチャイムが鳴った。
「来た」
「早いね」
「いつも通りだよ」
私は靴を履いて扉を開けた。
「おはよう」
制服姿の春斗が立っている。
「おはよう」
一日会わなかったあとの月曜日ほど、胸が大きく跳ねるわけではない。それでも、顔を見ればやっぱり少し嬉しい。
春斗がいることが、また日常へ戻っている。
その感じが心地よかった。
「真理」
「何?」
「今日は昨日より普通」
「毎日それ言うの?」
「変化」
「観察しないで」
「彼氏だから」
「便利に使わないで」
春斗が少し笑う。
「でも、嬉しい」
「何が?」
「普通になってきたの」
私は少しだけ考えた。
春斗が毎朝いる。
それを特別ではなく、自然なものとして感じられる。
確かに。
私も好きかもしれない。
「うん」
小さく笑う。
「私も」
◇
登校の車では、今日も自然に小指が絡んだ。
どちらから手を寄せたのか、もうほとんど意識していない。触れた指先を、そのまま少しだけ絡める。それだけで身体の力が抜ける感覚にも、ずいぶん慣れてきた。
母は前を向いたまま、文化祭の話を続ける。
「春斗くんのクラス、当番どうなったの?」
「まだ仮です」
「十五時は空けられそう?」
「はい」
「じゃあ一緒に回れそうだね」
「多分」
春斗の返事を聞きながら、私は窓の外へ視線を向けた。
今日の空は薄曇りで、昨日より日差しが柔らかい。通学途中の自転車も、少し走りやすそうに見えた。
「二人で回るのは一回だけ?」
「十五時頃だけ」
私が答える。
「それまでは?」
「クラス」
「昼は?」
「愛ちゃんたちと食堂になるかも」
「へえ」
母が少し笑った。
「ちゃんと文化祭してるね」
「どういう意味?」
「二人だけのデートみたいになるのかと思ってた」
「学校行事だから。クラスもあるし、友達もいるし」
「じゃあ二人の時間は少しだけ?」
「うん」
その隣から春斗が答えた。
「でも、ほしいです」
母がバックミラー越しに春斗を見る。
「正直だね」
春斗は最近、本当にそういうことを隠さない。
だから。
私も少しだけ同じになった。
「私もほしい」
言うと、隣の春斗がわずかに動いた。
母も一瞬だけ黙る。
「何?」
私が聞くと、母が笑った。
「真理、本当に普通に言えるようになったね」
「だって本当だし」
「うん。いいんじゃない」
私は絡めている小指を少しだけ動かした。
「でも、少しでいい」
「俺も」
春斗がすぐに続ける。
「何で?」
「全部二人だったら、文化祭じゃなくなるから」
その答えが、少し嬉しかった。
「うん」
「真理の友達もいるし」
「うん」
「俺の友達も」
「うん」
「クラスもある」
「うん」
春斗の小指がほんの少しだけ強く絡んだ。
「その中に、二人の時間もある」
胸の奥がじんわり温かくなる。
「うん。それがいい」
後部座席が少し静かになると、前から母の声が飛んできた。
「また後ろ静かになったね」
「文化祭!」
「今のは本当に文化祭です」
春斗まで真面目に言うから、母が吹き出した。
◇
学校へ着き、昇降口へ向かうと、昨日より文化祭関係の掲示が増えていた。
廊下の壁には各クラスの企画名を書き込むための用紙が張られ始めている。まだ空欄のクラスも多いけれど、「脱出ゲーム」「縁日」「カフェ」「映像展示」といった文字がぽつぽつ並んでいた。
「増えたね」
私が足を少し緩める。
「うん」
「春斗のクラスは?」
「今日出すと思う」
「射的と輪投げ?」
「多分、『縁日ゲーム』とか」
「普通」
「真理のクラスは?」
「喫茶」
「名前は?」
「まだ」
「真理カフェ」
「やめて」
即答すると、春斗が笑った。
「でも行く」
「知ってる」
「最初に真理探す」
「それも知ってる」
「写真も撮る」
「それも知ってる」
「十五時」
「春斗」
「何?」
「朝から文化祭の話しかしてない」
「真理も」
「……確かに」
二人で笑いながら昇降口へ入る。
靴を履き替えれば、いつもの分岐だ。
「また昼」
「うん」
「今日は何話す?」
「文化祭以外」
「ある?」
「失礼」
「じゃあ考えとく」
「春斗」
「何?」
「授業のこと考えて」
「うん」
少しだけ笑った春斗が、周囲の生徒に聞こえないくらいの声で言う。
「好き」
急に来る。
でも、もう前ほど固まらない。
「……私も」
今日はすぐに返せた。
春斗の目元が柔らかくなる。
「じゃあ昼」
「うん」
別れて自分の教室へ向かう。
今日は少し進んでもスマートフォンは震えなかった。
ほんの少しだけ物足りない気もしたけれど、すぐに笑う。
今、直接言った。
それで十分だった。
◇
教室へ入ると、愛ちゃんがすぐこちらを振り返った。
「おはよう」
「おはよう」
「今日、写真スポット探すよ」
「何で?」
朝一番から、意味が分からない。
「文化祭の写真」
「まだ先だよ」
「でも場所くらい見ておいた方がいいじゃん」
「何でそんなに本気なの」
「真理と春くんの初文化祭写真だから」
「初って言い方やめて」
「恋人として初でしょ」
「言わなくていい」
愛ちゃんは楽しそうに笑い、机の上に開いていた校内案内図をこちらへ向けた。
「何これ」
「学校マップ」
「それは見れば分かる」
「写真映えしそうな場所、候補出してる」
「本当に探してたの?」
「昨日から」
「暇なの?」
「文化祭準備です」
「それ広報の仕事?」
「半分」
「もう半分は?」
「親友」
「絶対そっちの方が大きいでしょ」
愛ちゃんは気にせず案内図を指でなぞる。
「候補一。中庭。木があって、文化祭当日は装飾も増えるし、明るい」
「普通に良さそう」
「候補二。西校舎二階の渡り廊下」
「人多くない?」
「時間によるかな。窓から中庭も見える」
「なるほど」
「候補三。正門近く」
「帰る人いっぱい映りそう」
「それも文化祭感じゃん」
「そうかな」
「候補四。体育館前」
「まだあるの?」
「看板とかいっぱい出るから」
「背景ごちゃごちゃしない?」
「そこは実際見てから」
本気だ。
私は呆れながらも、少しおかしくなって笑った。
「愛ちゃん」
「何?」
「本当に撮る気なんだね」
「撮るよ」
「うん」
愛ちゃんは少しだけ表情を変えた。
「嫌?」
からかう声ではなかった。
普通に、私の気持ちを確認してくれている。
私は少しだけ考えた。
「嫌じゃない」
「うん」
「むしろ……ちゃんと撮りたい」
言葉にすると、やっぱり少し恥ずかしい。
それでも愛ちゃんは笑わず、柔らかく頷いた。
「分かった」
「でも変なポーズは禁止」
「それは石井さんに言って」
「絶対言う」
「手繋ぐのは?」
「またそれ?」
「一応」
「当日決める。春斗もそのとき聞くって」
「了解」
愛ちゃんが案内図の端に小さく何かを書いた。
「何書いたの?」
「手は当日確認」
「メモしないで!」
思わず声が少し大きくなり、近くにいた佐々木さんが振り返った。
「何?」
「何でもない!」
私が答えるより先に、愛ちゃんが平然と言う。
「文化祭の写真」
「久保と彼氏の?」
「そう」
「撮るんだ?」
「うん」
佐々木さんも楽しそうに笑った。
「いいじゃん。文化祭なら写真撮るでしょ」
「そうだけど」
「場所どこ?」
愛ちゃんはすぐ校内案内図を見せる。
「今候補探してる」
「中庭いいかも。午後なら明るそうだし」
「やっぱり?」
「渡り廊下もいいんじゃない? 装飾入れば文化祭っぽくなるし」
二人が普通に相談を始める。
私は置いていかれそうになって、慌てて口を挟んだ。
「ちょっと待って。私の写真だよね?」
「そうだよ」
「本人抜きで決めないで」
「じゃあ真理、どこがいい?」
急に聞かれると、逆に困る。
中庭。
渡り廊下。
体育館前。
正門。
そこで春斗と並ぶ。
写真を撮る。
そこまで想像して。
「……人が少ないところ」
と答えた。
愛ちゃんが笑う。
「恥ずかしい?」
「うん」
「じゃあ渡り廊下かな」
「でも文化祭感が薄くない?」
「装飾すると思うよ」
佐々木さんも頷く。
「窓から中庭も見えるし、ちょうどいいかも」
「それなら……候補」
私が言うと、愛ちゃんの表情が一気に明るくなった。
「よし」
「決定じゃないからね」
「候補ね」
佐々木さんも笑った。
「久保、ちゃんと乗ってるね」
「何が?」
「彼氏との写真」
頬が少し熱くなる。
でも。
「撮りたいから」
今日はそう答えた。
佐々木さんが一瞬だけ目を見開き、愛ちゃんが横でにやりと笑う。
「真理、最近強い」
「またそれ」
「だって前なら絶対言わなかったじゃん」
「……そうかも」
朝からもう恥ずかしい。
それでも。
少し楽しかった。
◇
朝のホームルームでは、文化祭について大きな決定はなかった。
昨日作った当番表はまだ仮案で、他の係との兼ね合いを見ながら今週中に調整すること。エプロンの追加分は、学校備品に近いベージュを購入する方向で許可が出たこと。そしてメニューは、食品関係の校内ルールを確認してから正式に決めること。
担任の説明を聞いていると、後ろから山口くんが小さく声を掛けてきた。
「久保」
「何?」
「十五時、彼氏?」
「多分」
「写真もその辺?」
「何で知ってるの」
「朝、愛たちが普通に話してた」
「聞こえてた?」
「結構」
愛ちゃん。
声が大きい。
「どこで撮るの?」
「まだ決めてない」
「教室前とか」
「人多いでしょ」
「じゃあ中庭」
「みんな同じこと言う」
「文化祭感あるし」
「山口くんまで」
私が呆れると、山口くんは本当に不思議そうな顔をした。
「写真くらい撮るだろ」
また。
普通と言われる。
恋人と二人で写真を撮る。
私には少し特別なこと。
でも、文化祭なら友達や家族、恋人と写真を撮る人はいくらでもいる。
その特別と普通の間くらいに、自分たちの写真がある。
その感じが、最近は少し心地よかった。
「山口くんは?」
「何が?」
「写真撮るの?」
「友達と撮る」
「彼女とは?」
「いない」
「あ、ごめん」
「謝るな!」
思わず笑うと、近くにいた男子まで会話を聞いていたらしく吹き出した。
「久保が刺した」
「違う!」
「彼氏持ちは強いな」
「そういう意味じゃないから!」
朝の教室へ笑いが広がる。
恥ずかしい。
でも、こういう普通のからかわれ方も、前ほど嫌ではなくなっていた。
◇
二時間目の休み時間。
スマートフォンを見ると、春斗からメッセージが届いていた。
『真理』
『何』
『写真』
「何でみんな今日それなの」
声に出しそうになりながら返す。
『何』
『こっちでも石井さんに聞かれた』
『何を』
『どこで撮るって』
『何で石井さんまで』
『愛から?』
『多分』
絶対そうだ。
愛ちゃんは朝六時台から石井さんへ相談していたらしい。
『こっちも朝から場所探してる』
『本当?』
『愛ちゃんが』
『どこ』
『中庭、渡り廊下、体育館前とか』
少しして。
『真理はどこがいい?』
と来た。
春斗はちゃんと私に聞く。
『人少ないところ』
『恥ずかしい?』
『うん』
『俺も少し』
『春斗も?』
『真理と写真だから』
胸が少し鳴った。
『今まで撮ってるでしょ』
『彼女になってから違う』
その言葉を見て、朝の自分を思い出す。
私も同じことを考えていた。
『私もそう思った』
送る。
既読。
返事が来ない。
『春斗?』
『嬉しい』
『何が』
『同じ』
私は画面を見ながら少し笑った。
『じゃあ場所は当日見て決める?』
『うん』
『人少ないところ』
『うん』
『文化祭っぽいところ』
『うん』
『愛ちゃんが撮る』
『うん』
『石井さんポーズ禁止』
『それは絶対』
そこで終わると思ったのに。
『手』
また来た。
『当日』
『知ってる』
『春斗』
『何』
『今日それ何回目』
『二回』
『数えないで』
『真理もキス数えてた』
『それ言わないで!』
教室で声が出そうになり、私は慌ててスマートフォンを机へ伏せた。
頬が熱い。
隣から愛ちゃんがすぐ気づく。
「春くん?」
「何で分かるの」
「顔」
「もう」
また笑われた。
◇
昼休み。
食堂へ向かうと、今日は四人がほぼ同時に集まった。
席へ座り、それぞれ昼食を広げた直後。
「写真」
愛ちゃんが言う。
「食べてから!」
私はすぐ止めた。
石井さんも苦笑する。
「今日こればっかりだな。俺も朝から聞かされた」
「誰に?」
春斗が聞く。
「愛」
「私?」
愛ちゃんは平然としている。
「メッセージしただけ」
「朝六時半に」
「早すぎない?」
私は知らなかった。
「何送ったの?」
「文化祭の写真、どこがいいと思うって」
「何で石井さんに聞くの」
「男子目線」
「春斗本人いるじゃん」
「春くんは真理しか見ないから、場所の参考にならない」
「それどういう意味?」
春斗が少し考えてから。
「合ってる」
と答えた。
「認めるの!?」
四人で笑う。
少し食事が進んでから、石井さんが改めて聞いた。
「で、場所どこにするんだよ」
「まだ決めない」
私が答えると、春斗も続けた。
「当日見て決める。人が少なくて、文化祭っぽいところ」
愛ちゃんと石井さんが同時に私たちを見る。
「何?」
「もう二人で決まってるじゃん」
「朝メッセージで話したから」
「ずるい」
「何が」
「私がせっかく候補探したのに」
「候補は使うよ」
「じゃあ渡り廊下」
「当日空いてたら」
「中庭」
「人少なかったら」
「体育館前」
「混んでなかったら」
石井さんが笑う。
「全部条件付き」
「当日なんだから仕方ないでしょ」
春斗が普通に答える。
そして石井さんが、もう完全に面白がって聞いた。
「手繋ぐ?」
「当日聞く!」
今度は私と春斗の声が綺麗に重なった。
一瞬。
四人とも黙る。
愛ちゃんが先に吹き出した。
「そこまで同じなの?」
「何回も話してるから」
私が言う。
「真理がそのとき決める」
春斗も続ける。
「うん」
愛ちゃんの表情から、少しだけからかう色が消えた。
「じゃあ、それでいいと思う」
「何が?」
「写真って残るじゃん。真理が本当は嫌なのに、恋人っぽく見せるためだけに手を繋いで撮ったら、あとで見たとき嫌かもしれないし」
「うん」
「だから当日決めればいい」
「うん」
ちゃんと分かってくれていることが嬉しかった。
「ありがとう」
私が言うと、愛ちゃんは少し笑った。
「親友ですから」
そのまま終われば格好よかったのに。
「でも嫌じゃなかったら繋いで」
「愛ちゃん!」
「希望です」
「もう!」
結局いつもの愛ちゃんへ戻り、四人でまた笑った。
◇
食事の途中で、文化祭の当番についても話した。
春斗のクラスでも、十五時頃に自由枠を取れる可能性はかなり高くなっているらしい。ただ、射的が想定以上に混雑した場合は、多少ずれる可能性があるという。
「じゃあ、まだ仮なんだ」
「うん。真理も?」
「私も。喫茶が混んでたら少し残るかもしれない」
「待つ」
春斗がすぐ答える。
「無理なら先に何か見てていいよ」
「待つ」
「春斗」
「何?」
「文化祭、一日あるからね。十五時だけが全部じゃないよ」
「うん」
「私が遅れたら?」
そこで春斗は少し考えた。
「十分くらいなら待つ」
「具体的」
「それ以上なら連絡する」
「うん」
「近くのクラス見て、真理が来たら戻る」
「それがいい」
無理にずっと待たない。
でも、少しくらいなら待ってくれる。
そのくらいのバランスが好きだった。
すると愛ちゃんがスマートフォンを出す。
「じゃあ私たちは十五時十五分くらいに合流?」
「早い」
私が言う。
「最初二人なんでしょ?」
「そうだけど」
「何分ほしい?」
「何でそんな直接聞くの」
「予定表作るから」
「三十分くらい?」
春斗が普通に答えた。
私は思わず春斗を見る。
「何?」
「春斗」
「長い?」
「分からない」
「真理は?」
今度は私が聞かれる。
三十分。
文化祭で二人だけ。
長いのか。
短いのか。
まだ分からない。
それでも。
「……三十分くらいなら」
答えた。
愛ちゃんがすぐ画面を操作する。
「十五時半合流」
「本当に入れてる?」
「仮だから」
「見せて」
画面には。
『15:00〜15:30 真理・春くん』
『15:30〜 四人』
と書かれていた。
「名前」
「分かりやすいじゃん」
「『恋人時間』って書いてないだけマシか」
「私も成長しました」
「何が!」
石井さんが横で笑っている。
「俺、十五時半まで何してるんだよ」
「自由時間」
「扱いが雑」
「何か見てて」
「じゃあ春斗」
「何?」
「十五時までお前のクラス行く」
「いいけど、手伝うなよ」
「遊びに行くんだよ」
「ならいい」
まだ全部仮なのに。
予定が少しずつ形になっていく。
それだけで、文化祭がどんどん近づいているような気がした。
◇
六時間目。
今日は文化祭の喫茶で出すメニューについて、最初の相談が始まった。
担任が食品関係の校内ルールを読み上げる。
「教室内での本格調理は禁止。加熱が必要なものも原則なし。個包装の食品、業者から仕入れたもの、飲料は条件を満たせば出せる」
説明が終わる前から、教室のあちこちで声が上がった。
「じゃあケーキ無理?」
「市販ならいける?」
「冷蔵必要だと大変じゃない?」
「焼き菓子でよくない?」
「クッキーとか」
クッキー。
その言葉を聞いた瞬間。
昨日、春斗としたメッセージを思い出した。
『甘いの』
『クッキー』
自然に口元が緩む。
「久保」
後ろから山口くんに呼ばれた。
「何?」
「何笑ってんの」
「何でもない」
「彼氏?」
「何で何でも春斗なの!」
「最近大体そうだから」
「違うときもある」
「今は?」
聞かれて。
少しだけ迷った。
「……少し」
近くにいた何人かが笑う。
「正直」
「クッキーって春斗も言ってたから」
「彼氏メニュー採用?」
「クラスで決める!」
そこはすぐに否定する。
「春斗のは参考。普通にクッキー候補に出てるでしょ」
「はいはい」
担任がこちらを見る。
「私語するなら案を出せ」
「すみません」
顔は少し熱い。
でも、私も笑っていた。
隣の愛ちゃんが小声で言う。
「クッキー一票」
「愛ちゃんまで」
「普通に喫茶っぽいし」
「それなら分かる」
候補には、コーヒー、紅茶、ジュース、個包装の焼き菓子、クッキー、パウンドケーキなどが並んでいく。
文化祭が。
ちゃんとクラスの行事として進んでいる。
その中に、ときどき春斗との話が少し混ざる。
今はそのくらいが楽しかった。
◇
放課後。
終礼を終えて教室を出ながら、春斗へメッセージを送った。
『クッキー候補』
すぐに既読がつく。
『本当?』
『うん』
『俺』
『何』
『言った』
『知ってる』
『採用?』
『まだ』
『でも普通に候補には入った』
『やった』
『何で春斗が喜ぶの』
『食べる』
『来たらね』
『行く』
『知ってる』
廊下を少し歩いたところで、また通知が入る。
『写真』
『今日はもういい』
『何で』
『写真の話多すぎ』
『楽しみ』
『知ってる』
『真理は?』
指が止まる。
でも、今は答えに迷わない。
『楽しみ』
送って。
少しだけ考える。
『かなり』
付け足す。
すぐに返ってきたのは。
『昇降口』
だった。
私は自分でも気づかないうちに、少しだけ歩く速度を上げていた。
◇
昇降口へ着くと、春斗はすでに待っていた。
「お疲れ」
「お疲れ」
「写真」
「まだ言うの?」
「真理も楽しみ」
「言った」
「かなり」
「それも言った」
春斗が嬉しそうに笑う。
私も少し笑った。
「春斗」
「何?」
「今日ね、愛ちゃんたち、本当に写真の場所探してた」
「石井さんも」
「何で石井さんまで」
「愛から聞いたらしい」
「二人で何してるの」
「友達?」
「そうだけど」
春斗が少し笑う。
「ありがたい?」
聞かれて。
少しだけ考える。
「……うん」
「本当?」
「私一人だったら、多分ここまで写真撮ろうって考えなかったと思う」
「俺も」
「だから、ありがたい」
言うと、春斗の目元が柔らかくなった。
「じゃあ、ちゃんと撮ろう」
「うん」
「真理、逃げない?」
「逃げない」
「本当?」
「うん」
「顔赤くなっても?」
「多分赤くなる」
「俺も」
「じゃあ同じ」
「うん」
それだけの会話なのに。
少し安心した。
◇
学校を出て、住宅街へ入る。
制服姿の生徒が減ったところで、春斗がいつものように右手を差し出した。
私は迷わず取る。
指が絡む。
学校の中から、少しずつ二人だけの帰り道へ切り替わる。
「真理」
「何?」
「写真」
「また?」
「今の手」
「うん?」
春斗が繋いだ手をほんの少し持ち上げた。
「写真でも、こうする?」
今決めなくていい。
そう何度も話している。
春斗もそれを分かっている。
だからこれは、今すぐ答えを決めろという意味ではなく、ただ想像しているだけなのだと思う。
私は繋いだ手を見ながら、少し考えた。
「……今は、いいと思う」
春斗がこちらを見る。
「当日は?」
「そのとき聞いて」
「うん」
「でも」
私は少しだけ指へ力を入れた。
「今日みたいに、普通に繋いでたら」
少し恥ずかしい。
それでも続ける。
「多分、そのままでも大丈夫」
春斗の歩く速度が少しだけ遅くなる。
「真理」
「何?」
「かなり嬉しい」
「分かってる」
「覚えてていい?」
「うん」
春斗も繋いだ手を軽く握り返す。
「でもね」
「何?」
「写真のためだけに手を繋ぐのは嫌」
私が言うと、春斗はすぐに頷いた。
「うん」
「今みたいに、一緒にいて、普通に繋ぎたいと思って」
「うん」
「そのまま写真撮るならいい」
「分かった」
春斗が少し笑った。
「俺もそれがいい」
「うん」
私も。
そう思う。
◇
母との待ち合わせまでは、まだ十分ほどあった。
今日はいつもの公園沿いを歩く。
遊具の方から子どもたちの声が聞こえ、少し先では犬を連れた人がゆっくり歩いている。風は昨日より涼しく、制服の袖の中まで入り込んできた。
「春斗」
「何?」
「写真って、何年後も残るって話したでしょ」
「うん。前に」
「覚えてる?」
「覚えてる」
私は少しだけ歩く速度を落とした。
「もし何年かあとに見たら、どう思うかな」
未来の話。
まだ高校生の私には、少し大きい。
春斗もすぐには答えず、しばらく前を見ながら考えた。
「高校の文化祭」
「うん」
「真理」
「うん」
「彼女」
それだけで胸が鳴る。
「それだけ?」
「あと、多分」
春斗が少し笑う。
「可愛い」
「今言わないで!」
私が笑うと、春斗も笑った。
「真理は?」
「何年後に写真見たら?」
「うん」
私も考える。
高校。
文化祭。
射的。
ベージュのエプロン。
春斗。
隣にいる彼氏。
「……格好いい」
言った瞬間、春斗の足が止まりかけた。
「まだ写真ないけど」
「予定」
「真理」
「何」
「今の」
「当日、格好よかったらね」
「条件付き」
「まだ見てないんだから当たり前」
春斗が笑う。
「じゃあ頑張る」
「無理しなくていい」
「でも真理が見る」
「見るよ」
「写真も残る」
「うん」
「なら頑張る」
「そこまでしなくていいって」
二人で笑う。
でも。
私に格好いいと思ってほしいから少し頑張りたい。
そう春斗が思ってくれることは。
やっぱり少し嬉しい。
◇
公園を過ぎたところで、春斗が少しだけ歩く速度を落とした。
「真理」
「何?」
「今日、キス」
胸が少しだけ鳴る。
昨日もしなかった。
一昨日もしなかった。
でも、その回数を数えて焦る必要はないことも、もう分かっている。
「したい?」
聞かれて、私は周囲へ視線を向けた。
人通りは少ない。
けれど住宅も近い。
何より。
今日の自分の気持ちはどうなのか。
少しだけ考える。
「……少しはしたい」
「うん」
「でも、今日もいいかな」
そう答えると、春斗は理由を求めず、そのまま頷いた。
「うん」
「春斗は?」
「したい」
即答だった。
思わず笑ってしまう。
「やっぱり」
「でもしない」
「うん」
「また聞く」
「うん」
その変わらなさが安心する。
「春斗」
「何?」
「最近、キスしない日増えたね」
「うん」
「嫌?」
聞くと、春斗は少しだけ考えた。
「嫌じゃない」
「本当?」
「うん」
「何で?」
春斗は繋いでいる手へ視線を落とした。
「真理が近いから」
「近い?」
「手繋ぐし」
「うん」
「話すし」
「うん」
「好きって言うし」
「うん」
「文化祭の写真も考える」
「それは今日だけでしょ」
「文化祭のこともいっぱい話す」
「うん」
「全部合わせて」
春斗が繋いだ手を少しだけ握る。
「恋人だから」
私はその横顔を見て、少しだけ笑った。
「うん」
それ。
私も思う。
キスをしたかどうかだけで、恋人らしさが増えたり減ったりするわけではない。
◇
待ち合わせ場所へ着くと、まだ母の車は来ていなかった。
私たちは道路の端へ寄り、少しだけ立ち止まる。
「真理」
「何?」
「十五時」
「うん」
「写真」
「うん」
「場所」
「当日」
「手」
「当日」
「可愛い」
「それも当日!」
思わず言うと、春斗が笑った。
「全部当日」
「そう」
「楽しみ」
「うん」
「かなり?」
また聞く。
でも、今は迷わない。
「かなり」
春斗の口元が緩む。
「共有」
「うん」
私も少し笑った。
「でも、文化祭って写真だけじゃないからね」
「知ってる」
「クラスもあるし」
「うん」
「友達とも回るし」
「うん」
「春斗の射的も」
「うん」
「私の喫茶も」
「うん」
「全部楽しむ」
春斗はしっかり頷いた。
「全部」
「うん」
「その中に写真もある」
「うん」
少しだけ笑う。
「二人の」
胸がまた小さく鳴る。
「……うん」
そのとき、遠くに母の車が見えた。
私たちは繋いでいた手を離す。
でも、離す直前。
どちらからともなく少しだけ握る。
そんなことも、今ではかなり自然になっていた。
◇
母の車へ乗り込む。
「お疲れ」
「お疲れ」
「ありがとうございます」
車が静かに走り出した。
「今日は文化祭何したの?」
「メニューの候補」
「決まった?」
「まだ。コーヒー、紅茶、ジュース、クッキーとか」
「クッキーいいね」
「春斗も言ってた」
そう答えた瞬間、母の口元が少し上がった。
「やっぱり春斗くん入るんだ」
「参考だから!」
「はいはい」
隣で春斗まで笑う。
「真理」
「何」
「クッキー」
「まだ決まってない」
「食べる」
「来たらね」
「行く」
「知ってる」
母は少し笑ったあと、今度は別の話を振ってきた。
「写真の場所は決まった?」
「何でそれ」
「朝聞いたでしょう」
「ああ。まだ。多分当日決める」
「人が少ないところ?」
「うん。文化祭っぽい場所で」
「いいんじゃない」
そこで母がさらっと続ける。
「手は?」
「お母さん!」
「朝の続き」
「当日決める」
「春斗くんが聞くんでしょう?」
「はい」
春斗が普通に答えた。
母は一度バックミラー越しに春斗を見て、それから小さく頷く。
「じゃあいいね」
それだけだった。
私は少しだけ肩の力を抜いた。
◇
車の窓の外では、夕方の町がゆっくり流れている。
今日は、文化祭の写真について何度も話した一日だった。
まだ撮ってもいない。
場所も決まっていない。
手を繋ぐかどうかも、その日の私がどう思うかで決める。
それなのに愛ちゃんや佐々木さん、石井さんまで、どこで撮るのがいいのか気にし始めている。
少し恥ずかしい。
でも。
前みたいに、「やめて」「絶対嫌」と逃げたいとは思わない。
むしろ。
ちゃんと撮りたい。
恋人になってから初めて迎える文化祭で。
春斗と二人で。
その日の私たちを一枚残したい。
ただし、写真のためだけに恋人らしい形を作る必要はないと思う。
手を繋ぐなら、そのとき本当に春斗と繋ぎたいと思ったから。そのまま自然に並べたら、それでいい。
笑うなら、写真を撮るから無理に笑うのではなく。
春斗が隣にいて、文化祭が楽しくて。
自然に笑った顔が残ればいい。
私は隣へ目を向けた。
ちょうど春斗もこちらを見ていた。
「何?」
小さな声で聞かれる。
「写真」
「うん」
少しだけ迷う。
でも。
今日は言える。
「ちゃんと撮ろうね」
春斗が少し目を見開いた。
「真理」
「何」
「今、自分から言った」
「言ったよ」
「逃げない?」
「逃げない」
「本当?」
「うん」
頬が少し熱い。
でも。
もう「忘れて」とは言わない。
「春斗と撮りたいから」
言うと、今度こそ春斗が完全に黙った。
「何で黙るの」
「嬉しい」
「知ってる」
「かなり」
「それも知ってる」
春斗が少しだけ笑う。
「俺も真理と撮りたい」
「うん」
前から母の声が飛んできた。
「また写真の話?」
「うん」
今度は普通に答える。
「二人で撮る」
「いいじゃない」
「うん」
私は窓の外へ視線を戻した。
文化祭当日。
十五時頃。
まだ時間は仮。
場所も未定。
手を繋ぐかどうかも、そのとき決める。
でも。
一つだけ。
今日、前よりはっきりしたことがある。
私は春斗と二人で写真を撮りたい。
それはもう、恥ずかしいから避けたい予定ではなかった。
春斗と一緒に文化祭を回ること。
春斗の射的を見に行くこと。
私の喫茶へ来てもらうこと。
友達と一緒に笑うこと。
その全部と同じように。
二人で残す一枚も。
文化祭で楽しみにしていることの一つとして、ちゃんと私の中へ入っていた。




