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兄上からの頼み事です。

お屋形様に送った使者がお屋形様からの書状を携えて戻って来た。


内容は斯波 義統殿と共に今川館に来るようにとの事だ。

斯波 義達殿には好きにさせてやってくれ、尾張国に残っても良いし、一緒に今川館に来ても良いと伝えてくれと……


義達殿に伝えると那古野城下でのんびり暮らしたいから、色々とよろしくと返事が来た。


義達殿と世鬼 政棟の父親である世鬼 政親は飲み仲間で仲が良いから色々と気に掛けてもらうつもりだったのだが、私が政親に頼む前に既に世鬼忍軍より護衛と見張りを兼ねた者を義達の元に送っているそうだ。


私が今川館に行く準備も出来ており、明日に熱田から船で今川館に向かう予定になっているそうだ。


今回は佐治 為貞の佐治水軍の船で向かう事になっている。


大野城を落城させた後、しばらくせて大野城を為貞に与え、さらに佐治水軍の強化を命じていた。


寺本城の花井信忠を与力として為貞に付け、佐治水軍の副将の地位に付いている。


領地は失ったが拠点として大野城に直ぐに戻れたので為貞はとても喜んでいる。

為貞は最初は領地を失った事を嘆いていたが、家禄と俸禄で仕える事で領地経営の事を気にせず、佐治水軍強化の事を考えれば良いので毎日を佐治水軍強化の事だけを考え、楽しんでいる。


さらに佐治水軍の強化の為の資金の援助も私が出資しているので今回は生まれ変わった佐治水軍を私に見てもらいたいらしい。


佐治水軍は交易の為、尾張国、伊勢国を行き来し、さらに吉原水軍、興津水軍、志摩水軍、さらに市江島の服部 友貞率いる服部水軍、伊豆水軍の【富永 直勝】との交流を経て水軍の技量は上がっている。


伊豆水軍は北条家と今川家の交易の為、田子の浦湊へと出向いているのだが、たまに足を伸ばして熱田まで来ている。


私を迎えに来た佐治水軍は統制のとれた船団だった。

私のお供は柳生 家厳、政棟、松井 宗信と小姓たちだ。


私たちが船に乗り込み熱田を出航した後、多くの船が船団から離れて行き、少数になった……


新生佐治水軍のお披露目が無事に終わったから拠点の大野城へと戻ったそうだ。


それを聞いた私が去っていく船団に手を振って見送ると副将の信忠を筆頭に多くの者が手を振り返してくれた。


なんか、嬉しかった。


船団に手を振り喜んでいる私を、嬉しそうに為貞は眺めていた……


航海は無事に終わり、無事に今川館にたどり着いた。

義統殿は船酔いでずっと寝込んでいたが、上陸したら元気になった。


義統殿が一緒にやって来た為か、今川双頭家老の三浦 氏員殿と朝比奈 泰能殿が出迎えてくれた。


早速、お屋形様との会談が始まった。

会談にはお屋形様、氏員殿、泰能殿、私、家厳、政棟、宗信、義統殿が参加だ。


まず最初に義統殿には府中に屋敷を与え、そこに住むか、京へと向かい今川 氏豊の配下として働くかのどちらかを選ぶ様にと告げられた。


義統殿はしばらく考えた後、しばらく府中で生活をしてから京へ向かいたいが可能かとお屋形様に問いかけた。


お屋形様はそれで構わないと条件を飲み、義統殿の待遇が決まった。

斯波一族は義統殿についていく者、駿河国に残る者、尾張国に残る者に分かれるだろう。


尾張国に残るのは斯波 義達殿ぐらいだろう……


義統殿は案内されて退室して行ったが私はその場に残った。

お屋形様の話はこれからが本番だろう……


しばらくは尾張国での出来事をお屋形様に報告した。

書状にて報告はしていたが、やはりお屋形様も気になる事があるらしく、私が報告する度に気になる事が有ると質問して来た。


取り逃した、織田 信光の行方について質問され返答した時はため息をつかれ、今後はしっかりと報告するように厳重注意を受ける事になった。


報告がひと段落した所で別室で休憩を挟み、会談を再開する予定でお茶を飲みながら家厳、政棟、宗信とお茶を飲みながら雑談をしていたらお屋形様が氏員殿と泰能殿を引き連れて部屋にやって来た。


非公式なこの場ではお屋形様の事は兄上と呼ばないと今川 氏輝の兄上が拗ねるので私はこの場では兄上と呼ぶ。


兄上は私の隣に座ると早速話を始める。

氏員殿と泰能殿も適当に座ると直ぐに母上がお茶を運んでやって来てそのまま座り、皆がお茶を取り終わると残りのお茶を手に取り飲み始めた。


兄上の言うには尾張国にいたら都合の悪い義統殿を私が引き取って助けたのだから義元も私を助けて欲しい……


深刻そうな表情を作り、わざとらしい口調で話す兄上……

母上はそんな兄上を見てお茶を吹き出しそうになっていた。


三河国に兵を進めている兄上の元には松平 信定に領地を奪わた者、松平 広忠の元に身を寄せていた者たちなどから生活がままならない為なんとかしてほしいなど、さまざまな報告が泰能殿を通じてあがってきているそうだ。


その者たちを引き取ってくれと。


それを聞いた私兄上に吉田城に入っている今川 範真の兄上に家臣にどうかと提案したのだが、範真の兄上には遠江衆と駿河衆で家臣団を組織しているので領地を失った者たちは要らないとの事だ。


領地を持たない者たちを家臣として重用すれば忠誠を得て良い働きをするのでは?と告げると、そうすると遠江衆と駿河衆から反発が大きくなると兄上、氏員殿、泰能殿が声をそろえる。


私の家臣団は尾張衆、甲斐衆などほぼ外様だ。

重臣たちは大和国、山城国、和泉国、安芸国出身だし……

勘助は駿河国出身だけど浪人だったし……


ここに三河衆が増えるだけ?


私が三河衆を引き取る事で丸く収まるのならばと兄上の要求を受け入れる事にした。


まあ、断れないだろう……


【本多 忠豊】【本多 正定】【酒井 忠親】【伊奈 忠基】【高力 重長】など……


本多と言えば【本多 忠勝】【本多 正信】【本多 重次】などが有名だけど忠勝の祖父が確か忠豊だったような……


忠親は【酒井 忠次】の父親であるのは知っている。

伊奈、高力の名も有名だな、【伊奈 忠次】【高力 清長】の一族か?


今夜、夢男に詳しく聞く事にしようか。

楽しみだ!!







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