巴姫は楽しんでます。
結局、那古野城には海路でやって来た。
本当は陸路で三河国を通って松平 清康殿と対面したかったのだか巴姫も一緒に移動するので田子ノ浦湊から熱田まで吉原水軍で移動をした。
知多半島の佐治水軍には話を通しておいたので問題無く熱田に着く事が出来た。
巴姫は海を見るのも初めてで船に乗るのも初めてで終始、ご機嫌で船上を走り回っていた。
因みに私の事は旦那様と呼ぶようになっている。
使者を受けた武田 信虎殿からは巴姫の好きなようにさせてくれとの書状が届き、兄上である今川 氏輝からも好きにするように書状が届いた。
皆、放任主義者なのかな?
因みに教来石 景政とその部下5名は船酔いに苦しんで顔を真っ青にしていた……
熱田に着くと景政たちは速攻で上陸してホッとしていた。
那古野城に入ると先行していた太原 崇孚と松山 重治に出迎えられ城主である今川 氏豊から那古野城を譲り受けた。
すでに崇孚たちは引き継ぎを終えており、氏豊たちは私たちが乗って来た吉原水軍の船で駿府へと向かう事になる。
氏豊の有力家臣はそのまま氏豊に従い駿府へ行き、お屋形様に挨拶してか京へと向かう事になっている。
氏豊とゆっくり話したかったが元城主が退城しないのは良くない事だと言い、顔を引き攣らせながら船に乗り込み駿府へと向かっていった。
私の妻になる巴姫を紹介したのだが巴姫に対して少し怯えていたような気がしたが気のせいだろうか?
こんなに可愛らしいのに……
巴姫が景政と少し殺気を向けただけでこれか……
と話していたが氏豊に殺気でも飛ばしたのかな?
後で巴姫と景政に問いただしてみよう。
氏豊はゆっくり話せない事の謝罪をした後、最後は那古野城をよろしくお願いしますと満面の笑みで私に告げて去って行った。
もう、気持ちは京に向かっているのかな……
氏豊は私に那古野城を任せる事が出来たからもう用済みなのか……
後日、氏豊から書状が来て色々と釈明していた。
巴姫が氏豊に殺気を飛ばし続けた結果、氏豊はここに長居すれば狩られると本能で感じ、私との再会もゆっくりと話す事も出来ず去って行ったそうだ。
巴姫を問いただしたところ、旦那様の城にいつまでも前城主が居るのが我慢ならなかったとの事。
巴姫の殺気に耐えたならば、氏豊の事を認めたようだが残念ながら氏豊は殺気に耐えられずに逃げ出した。
巴姫の氏豊へ対する評価は低いそうだ。
まあ、殺気すら感じる事の出来ない者も少なくないので、防衛本能は持っているとそこは誉めていた。
崇孚に尾張国の状況を尋ねたところ、尾張守護の【斯波 義統】殿は守護代の清洲織田家である、【織田 達勝】殿【織田 信友】に傀儡として擁立されている。
達勝は配下である織田 信秀と1533年に争い、和解したのだが水面化では力を持ち過ぎた信秀の力を削ぐために動いている。
信秀はもう1つの守護代である岩倉織田家の【織田 信安】の後見役に弟である【織田 信康】を送り込んで岩倉織田家に対して影響力を持とうとしている。
達勝、信安と信秀との対立が深刻になってきているので崇孚と重治はかなり動きやすかったとの事だ。
那古野城がある愛知郡では織田家の対立を他所に、今川家が存在感を放つ事が出来た。
氏豊の家臣の中で数少ない、尾張国に残った家臣【大屋 秋重】の活躍も有る。
崇孚からの指示を受け、秋重が水を得た魚のような活躍をした。
氏豊の元では他家を刺激したく無いという理由で秋重は積極的に
調略は出来ず、友好を深める事しか出来ずにヤキモキしていたそうだ。
今回、御器所西城周辺に根を張る佐久間一族を筆頭に比良城の【佐々 成宗】、大野木城の【塙 右近】、前田城の【前田 利昌】などが私に付いた。
前田家と言ったら荒子城と思ってしまったがこの時期はまだ荒子城は築城されていないようだ。
それにしても佐久間、佐々、塙、前田と有名どころが集まったものだ……
佐久間一族も【佐久間 盛明】【佐久間 盛経】【佐久間 信晴】【佐久間 盛重】の四兄弟であり、有名な所では次男盛経の息子は【佐久間 大学】で有名な【佐久間 盛重】、三男信晴の息子は織田 信長の重臣である【佐久間 信盛】で四男盛重の息子は【佐久間 盛次】である。
長男の盛明にも有名ではないが【佐久間 家勝】がいる。
それぞれの息子達はまだ、元服前なのだが……
これも夢男の記憶の一部だ。
【柴田 勝家】は流石にいないか……と思いつつ、一応訪ねてみたのだが、荻 清誉の元で鍛えられているとの事だ。
先行して那古野城に来ていた福島 元成が城下町の見回りをしていた所、元成に対し喧嘩を売って来たのが勝家だった。
子供の頃から身体が大きく、腕力にも自信を持っており喧嘩をしても負けた事が無かった勝家は父親にも期待され、元服も早目に済ませていた。
元服をしても未だに子供扱いされて、戦に出ても手柄とは無縁の場所に配置され鬱憤が溜まっていた。
そこに現れたのが元成だった。
結果、勝家は何も出来ずに元成にボコられた。
そこに遠くで観戦していた清誉が現れ、勝家を気に入り鍛えていると勝家の首根っこを捕まえて修錬場へ連行した。
勝家は中々の使い手に成長しているとの事だ。
元成も勝家の事を気に入り、色々と面倒を見ているそうだ。
落ち着いてから築城予定であった古渡城は既に重治によって築城を始めていた。
熱田を抑え、今川家の存在感を示す為に必要な城と判断し、熱田商人達の協力もあり資材の確保もスムーズいった為の判断だそうだ。
古渡城の築城を始めた事により、秋重の調略も上手くいったとの事だ。
古渡城は重治が築城しているので完成したら重治を城代に据える事にしよう。
松永 久秀は古渡城の築城を楽しみにしていたのに……
残念がるだろうな。
まあ、この後は末森城の築城、廃城になっていた鳴海城の強化などが待っているから機嫌は直るかな?
今後の方針は愛知郡を完全に支配下に置いて知多郡にも手を伸ばしていく感じかな?
巴姫は今後が楽しみと言って目がキラキラとさせて楽しみにしている。
その横で景政も腕が鳴りますとワクワクしているのだが景政は私の家臣では無いよね?
景政は巴姫と共に今川家にやって来たので私の家臣となると、何を言っているのか?と言う顔をしている。
巴姫も当たり前の事だとね?と言う顔で私を見ている。
私がズレているのか、武田家の人間がズレているのか……
私の見た限りでは巴姫は今の状態を楽しんでいるな。




