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副業勇者(仮)  作者: 安居剛
勇者くん 旅に出ようや
29/44

28話 郊外の買い物といえば

「で、旅を始める感じになった所でアレなんだけど、別に今日は街を出る気は無いんだよね」


「あ、そうなんですか?」



 歩きながら発した俺の言葉にリントが答える。

 そしてそのまま歩きながら話し続ける。



「うん、とりあえず今日はリーラ様とやらに会って話してみようかと思う」


「そうで…………いや、そんな気軽に会えるとは思いませんよ?」


「え、何で?契約してた仲なんだしリントが居ればなんとかなりそうじゃん」


「とは言っても神様ですし……今やこの世界中から崇められる存在になってますし……」



 えー、てっきりリントさえ連れてけば簡単に呼んでもらえると思ったんだけどな。共に世界を救っても契約切れたらそんなあっさりしてんのか。

 ……いや、あのアホの金髪のせいでイメージが崩れてるだけで、普通神様ってのはそのくらい忙しいものなのか。その可能性が高い気がする。



「ま、でも行くだけ行ってみればいいんじゃねーの?駄目なら諦めればいいし」


「ああ、本来会えないのが普通なんだ。駄目で元々だろう」



 フィックスとシャーレイがそう言うので、あまり期待しないようにするか……と思っていたところで、俺達の目の前に見たことのある光が天から差してきた。




「フフフ……さんざん僕のことを侮っていたかと思えば、さっそく僕の出番の様子!態度を改めてくれるなら協力することもやぶさかではなブッフォウ!!!」


「んだよ、進行方向に出てくんなよ」




 気にせず歩き続けていたら、勝手に降臨した神が勝手に俺にぶつかって勝手に吹っ飛んだ。救世神ルシャナ様である。



「今!今わざとぶつかったでしょ!!僕が来るってわかってたくせに!!」


「普通に歩いてただけだよ」


「嘘だ!………あ、嘘じゃないねコレ。本当に何も感じてない顔だね」



 俺の真顔を見てこれ以上俺と話しても良い事はないと感じたのか、ルシャナは他の3人に向き直り挨拶を始めた。賢明な判断である。



「フィックスくん、リントくん、またよろしく!」


「あ、ルシャナ様…顔のお怪我はもう大丈夫なんですか?」


「もうへっちゃらさ!なんたって神様だからね!」


「便利だなー」



 もう会った事のある二人と和やかに話しながら、ルシャナは直接会うのは初めてであるシャーレイにも挨拶をする。



「こうして会うのは初めましてだね。君もリントくんの奥さんだよね?これから僕とアキラくんのために協力よろしくね!」


「え?えぇ………え?」


「あれ?誰だかわかってない?」



 あぁ、そうか。こいつはボコボコになってた時の顔しか見てないもんな。

 リントがキョトンとしているシャーレイの肩をチョンチョンと叩き、俺が持つスマホを指差し簡単に説明してやると、ひっくり返ったように驚いた。



「きゅっ、救世神様!?あ、あの、すでにお姿を見ていたにも関わらず気付かずに申し訳ありません!!」


「おっ、いいねー。しばらく忘れてた、この敬われる感じ……」


「あ、あの、未熟者ではありますが、精一杯の協力をさせていただきます!!」


「うん、いいよいいよその感じ。世界の為に頑張ってね」



 ご満悦で手を上げるルシャナ。イラッとしたのでつい足が動いた。

 バシッと神の尻を蹴る。



「痛っっ!!え!?え、何で!?今僕何かした!?」


「あ、ごめん、ムカついたから……」


「あ、なんだそういうことか。アキラくんが謝るなんて珍しいねえ」


「お互い気を付けような」



 反射的に攻撃してしまう勇者と勇者から暴力を受けることに慣れてしまった救世神という未知のやり取りを目の前で見たシャーレイは、フィックスに「いつもああだから慣れたら面白いぞ」と声をかけられるまで、しばらくポカンとして動けないのであった。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 






「着きました。ここがリーラ様の神殿です」




 リントの案内で到着した神殿は、やたらと巨大な建造物だった。

 というか、王都の中心であるラフェリア城の目の前にあり、見た目は城と同じくらいの大きさである。

 うまい例えが見つからないが、あれだ。イオンが二つ並んでる感じ。



「へー……なんでこんな巨大なの?」


「なんでって言われると…」


「では、それは私が説明しよう」



 リントが少し困った様子を見せると、シャーレイがいきいきと発言した。



「あ、結構です」


「な、お前が聞いたんだろう!?」


「別にそこまで聞きたい訳じゃないし」


「やっぱりまだ許してないんだな?私への態度だけ他と違わないか?」



 わーわー言い出したシャーレイの様子を見てフィックスがまた笑いを堪えている。

 いや許してないとかじゃなくて、ただ流れで何となくつぶやいただけで別に本当に質問したわけじゃないんだけど。



「ま、まあアキラさん、シャーレイは人一倍信仰心が強いので張り切ってるんですよ。少しだけでも聞いてあげてください」


「真面目で堅物で女騎士で信心深いとか、くっころポイント高すぎだろ……仕方ない、聞いてやるけどつまんなかったら即切るぞ」



「なんで聞く方がそんなに上からなんだ……」



 リントに諭され、とりあえず聞いてあげる事にした。

 シャーレイが得意気に説明を始める。



「まず、リーラ様というのは元々はルシャナ様と同じく世界危機を打倒するために降臨された救世神であり、リントと契約していた女神様だ。私も途中から同行した5年前のリントの世界救済の旅においてリントをこの世界に喚び寄せ、勇者と共にその尊い力を振るわれ数多の困難を」


「はい終了」


「な、何故!?まだ前置きだぞ!」


「長いし仰々しいしその辺はもう知ってる」


「わ、わかった!本題、本題に入るから!この神殿の目的だな!」


「別に興味ないから早くしろよ」


「アキラくんシャーレイちゃんに厳しすぎない?」


「安心しろ、何があろうと一番厳しくするのはお前だ」


「安心できない!!」



 ルシャナへの変わらぬ想いをアピールした所で、ふたたびシャーレイの説明が始まった。



「ええと、なぜあのような巨大な建物かというと、単純に内部に多様な用途の施設が複合されているからだな」


「へえ?」


「もちろんメインはリーラ様を教えを伝える教会、聖堂だが、他にも色々なものがある」


「例えば?」


「外の市場と同じように、野菜や果物などの食料や日用雑貨を売り買いできる屋内市場、それと武器屋や薬屋、服屋などの専門店街もある」


「ほー」


「更には安く料理を提供する店が集まり、多数の人間が食事をするスペースがあったり、家に置けないような大がかりな遊具や道具で子供たちが遊べるような遊技場なんかもある」


「ほーほー…………ん?」


「更には演劇などを鑑賞できる劇場が複数あり、多くの人が同時に楽しむことができるようになっていたり、後は申請すれば誰もが色々な催しを開催することができる多目的の広場などがある」


「…………………それ完全に」

「アキラさん」


「このような今までにない大規模施設であることから、今まで存在した神殿とは一線を画すものであり、これはもはや新しい文明として、このリーラ神殿は通称『リーラモール・ラフェリア』と言われて」


「………イオンモールじゃねえか!!」

「アキラさん、それ以上いけない」







 女神様のおわすところは、大規模商業施設でした。

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