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副業勇者(仮)  作者: 安居剛
勇者くん 旅に出ようや
27/44

26話 妥協案

「なんでって………普通に嫌だって今言ったじゃん」


「いや、だから嫌な理由は何よ!?」

「戦力は多いに越したことはないだろう!?」

「マリーは攻撃魔法のエキスパートですし、シャーレイの剣術は超一流、私は補助魔法も使えますし、どんな傷も治癒してみせます!」




 ちくしょう食い下がるなぁ。

 こういう時ははっきり断ろう。



 まずマリー。


「でも攻撃魔法はリントの方が強いんだろ?」

「そ、それは……そうだけど………」



 次にシャーレイ。

「頼るといいだとか戦力だとか、お前あんな負け方しといてよくそんな口叩けるな」

「うぐぅ……」



 フィオナは……

「詳細は秘密だけど、俺にとってフィオナの補助や回復術は全く役に立たないから」

「何ですかそれ!?そんな人いますか!?」



「とりあえず、そういう訳だから来なくていいよ。うん」


 これだけ言えば諦めてくれるか?



「いや、納得いかない!」

「そ、そうです!」



 うん、無理だったね。

 シャーレイとフィオナの反論に、マリーが続ける。



「今のは、癪だけど私達の同行にそれほどメリットが無いっていうだけでしょ?別にデメリットがあるわけじゃないんだから、嫌がる理由が納得できないわ」


「そ、そうだ!別に、足手まといにさえならなければ嫌がることもないだろう?」


「それとも、何かデメリットがあるって言うんですか?」


「あー……その話する?」



 確かに、さっき言ったのは来なくてもいい理由であって、来てほしくない理由にはならないな。

 ……来てほしくない理由正直に言っちまおうか……?



「……リント、フィックス、二人はどう思う?」


「えっと……大室さんはともかく、僕にとってはみんな頼りになるので、来てくれるに越したことはないかと……」


「まぁ俺も3人の実力は知ってるからな。邪魔にはならないだろ。好きにすればいいんじゃね?」


「そうか………」



 みんな反対する気配がないのなら、正直に言うしか無いな…



「よし、じゃあ何で嫌か、正直に言おう。お前ら、リントと一緒にいたいから同行したいんだろ?」


「そ……そうだけど?」


「そうなると、昼間っから近くでずっといちゃつかれるのが想像つく。俺は、それがたまらなくウザくなるだろう。だから嫌だ。それだけ」


「「「えぇ……」」」



 正直に言ったら3人ともドン引きだった。しょうがないだろ本音なんだから。



「器が小さすぎる……本当に勇者なのか?」


「だからやりたくねえっつってんだろ。スライムぶつけんぞ」


「意味が分からん!」



 シャーレイの文句を軽くあしらい、フィックスを見ると必死に口に手を当てて笑いを堪えている。彼は笑い上戸なのかな?俺の言動がやたらとツボってるみたいだけど。



「フィックス……男なら俺の気持ちもわかるだろ?」


「ま、まあ……気持ちはわからないでもないぜ。俺はあんま気にしないけど……」


「なんだ、実は彼女いるとか?」


「いや、俺は街で適当に声かければ女の子引っ掛けられるし……」


「ちくしょうお前もイケメンだった!!」



 更にSランク冒険者だから社会的地位もある。そりゃモテるよねちくしょう。



「リント!逆の立場だったとしたら俺の気持ち想像つくだろ!?」


「え、えぇ……まぁ……」



 この野郎、自分は既に3人も美女と結婚できてるからなんか余裕で答えてやがるな。

 ここは俺の魂をぶつけなければ。



「……リント、ちょっと耳貸せ。お前とだけ話したい」


「え?あ、はい」



 フィックスや嫁たちから少し離れ、二人で小声で話す。



(お前は既に幸せを手にしてるから忘れたのかも知れんが……日々、日本でアホみたいに女子と戯れるリア充たちを見てどう思ってた?)

(え、ええ?それは……)

(ちゃんと思い出せ、恐らく暗黒だったであろう日々を)


 戸惑っていたリントの目がだんだん死んでくる。


(……爆発しろ、ですね)

(だろ?やっぱお前は話のわかる奴だ)

(……でも、アキラさんは日本での生活が楽しいから帰りたいんですよね?彼女くらい……)

(いねーよ馬鹿野郎!)

(え、そうなんですか!?)

(女性関係以外が充実してんだよ俺は!彼女なんかできたことねーわ!)

(そ、そうですか……)

(それを踏まえて、旅にお前の嫁が3人着いてきた場合、俺の気持ちを想像してみろ)

(……殺意の波動に目覚めますね)

(よくわかってるじゃねーか)

(でも、こう言ってはなんですけど……僕もフィックスも、かなりモテますよ?あの3人じゃなくても殺意は芽生えるかと……)

(それはいいんだ。微粒子レベルの可能性で俺にもおこぼれがあるかもしれないから)

(自分から頑張るっていう選択肢はないんですね……)

(うん、それはない。……とにかく、俺が嫌がる理由はわかっただろ?)

(まぁ………はい)

(んじゃ、お前からも説得してくれ。な?)

(いやー、さすがにあそこまで行く気になってるのを完全に諦めさせるのは……)

(んだよお前でも無理なのかよ……)

(………妥協案ならなんとか)

(………と、言うと?)






 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆






「お、戻ってきた」



 フィックスがこちらに気づき、嫁たちも一斉にこちらに注目する。

 一体何を話してきたのか、という言葉を目で訴えてくるようだった。



「えー、結論出ました。やっぱりどう考えても3人にはついてきて欲しくないです。本当に。すごく嫌です」


「嫌がりすぎでしょ……」


 マリーのぼやきを無視して進める。


「しかし、3人がリントと一緒に居たいと言う気持ちもわかり………いや、わからない。わかりたくない。ぶっちゃけクソ喰ら──」

「アキラさん、話が進みません」

「うん、ごめん。──3人の希望を汲み、妥協案を考えました。………これで納得してくれ。さて、その妥協案ってのは──」


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