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副業勇者(仮)  作者: 安居剛
おみまいするぞー
13/44

13話 嫁と遭遇

 


 さて、リッチを倒した後は、何事もなく予定通り三日で王都ラフェリアに到着した。

 二日目と三日目は魔物も賊も出てこなかったので、フィックスはひたすらつまんねーつまんねーとぼやいていた。

 休憩時間のたびに組手しようぜと言われて断るのが大変だった。

 いくら腕相撲で勝ったって、剣の達人とまともに戦闘なんかしたら普通に死ぬわ。


 リッチを倒してから、ルシャナのテンションが若干低めだったが、いつもがうるさいのでちょうどいいだろう。


 王都に着くと、門で衛兵に身元確認をされた。

 フィックスはSランク冒険者としてすんなり通れたが、俺が引っ掛かった。

 身元を証明するものがないので、平民としてはいつものことらしい。

 ただ、俺の荷物があまりにも少なく、数少ない持ち物がスマホとタブレットだったからやたら時間がかかった。

 これは何だ、何に使うものだ、どうやって使うのか、危険はないのか、どこでこんなものを手に入れたかと質問攻めにあったが、フィックスが何かあったら自分が責任をとるから大丈夫と安全を主張してくれたのでなんとか答えずに通れた。

 フィックスはこの国ではやたら信用されているらしい。気になるけど剣聖が言うなら大丈夫だろうと衛兵も了承した。Sランクの人望すげえ。


 ちなみにフィックスにはその二つについて教えてある。俺が神の使いであるというのを信じているようなので、神様の不思議アイテムということですんなり納得した。

 いや、助かるけどそれでいいのか?とは思ったけど。


 ちなみにタブレットはこの世界じゃ今のところ役に立たないし、スマホもダーナ様との通話しかできないようだ。



「とりあえず、せっかく来たんだし王都を適当に散策してみるか。アキラ、ここに来るのも初めてだろ?」


 というフィックスの提案に同意し、少し街を見て回ることにした。


 王都の町並みは当たり前だがタストの町より明らかに賑わっていて、多種多様の人種でごった返していた。

 いかにも異世界といった風で、カラフルな髪色や獣耳なんかがちらほら見られた。

 すると、フィックスが誰か知り合いを見つけたようで、前にいる一人の女性に声をかけた。


「あ!おーいフィオナー!ちょうど良かったー!」


 声をかけられた女性は、振り返ってフィックスに気づくと、少し嬉しそうにして近寄ってきた。


「フィックスさん!お久しぶりです!王都に来てたんですね!」


 フィオナと呼ばれた女性は、水色の髪をまっすぐ背中まで伸ばした、清楚を絵に描いたような美少女だった。

 やっと異世界って感じの女性に出会えた気がする。


「ちょっとアイツに久しぶりに会おうと思ってな。手間が省けて良かった。ああアキラ、この娘が勇者の嫁一人目」


 なんだと。

 いや予想はしてたけども。やっぱりこのレベルの嫁を貰ってやがるのか。

 理不尽な敵意が湧いてくる。


「えっと…そちらのお二人は新しいお仲間さんですか?」


 フィオナさんが俺の方を見て少し警戒してる様子でフィックスに質問する。

 人相があまり良くない自覚はあるけどもちょっと悲しい。


「まあそんなもんだ。マッチョの方がアキラで、金髪がルシャナ。俺が久々に会いたかったってのもあるが、実はアキラを勇者に会わせてやろうと思ってな」


「初めまして。大室亨と言います」


「ルシャナです。よろしくー」


 俺はいつも通り当たり障りのない挨拶、ルシャナが威厳のない軽い挨拶をする。

 まあとても初見では俺達が勇者たちと同じ、救世神と転移してきた異世界人だとは思わないだろう。


「あら、そうなんですか。でもどうして?」


「ん~………説明めんどくせえ!」


「ええ……」


 フィオナさんの真っ当な質問をフィックスがバッサリ切り捨てる。いや、そこは適当な理由言っとこうよ。自分で言うのもあれだが初対面のこんなヤツがいきなり会いたいって押し掛けても困るだろ。


「別に面倒な説明しなくていいでしょ。アキラくんは君の旦那と同じ」

「はいストーップ!!」


 またルシャナが面倒の元になる発言をしそうだったので慌てて口を塞ぐ。


「ここに来る前お前なんて言ってたっけ……?」


 親指と人差し指をルシャナの目に近づける。


「はい!ごめんなさい!重要な発言の前には許可を取ります!だからまぶたはやめて!!」


 わかれば良い。


「旦那……リントのことですか?」


 旦那という言葉に反応し、フィオナさんが少し顔を赤くして問いかける。


「そうそう。あぁ、アキラ、リントってのがアイツの名前な」


 フィックスが答える。


「ていうかアキラ、何で隠すんだ?別に言っても問題ないんじゃねえの?」


「いや、平民の俺がそんなこと言ってもただの妄想にしか聞こえないでしょ……」


「そうか?俺は別に言われてみればそうなのかなって感じだけど」


「ほら、アキラくん!フィックスもこう言ってるし教えてもいいんじゃない?」


「お前は黙ってろ」


 だからそもそも最後までやる気ないんだって。あんま言いふらしてもし既成事実みたいになったらどうすんだ。


「あの、さっきから何の話ですか……?」


 ほらフィオナさんが気にし始めちゃったじゃん!

 とにかく俺は自分から勇者とは名乗らないからな。


「ん~、アキラがそんなに隠すんじゃ仕方ないな。とりあえずリントに会わせてくれよ。話はそっからだ」


「はぁ…まあフィックスさんが言うなら悪いことでは無さそうですし…わかりました。家まで案内します」




 こうして、フィックスがなんとか軌道修正し、勇者の家へ向かうことになった。



「せっかくなんだから言ってチヤホヤされればいいのに……」



 ルシャナがぶーたれている。いや、勇者の嫁に言ったって別にチヤホヤはされないだろうよ。あの様子じゃ相当惚れてるみたいだし。爆発すればいいのに。

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