第3話 繰り返し
今日はまたバイトの面接、今のところ10連敗中。まあ左手麻痺してる人を採用する人の方がどうかしてると思うし、当たり前の結果と言えば当たり前の結果。正直落ち込んではいた、でも最初から諦めてるから絶望してるわけでは無かった。
(今日遠藤さんにバイトの面接行くって何も言ってないからもしかしたら探させてしまってるかも、、でも連絡先持ってないからなあ)
「では採用の場合は3日以内に連絡致しますので、不採用の場合は連絡は差し上げませんのでご了承ください」
(はあ面接終わりと、まあ今回もどうせ落ちると思うけど)
面接の時には毎回正直に左手が麻痺しているということを伝えている。もし伝えないで採用を貰えたとしても、その後できない作業が多くて迷惑をかけなく無いからだ。
(正直に伝えてるから10連敗中なんだけどね笑)
でもお金は必要だからバイトの面接は受かるまで続けるしかない。ライブの為のお金、カラオケに行くお金、友達と長期休みに旅行に行くお金、あとやってるゲームに課金するお金。
私は結構お金使いが荒い方だと自覚している。ゲームに欲しいキャラが来たらなんの躊躇いもなく課金するぐらいだ。あとカラオケにも頻繁に行く。歌ってる時とゲームをしてる時は特に左手の麻痺を忘れられる。だからこれらにお金を使うことを勿体ないとは思わない。寧ろ自分の精神安定剤だ。
(この後どうしよう、帰ってもスマホいじるだけで終わりそう、、1人カラオケでも行こうかな)
今日も麗舞ちゃんに会えると思って図書館に足を運んだけど、麗舞ちゃんの姿はいつも座ってる椅子には無かった。他の椅子に座ってるのかなと周りを探してもやっぱりどこにもいなかった。
(私、麗舞ちゃんに嫌われた、、?麗舞ちゃん凄い大人しそうな子だし、私距離の詰め方間違えたかな、、
明日から3連休だから麗舞ちゃんに会えるとしても4日後の火曜日、うう、麗舞ちゃんに会いたい)
4日後
結局バイトの面接先から連絡は来なかった。
(まあ知ってたけど)
落ちた直後はやっぱり精神的にきつかった。
「髭男聴こ」
落ち込んだ時は髭男を聴いている、音楽はいつでも私の味方でいてくれる、音楽は私を裏切らないこの世で唯一の存在だった。
(これで11連敗、いつになったらこの戦い終わるんだ。まあいっか、今日の放課後どうしようかな、アプリ開発やる気起きないけど、図書館で読書でもしようかな。もしかしたら遠藤さんに会えるかもっっ、て、期待しちゃダメだ、遠藤さんに期待しないようにしないと)
放課後図書館に足を運んでいつもの席に座ろうとしたら、遠藤さんがいつも私が座ってる席に座っていた。気づいたら私は読書をしている遠藤さんの肩にポンと手を置いていた。
「久しぶり遠藤さん」
振り返った遠藤さんはとっても嬉しそうにこちらを見つめる、笑顔になった彼女の顔は私の心を暖かくしてくれるには十分すぎるほど可愛かった。
「麗舞ちゃーん!久しぶりだね!良かった、、」
「良かった?」
「え、あ、うん、金曜日麗舞ちゃん図書館居なかったから、てっきり私嫌われちゃったかと思って凄く不安だったの」
「えそうだったの!?ごめん心配させて、金曜日はバイトの面接があったから図書館には行けなかったんだ」
「そうだったんだ!面接お疲れ様〜、ほんと良かった嫌われてなくて」
(ああ、遠藤さんに会えた、嬉しいな、でも不採用決まった直後だから心から喜べない、、)
「麗舞ちゃん、何かあった?」
「え、なんで?」
「いつもより声のトーンが低いっていうか、元気なく聞こえたから」
(っっっ)
「いや、えーっとなんでもないよ、ありがとう遠藤さん、ほんとなんでもないから」
実際本当になんでもなかった、不採用に落ち込んでいたとはいえ、11回目だ、もう慣れたものだった、でもここで遠藤さんに弱音を吐きたくなってしまった自分がいることに気づいた時、泣き出してしまいそうだった、それぐらい私の精神は限界だった
(私、人に弱音の吐き方忘れちゃった、また繰り返しだ、また誰にも助けを呼べない、また私の心は壊れていく)
すると2本の腕が私の体を覆った
「麗舞ちゃん、そんな悲しそうな顔しないで、私話聞くよ?」
その暖かい腕に包まれた時、私の目は透明な水のせいで何も見えなかった。




