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迷宮ー4

至宝


いよいよ、最後の時が来た。あの扉を開ける時だ。バッグを取り出して、一旦外しておいた4つの石柱を手にする。


石柱には、一つ一つに違う紋様が刻まれている。それを確かめながら、同じ紋様が描かれている鍵穴へと差し込む。

それが4か所全て終わっても、また扉になんの変化はない。


自動的に扉は開くと思っていたが、そうではないらしい。

鍵穴の下側についていた、取っ手を押してみた。今回は、反応が有った。少しずつ前方へ開いていく。


両方の扉を、二人ずつで押していくと扉はついに全開した。中はぼんやりと明るい。

中央正面の目の高さの場所に、石の柱に乗った小さな黒い立方体が有る。


それだけだ。何か、拍子抜けしてしまった。

もっとすごいお宝が有ると思って、期待したのに。金銀は勿論、宝石類もない。


それでは、ルネが持っていた金塊は何だったのだろう。

単に、盗賊が地図と一緒に持っていただけだったんだろうか?そんな事を考えていたら、美月がその立方体へ近づいて凝視していた。


「アラタ、ここは洞窟の一番奥なのに、どうして少し明るいのだと思う?」

と、聞いてきた。ヘッドライトの明るさではない。


新太も、最初は何故なんだろうと不思議に思ったが、それだけだった。

深くは考えなかったのだ。良く回りを見ると、部屋の片隅の上の方に光源らしい装置が有った。


岩の壁と同化していたので分からなかったが、確かにそこには灯りが有る。

ところが、電線のようなものは一切見当たらない。

壁は岩盤だったから、中を通してあるとも考えられない。


美月が、答えをくれた。

「この黒い立方体が電源よ。ここからエネルギーが出ていて、あの光源に作用しているみたい。どういう仕組みになっているか、アローに戻ったら調べてみるわ。」


その立方体は、1辺が10センチ程度しかない。持ち出せるのかも分からなかったが、美月はそんな事も気にせずに、それを手に取った。何処へも繋がっていなかった。


それでもまだ部屋は明るい。もしかしたら、このエネルギー源は、電線などなくとも何処へでも繋がる性質が有るのかも知れない。そうだとしても、この明るさでは大したエネルギーは得られないのではないかと思った。


美月の会話は、リリアとルネにはチンプンカンプンであろう。でも、新太には理解が出来た。その結果が楽しみだった。


ところが、調べるまでもなかったのだ。それはシャトルに乗った時に、はっきりと分かった。シャトルの起動スイッチを入れると、直ぐにエネルギーが満杯になったのだ。


シャトルのエネルギーは、アローから供給される。そのアローのエネルギーは、太陽熱から供給されている。だからアローのエネルギーが少なくなった時には、太陽の傍で待機していなくてはならない。


それが、今はアローと繋がっていないにもかかわらず、エネルギーがあっという間に供給されたのだ。


美月は興奮を抑えられないようだ、アローへと急いだ。

アローに着くと、またしてもアローのエネルギーは満杯になった。


「これは、どういう事かしら?」

立方体は、其処へ置かれているだけだ。何処とも繋がっていない。


「アラタ、リリアさん、ルネさん、少しだけ私の我儘に付き合ってくれる?」

美月が聞いた。リリアは不思議そうな顔をして聞き直した。


「何をしたいの?私は構わないけれど。」

すると、ルネも同意する。新太に異議が有るはずはない。


「少し、アローで実験をしたいの。驚かないでね。」

そう言うと、アローを周回軌道から離脱させて、宇宙の彼方へ飛んでいった。


「この辺りでいいわね。」

そう独り言を言うと《ジャンプさせるね》と言って、アローをワープさせた。

と思ったら、直ぐに元の宇宙空間へ戻った。


「えっ、失敗なの?」

新太は、ワープを経験したことが有った為、今のワープは失敗だったと判断した。

こんなに早く、通常の宇宙空間が現れる筈がない。


「いいえ、成功しているわ。見て、あれは私の母星よ。」

前方に見えて来たのは、かつて父親の春斗が訪れた事のある《カザム》であるようだ。


「今までだったら、此処まではワープしても5日は掛かった場所なの。それが一瞬で来てしまったわ。これはエネルギーの違いよ。このボックスは、とんでもないエネルギーを秘めているのよ。それに、ワープしたのに全くと言っていいほど、エネルギーが減っていないわ。」


母星のカザムでは、突然現れたアローに驚いたようだ。通常だったなら、現れる前にエネルギー反応を察知して、歓迎したり迎撃したりする準備ができるのにだ。


カザムから通信が来た。

「こちらはカザム第四宇宙基地、アローと思われる船に連絡する。ミツキ、ミツキで間違いないか?」


すかさず、美月が返事を返した。

「はい、ミツキです。お騒がせしました。ただいま実験中でした。寄港せずに、また出発しますが申し訳ありません。」


そう言い残すと、すかさずジャンプにかかった。それこそ、あっ、と言う間に元の宇宙空間へ戻っている。


「シールドの威力も、魚雷やビーム砲の威力も確かめたいけれど、いいかしら。でも、きっと威力は何倍も増していると思うわ。」


そういうと、今度は流星群のある場所を探していく。

「ここから割と近くに、小規模だけれど流星群を見つけたわ。帰る前に寄り道させて。」


美月が楽しそうに言っている。

その流星群へ向かって、アローは飛行していく。前方に大小さまざまな流星が現れて来て、アローの方へ向かって来ていた。


「アラタ、見ていて。」

美月がそう言うと、レーザー光線のトリガーに手を掛けた。向かって来ている流星群の中へ、黄金色のレーザー光線が吸い込まれていった。


どれかに当たったのだろう。その付近で、爆発が起こって流星の欠片が飛び散った。

と思ったら、それを中心に何倍かの広範囲に爆発が広がった。


「やはりそうだわ。今までは、最初の爆発がせいぜいだったの。それに、射程距離も今までの3倍が有ったの。正直、当たるとは思わなかった。次は魚雷を試してみる。」


今度は、魚雷が発射された。赤い球体が、飛んでいく。レーザーよりもはるかに広い範囲で、それも凄まじい大爆発が起こって、流星群の1/3が消滅してしまった。


それには、流石の美月も想定外だったのだろう。

「凄い!何なのこの威力は。」

驚きを隠せないでいた。


「大丈夫だけれど、椅子へちゃんと座ってシートベルトを締めて置いて。」

今度はそう指示している。4人はそれまでディスプレイの前で立っていたが、近くの椅子へ座りシートベルトを装着した。


「行くわよ。」

美月の声と共に、アローは流星群へ突っ込んでいった。2//3になったといっても、まだまだ巨大な流星も有った。体積は、アローの10倍以上も有りそうだ。


その流星が、真っ先にアローへ衝突してくる。とてつもない衝撃と衝突音に襲われると思ったが、案に反して衝撃もまして音も伝わってこない。


紛れもなくモニターは、流星との衝突を示している。その後も、小さな流星が次々と衝突してきたが、シャトル内では何の変化もない。シールドの威力も、大幅に上がっていたのだ。


美月はそれを確認して

「次に会うまでに、ブレスレットのパーソナルシールドとレーザーの威力が高められるかどうか、研究をしておくわ。楽しみにね。」

そう言ってほほ笑んでいる。


このエネルギーの源は、何かは分からない。今までの経験から推察すれば、太古の文明が残したか、それこそ宇宙の果てから来たもっと文明の進んだ種族が残したか、全ては謎だが、それを利用する手立てはもう手の中に有る。


それだけでも、新太と美月には至宝を手に入れたと思っている。

至宝と言えば、金塊の疑問がまだ残っていた。たまたま盗賊か誰かの金塊を、ルネが漂流の最中に懐へ入れたと考えていたが、そうでもないかもしれない。


ついでの事に、調べる事にした。

新太と特に美月にとっては、エネルギーは至宝としても、リリアとルネには無縁のものだ。少なくとも、ルネには何かを残してやりたい。


その疑問を解くために、アローに乗っている間に、新しい大陸の隅々までサーチしていった。どこかに、金塊か金脈が埋まっていないか確かめるためだ。


するとあの始まりの村、《エタ》にその反応が有った。

そう言えば、エタから始まった一連の冒険は、危険極まりなかった。


並の人間が成し遂げようとしても、出来そうもない。最初のエタで、あの白蛇に飲み込まれてしまうのがおちだ。


そうだとすれば、そのエタの近くに、金塊の産出する場所が有っても不思議ではない。地図と一緒に見つかったのは、それが原因だと思われる。


地図を持っていた者が、その金塊を探し当てて、大蛇に飲み込まれたかして失敗した後で、仲間の一人が隠し持っていた可能性が有る。


アローからシャトルに乗り換え、あの白蛇が出た池の畔へ降りた。

流石にもう白い大蛇は居なかった。細かく調べていくと、金の反応はあの大樹の根元からだった。


その付近を、掘削機の力を借りて掘り起こす。

数十メートル掘り進むと、根の先は岩盤になっていた。その岩盤のサンプルを掘り出すと、まさしく金が出た。


それで、次には積極的に掘りだして行くと、ついには大きな金塊を掘り出すことに成功した。そこには大規模な金脈が有りそうだ。


辺り一面を広範囲に掘れば、金の露天掘りが出来そうだ。でも、そうする事は止めた。まだ、この国のためにもならない。


取り敢えず、数10キロの金塊を手にして、掘り起こすのを止めて後は元通りに埋め直した。でも、これだけで日本円にして数億円になるはずだ。


セルレイの国では、どの程度の価値になるのだろうか。この金塊は、ロングバンテ家へ寄贈する事にした。

勿論、ルネにも分けて欲しいと依頼するつもりでいる。


3人は、セルレイのロングバンテ家に戻った。

美月はアローに残って、あの黒いボックスの研究をすると言っている。


 新太はジェルマンに、自分の我儘の為に10日以上も家を空けた事や、リリアとルネも連れ出したことを詫びた。そして、事の顛末(てんまつ)を話せる範囲で説明したが、結果的には大部分を省いている。


金塊の埋蔵量が、すこぶる多い場所を見つけた事は詳細に説明した。が、ジェルマンはそれ程興味を示さない。


やはり、現地へ行って金を掘り出し、また戻って来なければならない、そのコストパフォーマンスが悪いと分かったからだと理解した。


続きは明日。 七 紛争

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