第二十五話 美雨の気づき
第二十五話
通された部屋は、とても豪華だった。
ベッドもふかふか、部屋の大きさもとても広く、二階なので広大な庭が見渡せる。
俺は部屋に荷物を置く。
「美雨、お兄ちゃんはちょっと稽古に行ってくるから、ここでおとなしく待ってて」
ベッドで遊んでいる美雨に話しかけた。
「美雨も行くよ?」
「え?いやいや!危ないからここにいて!」
「遠くから見てるだけだから!」
妹にそう押され、しぶしぶ連れて行くことにした。
――――――――
俺たちは練習場である裏庭に向かった。
「なんかこの感じ……お父さんとの稽古を思い出すね!」
「嫌な思い出だよ。どれだけしごかれたか…」
「でも、そのおかげで今があるんでしょ?お兄ちゃんがいなかったら、私達どうなってたか分からなかったんだよ?」
……九歳にしてこの洞察力。やっぱり神代の「神事」を継ぐ血筋は伊達じゃないな。
「それに、今のお兄ちゃん。あの日、誰にも言えずに一人で戦っていた時より、ずっと生き生きしてるよ」
「いや、そんなわけないだろ?いつも命がけなんだからさ」
「そうかなぁ〜?」
美雨がニヤニヤしながらこっちを見てくる。
「〜〜!ほら!早く行くぞ!」
「はーい!」
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「遅いですよ、隊長。……おや?美雨さんも一緒ですか」
「すまんな。どうしてもついていきたいっていうもんだからさ」
「おお!美雨ちゃん!さっきぶりだけど久しぶりだなぁ〜!大きくなったんじゃないか?」
「それって、会ったときに話すことだと思うよ。鬼塚お兄ちゃん。あと、一年だけでそんなに大きくならないよ!」
鬼塚は、親戚のおっちゃんのような発言をして、美雨を困らせている。
「鬼塚、悪いが少し美雨に付き合ってやってくれ」
「え?いいのか?訓練しないといけないんじゃ……」
「俺が先に鷹宮と訓練しておくよ」
鬼塚が了解サインを出し、俺は鷹宮の元へ行った。
「さて……。で、俺は何をすればいいんだ?もちろん考えてあるんだろ?」
鷹宮が勿論というような顔で頷いた。
「もちろんですよ。今から隊長には、銃弾を避けてもらいます」
…………こいつは何を言っているのだろう。
「ごめん、理解できなかったわ。もう一度言ってくれるか?」
「今から隊長には、銃弾を避けてもらいます」
「お前何言ってんの?死ぬよ?」
鷹宮は冗談っぽく笑う。
「冗談なわけがないでしょう?隊長なら、体の数カ所に風穴があいても、死にはしないでしょうし」
「俺を人外呼ばわりするな」
「では、もう始めますよ」
「はっ?ちょっとまっ――」
合図と同時に、鷹宮は重力を無視したような動きで後方に跳躍した。
その手には、およそ訓練用とは思えない重機関銃。
背負った大容量の弾倉から、給弾ベルトが飢えた蛇のように蠢いている。
そして、大量の弾丸が振り注ぐ。
やるしかなさそうだな。
「――久しぶりだなぁ。この感じ。まるで昔に戻ったみたいだ」
腰に差していた刀に手を添える。
「父さんと似たようなことをしやがって」
肺の隅々まで酸素を送り込み、極限まで神経を研ぎ澄ます。
視界から色が消え、振り注ぐ弾丸の軌道だけが、黄金の線となって脳裏に刻まれた。
「父さんに鍛えられた俺を、甘く見るんじゃねえぞ?」
息を吸い、その言葉を発した。
「――能力併用!!――必刀奥義・『桜花爛漫』!!」




