第二十一話 家族を守るということ(前編)
第二十一話 家族を守るということ(前編)
鷹宮が手配した高級車の後部座席で、俺は二人で座っていた。
月城との死闘が俺たちに刻んだ傷は、精神を削るほどに深かった。
……少しだけ、目を閉じようか。
三人とも、静かに寝息を立てている。
その様子に釣られるように、俺の意識もゆっくりと闇の中へ溶けていった。
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「よしっ、今日の稽古はこれで終わるか」
「はぁっ……はぁっ……やっと……終わった……」
俺は地面に手をつき、震える足でようやく立ち上がった。
全身が鉛のように重い。
何度も一閃を繰り出した結果、筋肉は悲鳴を上げ、視界がわずかに揺れている。
「空和、だいぶ上達したんじゃないか?」
「そうじゃなかったら……やってられない……だろ……」
呼吸を整えようとするが、肺が熱くて上手くいかない。
明日は間違いなく、猛烈な筋肉痛で悶えることになるだろう。
「家に戻るぞ。もう夕方だ。シャワー浴びて飯を食べないとな!」
もうお腹ペコペコだ。
夕焼けに染まる道場を背に、父さんと二人で家路につく。
――――――――
「お疲れ様、ご飯はもうできてるよ」
「お兄ちゃんお疲れ様!」
シャワーから上がると、食卓には湯気の立つ料理が並んでいた。
俺は空腹の限界を感じながら、大皿の料理を口に運ぶ。
「うおっ!うまそ〜!いっただきま~す!」
俺はすぐに料理を頬張る。
「うん!やっぱり母さんの料理は美味いな!」
父さんも満足気に箸を動かしている。
和やかな夕食のひと時。
ふと、父さんが箸を止めて俺を見た。
「そう言えば空和。学校はどうだ?楽しいか?」
「うーん……どうだろうな」
俺は少し言葉を濁す。
いじめられているわけではない。苦手ではあるが。
「自己紹介で、刀術を練習してるって言ったら笑われた。見せろって何度も言われたよ」
俺の言葉を聞いた途端、父さんの表情から笑みが消えた。
「……バカにされたのか」
「まぁ、そんなところかな」
「空和。今後も刀術は人前では見せるなよ。俺達の技は、決して公にできるような代物じゃない」
「……わかってるよ」
「わかっていればいい。そんなつまらんこと言う連中とは、関わる必要はない」
父さんの言葉には、ただの注意以上の重みが宿っていた。
俺は小さくうなずき、静かに味噌汁をすする。
その後は、父さんは笑みを戻した。
――――――――
「美雨、今日は神社に行くのか?」
「うん!お母さんのお手伝いしてくる!」
玄関で、美雨が母さんと出かけようとしている。
父さんは買い物にいき、家には俺一人。
俺は少し迷った後、玄関へ向かった。
いつも神社で何をしているんだろう。
その疑問が、俺を突き動かす。
「待って!俺も行く!」
母さんと美雨の背中に声をかけ、俺は扉を開けた。
読んでいただきありがとうございます。
あれっ。神代目線なのに3人ですね。鬼塚と鷹宮とあとは誰でしょう?
まあ、そこまで重要じゃないんですけどね。
情報部の上司とかいうつまらない設定ではないですよ。
合宿ですからね。数日家を空ける訳ですし、一人しかいませんよね。




