また、魔王に説明させる。
♢22♢
「ヤロウたちにお土産だよー。これ読んでそれぞれの職業の心構えとか覚えろよ」
さっそく今日から始めるシリーズを勇者たちに手渡す。全部丸暗記させようと思う。
「ところで……アンは? 姿が見えないんだけど……」
買い出しといえば2人でが当たり前になっているので、勇者はアンがいないことを訝しむ。
「おいてきた。今ごろは迷子案内されているだろう」
「「???」」
勇者たちの頭には疑問しかないだろうが、アクマートの説明はしない。あそこは人をダメにする。まさに悪魔の店。
「アンたちは夕方に迎えに行くから大丈夫だ。人の心配より自分の心配をしろ。ホネは容赦とかないぞ。明日も死にたくなければ、それ読んで勉強しろ」
勇者たち男3人の顔色は真っ青に変わっていく。それを見れば今日どんな思いをしたのかが分かる。
「マオちゃん。ホネさんの弱点とか教えていただくわけにはいかないでしょうか?」
「ふむ、戦力差を埋めるには必要か」
「「教えてくれるんですか!」」
「剣技はどうにもならんが骨の外装の弱点なら教えてやろう。あれは自動で動いているわけではない。あくまでホネが操作している。動かす視点は一つということだ」
「……だから?」
「あとは自分で考えろ」
地力が足りないのなら頭も使わなくてな。ヒントはくれてやるがあとは自分たちで乗り切れ。
♢
勇者たちが勉強している横でゴロゴロしていると、──ピンポーン。そう玄関のチャイムが鳴る。
「勇者、誰かきたよ。出てー」
「さっきからお菓子食べてゴロゴロしてるだけなのに、俺に行けと?」
「喋ってるまにいけよ。ポテト1枚あげるから」
「…………」
無言で勇者は立ち上がり玄関にいく。
玄関チャイムが鳴ってるの初めて聞いた。不毛な大地にやってくるヤツなんていないからね。
「先代、頼まれた件。調べてきました」
「なんだ魔王か。実はお前暇なのか? こんなところまで、のこのこ来てさ」
「……急ぎで調べてきたのにこの言われよう。どう思う?」
魔王は隣の勇者に返答を求める。
なんかこいつら仲良さげ。一緒に埋まったからかな?
「いつもだろ?」
いつもなんだって。大変だね。
「それで、チョロそうな魔王はいたのか?」
「その注文も大概おかしいんですが、1人可能性ありそうなのを見つけてきました」
「──おっ、流石は魔王くん。説明して」
流石はインテリ系。今は任侠の人ふうの魔王くんは、昔からそういうの得意だった。
「それはいいが……アンタ起きろよ。その体勢で足バタバタしてると見えてるぞ」
「勇者。スケさん。カクさん。 ……つまりお前からも見えてたわけだ。それを言わなかったのか、言えなかったのか。どっち?」
まぁ、どっちにしても許さんがな。
「本に夢中で気付きませんでした」
「上手い返しだし本当かもしれない」
「良かった。また、バイオレンスが吹き荒れるのかと」
「……しかしだな。疑わしきは罰するでやってるから、そういうの意味ないんだ」
こういうことは女子的に許さない。ちゃんと見た分の金を払うか、体で払うかだと思う。
「真面目な話をしにきてんだ。ちゃんとしてくれ」
「むっ、魔王のくせに生意気だな。 ……わかった。儂の配慮が足りなかった。話を始めろ」
「全員いないがいいのか? それにウチの娘はどうした?」
「2人仲良くお買い物だ。夕方には帰ってくる」
「なら、始めちまっていいんですね」
「いいよー」
♢
魔王くんに、勇者たちにも倒せそうな魔王を見つけてくれと頼んだ。
その結果、無茶な依頼だが見つけてきた。
魔王くんと同じように魔王力を受け継いで魔王になったヤツを。金の魔王とか、黄金の魔王とか呼ばれているヤツを。
触れるものを皆、黄金に変える力を持つ魔王。金ピカの界に君臨する魔王。
作り出す黄金はコイツが魔王である限り本物である。倒されれば黄金は消え、持ってるヤツは損をする。
勇者たちがコイツを倒せば、魔王くんにも特になる。自分の利益もちゃんと計算してるあたりが魔王くんらしい。
信用で価値が保証されている魔王の黄金が、もし無くなったら多大な損失がでる。その損失を被る相手の中に魔王くんのライバルが含まれている。狙いはそれらしい。
ひくわー、普通にひくわー。
ライバルを貶めて自分は利益を得ようとか、本当にひくわー。
かくいう儂も金ピカの界を貰う約束を取り付けた。勇者たちは討伐金を。儂は界を。魔王くんはこれによる利益を。それぞれ頂きます。
金ピカは裏では黄金を利用してやりたい放題なようなので容赦とかはありません。使う力も知ってるから対策もバッチリ仕込みます。
酷くはない。それに、金ピカの世界よりお菓子の世界の方がいいし、可愛いよ?




