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断頭台が嫌なら世界を征服すればいいじゃない  作者: 朝日カヲル
第零章 エピローグ

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第1話 トラファルガー岬沖海戦

大日本帝国宇宙軍を執筆している朝日カヲルです。

マリー・アントワネットに興味を持ってしまい、調べている内に彼女を主人公にした小説を書きたくなってしまいました。

世界最悪の悪役令嬢・悪役王妃などと言われる彼女。数々の「悪役令嬢断罪」のモチーフになった彼女。その人生はヴェルサイユという魔窟の中で翻弄された数奇な物だったと思います。


そして私のこの物語は、マリー・アントワネットが自らの将来を知り、それを回避するために善政を敷いて富国強兵に務めたら、イギリスを破って1800年代前半に、植民地支配のない平和で豊かな世界を作っちゃった、とう話に出来たらと思っています。


マリー・アントワネットのif物語を楽しみに読んで頂けると幸いです

 西暦1805年 トラファルガー岬沖


 視界いっぱいに広がる朝焼けの大西洋。水平線の彼方には、帆を張った無数の戦列艦が、白波を立てながら迫りつつあった。


「イギリス艦隊、確認。……数、我が方の二倍とのこと」


 若い士官の報告に、旗艦の甲板に立つひとりの女が双眼鏡をゆっくりと下ろして振り返った。


 年の頃は五十路に差し掛かるはずだった。だが、風になびく金の髪、涼やかに澄んだ双眸、その佇まいは、とても半世紀を生き抜いた者とは思えぬほど、若々しく、美しく輝いて見えた。


 青・白・赤のトリコロールに彩られた大元帥服に身を包んだ彼女は、水平線近くの白い帆の群れを睨む。


 ル・グランドフランス帝国皇帝、マリー・アントワネット。


 数年前、病を得て崩御した最愛の夫、ルイ十六世の後を継ぎ、この大帝国の頂点に立つ女だった。


 彼女は、イギリス艦隊の指揮艦が誰であるかを、既に報告として受けていた。


 大英帝国が誇る、不敗の提督。ホレーショ・ネルソン。


 (……イギリス艦隊は我が方の二倍。それに、指揮するのはあのネルソン提督ね。……どう? 勝てるかしら、モン・コマンダン(司令官))


 胸の内で、彼女は“男”に問いかけた。


 長年、共に在り続けた気配――脳裏の奥深くに宿る、もう一人の意識が、くつくつと笑う気配を返した。


『くく、負けるつもりなんてこれっぽっちも無いんだろ、マリー?』


 その声には、これまでと変わらぬ、粗野で傲慢な響きがあった。だが、その言葉の温度は、かつてとは明らかに違うものだった。


『それに、もうお前は卒業だ。……これからは一緒に戦ってきた“友”として、俺のことをシャルルと呼べ』


 マリー――いや、皇帝マリー・アントワネットは、その言葉に、微かに口元を緩めた。


「……ええ。分かったわ、シャルル」


 数十年ぶりに口にする、その名。長い歳月を経て、教官と生徒だった二人は、今、対等な友として、共に一つの海を見据えていた。


 甲板を渡る潮風の中、彼女は腰のサーベルを抜いて天に掲げた。


 刃が、朝日を弾いて煌めく。


「――ボイラー全開!砲雷撃戦用意!全砲門開け!フランスの誇りを、あの人が設計したこの戦艦リシュリューの力を暁の海に示しなさいっ!!!」


 号令一下、トリコロールのセーラー服を着た水兵たちが持ち場へと散っていく。


 かつて、ただ守られるだけだった少女は、もはやどこにもいなかった。そこに立つのは、大帝国の運命をその双肩に担う、一人の皇帝だった。


 物語は、30年以上もの昔――一七七〇年、ライン川の中州に建てられた、一軒の館から始まる。

お読み頂き誠にありがとうございます。


次回更新は本日12時頃を予定しております。

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マリーの物語も何とぞよろしくお願いいたします

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― 新着の感想 ―
ポンコツで有名なマリー・アントワネットを脳内のシャルルが何処まで育てられるのか、とても楽しみです。彼女の奔放なところは残るのでしょうか???
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