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疑惑

笑いながら、ヴェスピナは男を睨みつける。



ゆっくりと歩み寄る、黒いフードの男。



低く、確信に満ちた声。



「なぜだ」



一歩、踏み出す。



「スズメバチの王族たる貴様が」



――ドゴッ!!



頬に、強烈な一撃。



視界が弾ける。



「何故ミツバチなどと共闘している」



「ッ……!」



戦場が、静まる。



ヴェスピナの眉が、ぴくりと動いた。



「……何、言ってやがる……」



男は止まらない。



「貴様の羽音」



――バゴッ!!



腹部に叩き込まれる拳。



空気が抜ける。



「がっ……!」



「貴様の武装」



――ダァン!!



蹴りが直撃し、体が弾き飛ばされる。



地面を転がり、土煙が舞う。



「その戦い方」



男はゆっくりと距離を詰める。



「すべて――」



見下ろす。



「私達と同じだ」



ヴェスピナの指が、地面を掴む。



「……は?」



かすれた声。



立ち上がろうとするが、足に力が入らない。



男はさらに一歩近づく。



「気づいていないのか」



「自分の血の正体に」



ドクン。



心臓が、強く跳ねる。



ドクン。



耳の奥で、嫌な音が鳴る。



「……は、ぁ?」



ヴェスピナの瞳が、わずかに揺れた。



男の視線は、すべてを見透かすように突き刺さる。



「その羽音」


「その魔力」


「その戦い方――」



逃げ場のない言葉。



胸の奥に突き刺さる。



(……なんだよ、それ……)



戦が始まってからずっと、見ないふりをしていた違和感。



それが――



形になり始める。

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