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お灸
「ギィィヤァァァ!!!!」
業火。
ヴェスピナ、燃焼。
「あなた……随分と好き勝手なさってるのね?」
静かな声。
だが――温度が違う。
「ひっ……ア、アピス陛下……!!」
働き蜂が震える。
食材は、首を傾げる。
ネクトリア――消えた。(高速退避)
「お灸……どころでは済ましませんよ……!!!」
「ギャアアアアアア!!!」
焼かれる。
ひたすら焼かれる。
(この火力に……耐えている……!?)
アピス、内心で驚愕。
「熱い!! 姉貴!! やばいって!!! 悪かった!! 許してください!!」
アピスはため息をつき、炎を消した。
「……今回の費用はこちらで負担します」
冷静。
「書面はどちらに?」
「と……鳥さんが咥えて……」
「……」
沈黙。
一秒。
二秒。
「グアアアアアア!!!」
再燃。
ヴェスピナ、再び燃焼。
そんな中――。
バキッ!!
不穏な音。
「待って食材ママ!!!」
ネクトリアの叫び。
巨大な七面鳥が――小さな入口に、無理やり頭を突っ込んでいた。
「絶対通れないって!!」
ポカポカと叩くが、遅い。
バキ。
バキバキ。
嫌な音が響き渡る。
そして――。
ドゴォォォン!!!!
崩壊。
鶏小屋、全壊。
丸焦げで倒れる騎士隊長。
請求書を咥えて喜ぶ鳥。
涙目で叫ぶ王女。
泣き崩れる働き蜂。
頭を抱える女王。
そして――。
全てを巻き込み、新居は消えた。




