49/103
激昂
全速力。
焔蜂最速。
小さな槍。
――それでも。
間に合わなかった。
白銀の光が。
土煙に――掻き消える。
「…………ッ」
一瞬。
音が、消えた。
そして。
「テメェェェェ!!!!」
咆哮。
怒りが、爆発する。
ヴェスピナが――消える。
次の瞬間。
激突。
転げた巨体。
その腹部へ――
真上から、拳を叩き込む。
ドゴォォン!!
衝撃。
アルジュラの体が、跳ね上がる。
軋む。
砕ける。
巨体が、悲鳴を上げる。
だが――終わらない。
ヴェスピナは、止まらない。
踏み込む。
跳ぶ。
さらに――上へ。
その手に。
巨槍が、顕現する。
怒りに呼応するように。
唸る。
膨れ上がる。
「ぶっ殺す……!!」
振り上げる。
全てを、乗せて。
そして――
振り下ろす。
ズシャアアアアア!!!
突き刺さる。
深く。
深く。
巨槍が――腹部を貫いた。
ギィィィィィィ!!!!
絶叫。
大地が、震える。
空気が、揺れる。
すべてが、軋む。
だが――
ヴェスピナは、離さない。
押し込む。
さらに、奥へ。
「沈めェェェェ!!!」
その瞬間。
アルジュラの目。
八つの光。
鈍く赤く、灯っていたそれが――
一つ。
消える。
また一つ。
消える。
ゆっくりと。
確実に。
命が、削られていく。
そして――
最後の光が、消えた。
沈黙。
巨大な女王蜘蛛は――
動かない。
もう、動かない。
想像を絶する苦しみの果てに。
完全に――
沈黙した。




