表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/60

螺旋階段を、小さな影が駆け上がる。


ネクトリアだ。


息を切らしながら、部屋を一つずつ調べていく。


「鍵が……どこかにあるはず……!」


焦りが、声に滲む。


「食材ママ……待ってて!」


扉を開ける。


違う。


また開ける。


違う。


何度も、何度も繰り返す。


だが――


次の扉は、重かった。


硬い鉄の扉。


ネクトリアの力では、簡単には開かない。


「……っ!」


体重をかける。


ゆっくりと。


ギギギ……と音を立てながら、扉が開いていく。


そして――


その中にいたのは。


見慣れた女性。


拘束されている。


「イ……イレア!?」


「ネクトリアお嬢様……申し訳ありません……」


弱々しい声。


だが、生きている。


「待って!!今、解くから!!」


ネクトリアは、必死に拘束を解いていく。


幸い。


致命的な外傷はなかった。


首への一撃のみ。


「ヴェスピナ様は……ご一緒ではないのですか?」


イレアが問う。


「お姉ちゃんは、イレアを探しに行ったっきり……」


ネクトリアの声に、不安が混じる。


「では……恐らく」


イレアの表情が、引き締まる。


「最下層の闘技場に向かわれたはず……」


「闘技場……?」


「この施設の最下層に、巨大な闘技場があります」


淡々とした説明。


だが、その内容は重い。


「お嬢様達の知る鳥が、そこで戦っておりました」


一瞬の間。


「恐らく……もう……」


その言葉を、ネクトリアが遮る。


「食材は生きてる!!」


強く。


はっきりと。


「お母さんが、諦めてなかったから!!」


その瞳に、迷いはない。


「お母……」


イレアは、理解する。


あの巨大な七面鳥。


それが――母親。


「恐らくヴェスピナ様は、その鳥をお助けになるかと……」


冷静に、状況を整理する。


「そして、そのまま闘技に巻き込まれている可能性が高いと思われます」


「お姉ちゃんなら大丈夫!」


ネクトリアが言い切る。


「とにかく、早く逃げよう!」


だが――


「お待ちください」


イレアが制止する。


差し出されたのは。


大きな鍵束。


「これ……!!」


「私に一撃を加えた者から、頂いておきました」


静かに言う。


「ネクトリア様は、上層へ向かってください」


「イレアは……?」


ネクトリアの問い。


その答えは――


迷いがなかった。


「私は、闘技に参加致します」


「え……?」


一瞬、思考が止まる。


「他にも、捕らえられている者が居るやもしれません」


イレアの瞳は、揺れない。


「ネクトリア様は、道中にてそれらの救出をお願いいたします」


役割分担。


明確な判断。


「私とヴェスピナ様で、時間を稼ぎます」


静かに。


だが、確固たる意志で。


ネクトリアは――


ほんの一瞬、迷う。


そして。


「……わかった」


頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ