乱入
地面を震わせながら、トカゲが食材へ突進する。
ドォォン!!
食材は、跳んだ。
巨大な体が、軽やかに宙を舞う。
突進を回避。
――だが。
もう満身創痍だった。
踏み込みが、わずかに遅れる。
――ガブッ!!
尾羽が、数枚。
無惨に噛みちぎられた。
バランスが崩れる。
食材の巨体が、地面へと転げ落ちた。
トカゲの口が、ゆっくりと開く。
捕食。
その瞬間――
ドゴォォン!!!
稲妻のような衝撃が、闘技場を貫いた。
トカゲの脳天に――拳が突き刺さっている。
ヴェスピナ。
その拳は、頭蓋へ深くめり込んでいた。
一撃。
それだけで。
トカゲは、沈黙した。
「食材!!」
ヴェスピナが叫ぶ。
「しっかりしろ!!」
「グル……」
だが。
食材の目は、ヴェスピナを見ていなかった。
遥か上。
蹴破られた鉄の扉を、じっと見つめている。
「おまえ……」
ヴェスピナが呟く。
その瞬間。
食材の体が、崩れた。
ばたっ。
倒れる。
「おまえ……」
声が、低くなる。
「母ちゃんを助けに来たのか……」
拳が、震える。
「こんなになるまで……」
その時だった。
「おぉぉぉ!?これは予想外だ!!」
屋台の男の声が、闘技場に響く。
観客が、どよめく。
「観客席からの乱入!!」
次の瞬間。
上空から、白い縄が落ちてきた。
トカゲの死体に絡みつく。
ズル……ズル……と。
巨体が、引き上げられていく。
やがて。
上空から――
バリバリバリッ!!
何かを、引き裂く音。
そして。
大量の血が、闘技場へ降り注いだ。
歓声が、爆発する。
狂ったように。
屋台の男が、叫ぶ。
「さあ!!」
「試合続行と行きましょう!!」




