第21話 賞の紙
冬休みが終わってから、雪まじりの雨が何度か降った。
冬の終わりが少し近づくころ、ミラは学校へ行く朝、角を曲がる数を数えなくなっていた。パン屋の匂いがする通りも、馬車の車輪が大きく響く石畳も、壁の欠けた家も、最初の頃は一つずつ確かめていた。今は、レオンが少し歩幅を落とすだけで、自然に隣を歩ける。
それでも、その朝だけは、鞄を持つ手が少し固かった。
工場の警笛が鳴り、窓ガラスが細く震えた。床の上で古い外套にくるまっていたレオンは、片目だけ開ける。寝台の上では、ミラがもう起きていた。青い髪ひもで結んだ髪は片方に傾き、膝の上に置いた両手をじっと見ている。
「今日は、学校で何かをもらいます」
レオンは外套の中から声だけ返した。
「菓子か?」
「たぶん、違います」
「じゃあ、俺の得意じゃない方だな」
ミラは少し考えた。
「得意じゃない方?」
「学校から来るものは、だいたい折るなとか、なくすなとか言われる」
「折りません」
「そう言えるのは強いな。俺は役所の紙に、かなり本気で負けかけたことがある」
「レオンさんが?」
「名簿は強かった」
レオンはようやく体を起こし、外套を肩からはがした。床に座ったまま伸びをすると、背中が小さく鳴る。
「今日は、ミラが勝つ方だといいな」
「勝つものですか」
「まだ分からない。まず、ちゃんと持って帰れるかどうかだ」
ミラは鞄の口を開け、昨日ルノー先生から聞いたことを思い出すように言った。
「先生は、一枚ずつ渡しますって言いました」
「全員にか」
「はい」
「じゃあ、俺だけ何か出し忘れたわけじゃないな」
「レオンさんがもらうものではありません」
「俺がもらう学校の知らせは、だいたい先生の顔をしてるからな」
ミラは丁寧に頷きかけ、途中で止めた。分からないことを、全部分かった顔でしまわない。以前より、その途中で止まれるようになっていた。
朝食は硬いパンと薄い豆のスープだった。レオンは黒い鍋から湯気の薄いスープをよそい、パンを二つに割って、片方をミラの前に置いた。
「もらうものが食べ物だったら、すぐ分かります」
「食べる予定だったのか」
「山羊は食べます」
「うちに山羊はいない。いたら俺の書類が全部なくなる」
ミラは口元をゆるめた。
「今日は、山羊はいません」
「じゃあ、俺が食べないように頑張る」
「食べないでください」
「そこからか」
レオンはパンを持ったまま、ミラの鞄を見た。
「もらう紙を入れる場所は空いてるか」
ミラは鞄の口を少し開けた。
「あります」
「パンくずは?」
「ありません」
「よし。紙はパンくずに弱い」
「レオンさんの手にも弱いです」
「朝から敵が多いな」
レオンはパンをかじり、すぐに立ち上がった。遅れたら、学校でもらうものの前に時計に負ける。
市立初等校の予備学級は、その日、いつもより少し落ち着かない空気だった。
窓辺には、冬に作った白い飾りがまだいくつか残っている。角は少し丸まり、糊の弱いところは浮いていたが、春に近づいた光を受けて、前より明るく見えた。低い机の上には、何も置かれていない。子どもたちは、何か配られる時の顔をして座っていた。
ジュールは椅子に腰を下ろしているのに、上半身だけ前へ進んでいる。
「先生、今日のって食べられる?」
「食べません」
「じゃあ菓子は?」
「今日は菓子ではありません」
「じゃあ、うれしいやつ?」
「聞いてから決めてください」
ジュールは口を尖らせた。隣のルシアンは机の上を先に空け、そこへ何かが置かれる場所を作っている。マノンはミラの方へ身を寄せた。
「ミラ、折らない方がいいよ」
「折ると、だめ?」
「うちの兄さんが、前にもらったのを船にして怒られたの」
「船になるんですか」
「なったけど、駄目だった」
ミラは真面目に頷いた。
「船にしません」
ルノー先生が名簿を閉じた。髪をきちんとまとめ、いつものように必要なことから順番に進める顔をしている。
「今日は、この冬のあいだに続けたことを、一人ずつ賞にしました。大きな賞ではありません。けれど、家の人に見せていいものです」
家の人。
ミラはその言葉で、背筋を伸ばした。
先生は低い机の間を歩き、一人ずつ賞状を渡していった。
ジュールには、元気に声を出して発表したこと。
「ぼく、声は大きい」
「大きいだけではありません。聞かれたことに答える声が増えました」
「じゃあ、大きくて正しい声?」
「正しいかどうかは、これからも聞きます」
ジュールは賞状を見て、得意そうにした。
ルシアンには、道具をきちんと片づけたこと。
「ぼく、片づけた」
「はい。自分のものだけでなく、隣の机の道具も見ていました」
ルシアンは両手で受け取り、机の上にまっすぐ置いた。
マノンには、小さい子に順番を教えたこと。
「怒ってないよ」
「怒らずに言えたことも、賞に入っています」
「怒らないのも入るの?」
「入ります」
マノンは嬉しそうにのぞき込み、すぐにミラの方を見た。
ミラの番になった。
ルノー先生は机の前で足を止め、両手で持った賞状を、ミラの目の高さまで少し下げた。
「ミラさん」
「はい」
「あなたは、この冬のあいだ、毎日、自分の席へ戻ってきました。休みのあとも、同じ席に座りました。名前の字も、前より丁寧に書けるようになりました」
ミラは動かなかった。
ルノー先生は続けた。
「それから、小さい声でも、自分で答えることが増えました」
教室の椅子が鳴りやんだ。
誰より速いとか、誰より上手いとか、そういう賞ではない。けれど、ミラがこの教室へ来て、席へ戻り、鉛筆を持ち、名前を書き、声を出したことを、先生は一枚にしていた。
「これは、その賞です」
ミラは両手を出した。
白い紙の端には細い飾り線があり、真ん中にミラの名前が書いてあった。まだ全部の字を読めるわけではない。けれど、自分の名前だけは分かる。先生の字は曲がっていない。レオンの字より、ずっとまっすぐだった。
ミラは受け取ってから、すぐには笑わなかった。
「これは、返しますか」
「返しません」
「家に置いていいですか」
「はい。家の人に見せて、家に置いてください」
ミラは端を強く持たないよう、指を少し開いた。
「折りません」
「その方がいいです」
「船にもしません」
「船にする予定があったのですか」
「ありません」
マノンが横で小さく笑った。ジュールは自分の賞状を机に置き、少し羨ましそうにミラのものを見た。
「ミラの、字が多い」
「字が多いと強い?」
ミラが聞くと、ジュールは少し考えた。
「読めないと、強そう」
ルノー先生が短く言った。
「読めるようになると、もっと使えます」
その言葉に、ミラはもう一度、手元を見下ろした。
読めない字がある。けれど、名前は読める。いつか、全部読めるかもしれない。
昼が過ぎ、授業が終わる頃になっても、ミラはそれを鞄の一番上に入れていた。ほかのものに挟まれないよう、上には何も置かない。鞄のふたを閉じる時も、角が曲がっていないか確かめた。
夕方の工場では、終業の警笛が鳴ると同時に、レオンがいつもより早く手袋を外した。
水場で手を洗っていると、ロイが横へ来る。
「今日は、やけに急ぐな」
「学校で紙を一枚受け取る」
「お前が?」
「俺じゃない。ミラだ」
「なら、そんなに構えなくていいだろ」
「油がついたら、たぶん先生に刺される」
「じゃあ、爪ごと洗え」
「爪は明日も使う」
レオンはいつもより丁寧に指をこすった。爪の間の油は少し残ったが、すぐに黒い跡がつくほどではない。そう信じることにした。
ロイは布で手を拭きながら笑った。
「学校の一枚相手に、そこまで構える男も珍しい」
「役所の一枚には何度かやられてる」
「今日は勝てるといいな」
「勝つのは俺じゃない」
レオンは言ってから、自分で少し驚いた。
前なら、そんな言い方は出てこなかった気がする。紙は自分の手続きを進めるものか、止めるものだった。自分を残すか、追い出すか。自分の名前を書くか、書かないか。
今日は違う。
レオンは濡れた手を布で拭き、帽子をかぶった。
「でも、折らずに持って帰れたら、少しは俺も勝ちだ」
「そこは低い勝負だな」
「俺にはちょうどいい」
ロイの笑い声を背中で聞きながら、レオンは工場を出た。
市立初等校の門前には、迎えの大人たちが何人か集まっていた。子どもたちは鞄を抱え、今日もらったものを大事そうに持つ者もいれば、すでに折り目をつけかけて母親に止められている者もいる。
レオンは門の時計を見た。
遅れていない。
今日はかなりいい。
予備学級の入口から、ミラが出てきた。鞄を胸の前に抱え、レオンを見つけると、立ち止まらずに歩いてくる。走らない。けれど、顔がこちらへ向く早さは、最初の頃よりずいぶん速くなっていた。
「今日は、あります」
ミラはそう言って、鞄のふたを指二本ぶん開けた。
「見ていいのか」
「家の人に見せるものです」
レオンは一瞬、返事に詰まった。
家の人。
学校の門前で言われるその言葉は、役所の保護者より軽く、けれど逃げにくい。椅子があり、迎えの時間があり、鞄の中に見せるものがある。レオンは帽子の縁を押さえた。
「じゃあ、俺が見ないとだめだな」
「はい」
ルノー先生が教室の入口から出てきた。名簿を胸元に抱え、レオンの手元を一度だけ見る。
「手は洗いましたか」
「今日は石鹸にも働いてもらいました」
「それなら、石鹸の仕事を無駄にしないでください」
「先生、今日は俺よりそれに厳しいですね」
「それはミラさんのものです」
レオンは背筋を伸ばした。
「気をつけます」
ミラは鞄から賞状を取り出した。両手で持ち、レオンに見せる。真ん中には、ミラの名前があった。その下に、ルノー先生の字で、冬のあいだ続けたことが書かれている。
レオンは指先を自分の作業着で拭こうとして、寸前で止めた。拭いたら余計に油が広がる気がした。
ルノー先生が目を細める。
「今、よく止まりました」
「危なかったです」
「危ないと分かるようになったのは、進歩です」
「褒められたんですか」
「半分です」
レオンは慎重に端を持った。
読める字が並んでいる。ミラの名前。毎日、自分の席へ戻ったこと。名前の字を丁寧に書いたこと。小さい声でも答えたこと。
大きな賞ではないのだろう。金の縁もないし、役所の印もない。けれど、レオンには、送還対象名簿よりずっと強く見えた。
「ミラ」
「はい」
「これは、負ける紙じゃない」
ミラはレオンを見上げた。
「勝つ紙ですか」
「今日はそうだな」
「誰が勝ちましたか」
「お前だ」
ミラは手元を見た。
レオンは声を落として言い足した。
「あと、少しだけ俺もだ」
「レオンさんも?」
「折らずに持って帰れたらな」
ミラは真面目にレオンの手を見た。
「油をつけても、負けます」
「急に条件が厳しい」
「先生が言いました」
「先生の言葉は強いな」
ルノー先生は名簿を抱えたまま、淡々と言った。
「強いのではなく、正確です」
「ほら、強い」
「正確です」
ミラが小さく笑った。
その笑いは大きくない。けれど、学校の門前で、鞄を抱えたまま、声になってこぼれた。
帰り道、ミラは賞状を鞄の一番上に入れたまま、時々ふたの上からそっと押さえた。レオンは歩幅を落とし、馬車が通るたびにミラを通りの内側へ寄せる。
「家に置きますか」
「置く」
「どこに?」
「棚だな。倒れないように何か当てる」
「鍋の近くは、だめです」
「俺もそこまではしない」
「スープが飛びます」
「そこまで考えてるなら、俺より強い」
「濡れると、字は消えますか」
「消さない。そこは俺が見張る」
「レオンさんが?」
「信用が少し薄いな」
「見張っている時に、寝ますか」
「立って見張る」
「倒れます」
「座って見張る」
「寝ます」
「じゃあ、棚に任せる」
ミラは考えてから、口元をゆるめた。
「棚は、寝ません」
「頼もしいな」
公営労働者アパートの中庭に入ると、洗濯場でテレーズが水桶を片づけていた。エリーズは籠を抱え、マノンのほどけた髪ひもを直している。ルルは木の匙を持ったまま、トトの背中を撫でようとして逃げられていた。
テレーズがミラの鞄を見る。
「今日は何をそんなに大事そうに持ってるんだい」
「賞の紙です」
ミラが答えると、マノンがすぐに走ってきた。
「ミラももらった? 私ももらった!」
「マノンさんのも、家に置きますか」
「うん。うちはお母さんが壁に貼るって。兄さんが船にしないところ」
「船は危ないです」
「うん。賞の紙は、船より壁」
レオンは真面目に頷いた。
「名言みたいだな」
エリーズがこちらを見る。
「紙を船にしないって、今さら覚えたの?」
「俺はまだ船にしてない」
「“まだ”って言うのが危ないのよ」
テレーズが水桶を置き、ミラへ手を伸ばした。
「見せてもらってもいいかい」
ミラはレオンを見た。
レオンはすぐに言った。
「ミラのだ。見せるかどうかはミラが決める」
その言い方は借りた上着のようにぎこちなく、エリーズが目を細めた。
「今の、どこかで習ったみたいね」
「自分で考えました」
「本当?」
「半分くらいは先生の影響です」
「でしょうね」
ミラは鞄を開け、賞の紙を取り出した。テレーズは濡れていない手で受け取り、文字をゆっくり読んだ。
「毎日、自分の席へ戻ってきました。名前の字を丁寧に書きました。小さい声でも、自分で答えることが増えました」
テレーズの声から棘が引いた。
「いい紙だね」
ミラは手元を見た。
「いい紙ですか」
「いい紙だよ。これは鍋の下に敷いちゃいけない紙だ」
「敷きません」
「レオンにも言っておきな」
レオンはすぐに反論した。
「俺だって敷きませんよ」
エリーズが賞の紙を見て、静かに笑った。
「字もきれいね。ミラ、よく頑張ったわ」
ミラはすぐには頷かなかった。
褒められると、どこへ置けばいいのか分からない顔をする。嬉しくないわけではない。ただ、受け取ったものをすぐ自分の中へ入れるのが、まだ少し難しい。
ミラは両手で受け取り直した。
「家に置きます」
「そうしな」
テレーズはそう言って、レオンへ目を向けた。
「あんた、曲げるんじゃないよ」
「俺、紙一枚でここまで信用がないですか」
「紙一枚に負けかけた男だよ」
「今日は勝ちます」
「勝負にするんじゃないよ」
中庭に小さな笑いが広がった。
三階の部屋へ上がると、レオンはまず机の上を見た。
黒い鍋。皿。短くなった鉛筆。小さな木の鳥。青い髪ひもを包んでいた薄い紙の切れ端。生活のものが、相変わらず狭い机の上で肩を寄せ合っている。
「置く場所を作る」
レオンはそう言って、慌てて机の端を片づけ始めた。
鍋を簡易台所へ戻し、鉛筆を棚へ置き、木の鳥を窓辺へ移す。鳥は少し傾いたが、落ちなかった。レオンは棚の奥から薄い板を一枚出し、古い洗濯ばさみを探した。
「板は味方だ」
「板は、裏切りませんか」
「裏切ったら家具屋を呼ぶ」
「家具屋さんのお金は?」
「板を信じよう」
レオンは賞の紙の裏に薄い板を当て、洗濯ばさみでそっと留めた。洗濯ばさみは一つだけ傾いた。全体も、よく見ると右が低い。
ミラはじっと見た。
「右が低いです」
「紙じゃない。洗濯ばさみの方だ」
「紙も一緒に低いです」
「細かいところまで一緒にしなくていい」
「先生の字は、まっすぐです」
「字と留め方を同じ競技にするな」
「少しです」
「今ので負けた気がしてきた」
レオンは棚の上へ置いた。
部屋は狭い。寝台は一つで、床にはレオンの外套がある。椅子も机も、相変わらず立派ではない。けれど、棚の上には、学校から家へ来た一枚がある。
ミラはその前に立った。
「これは、学校の紙ですか」
「学校でもらった紙だな」
「家にあります」
「じゃあ、家の紙にもなった」
「返しません」
「返さない」
「明日の朝も、ありますか」
レオンは、すぐには軽口を言わなかった。
賞の紙は、薄い板に支えられて、少し曲がりながらも棚の上に立っている。そこにはミラの名前があった。席へ戻ったこと、名前を書いたこと、声を出したことが書かれていた。
役所の印もない、小さな一枚だ。
けれど、ミラがここにいる時間を、ちゃんと形にしていた。
「ある」
レオンは答えた。
「俺が寝ぼけて棚を倒さないかぎり」
ミラがこちらを見る。
「倒さないでください」
「努力する」
「努力ではなく、倒さないでください」
「先生みたいになってきたな」
「賞の紙があるからです」
「人を厳しくするな」
ミラは棚をもう一度見た。
それから、小さな声で言った。
「これは、勝つ紙です」
レオンは椅子に腰を下ろし、帽子を机の端に置いた。
「そうだな」
「レオンさんも、少し勝ちましたか」
「油をつけなかった」
「折りませんでした」
「山羊にも食われなかった」
「山羊はいません」
「大事な勝因だ」
ミラはほんの少し笑った。
窓の外では、工場の煙突から夕方の煙がゆっくり上がっている。裸電球の下で、棚の上の白い一枚だけが、部屋の中で少し明るく見えた。
レオンはそれを見上げた。
紙に負けかけた日から、ずいぶん経った気がする。
まだ、立派な保護者になったわけではない。明日の朝にはまた寝坊しかけるかもしれないし、スープを薄く作りすぎるかもしれない。ミラに聞かれて、また変な答えを返すかもしれない。
それでも今、この部屋には、ミラの賞の紙がある。
家の人に見せるものが、ちゃんと家に届いた。
「明日の朝、最初に確認するか」
レオンが言うと、ミラは少し考えてから首を横に振った。
「起きたら、先に顔を洗います」
「紙より顔か」
「先生が、清潔にと言いました」
「また先生か」
「それから見ます」
ミラは棚の上を見たまま、静かに続けた。
「急がなくても、ありますから」
レオンは返事をしようとして、一拍遅れた。
その遅れを、ミラは急かさなかった。
「ああ」
レオンはやっと答えた。
「ある」
賞の紙は、少し曲がった洗濯ばさみに留められたまま、棚の上に立っていた。
読んでくださり、ありがとうございます。
レオンとミラの生活が少しずつ変わっていく様子を、気軽に楽しんでいただければ嬉しいです。
よろしければ、最後までお付き合いください。




