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【新連載】少年の妖精主  作者: アキラク ロキ
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4/5

『物を浮かせる』少年

4話投稿しました!!ぜひよければ評価などお願い致します!

少年の妖精主


『物を浮かせる』少年


ファースの森で討伐任務中、マルク達は

妖精ミハエルと出会う。ミハエルの宿主である赤子アルを救う為、名医であるアスクーレを連れ、ジファとアルの待つ小屋へ向かうマルク達。



渓谷にかかる橋を渡るマルク達、

辺りはすっかり夜になっていた。



静かな夜の森に突然衝突音のようなものが響く



ドォン!!ガサガサ!



橋を渡り切った頃

橋の向こう岸で木々が轟音と共に倒れる



「なんだ!?」


マルクがその音に驚いていると、先行して橋を渡っていた妖精ミハエルが叫ぶ


「マルク!アスクーレ!ヘドロベアーだ!!」



「へ、ヘドロベアー!?なんですかそれ!!ジャックさんんん!知ってますか?!」


「知らねぇよ!」


ジャックに訊ねるがジャックも知らない様子


すかさずアスクーレが解説を挟む


「ヘドロベアーはファースの森にしか生息しねぇスライムの希少種だ!熊みてぇな見た目してるがな!目に入ったもん取り込んでそのまま溶かしちまう!獰猛な魔物だ」


「やばいじゃないですか!逃げましょうよ!」


焦るマルク


「いや、無理だな。完全にロックオンされちまってる俺か少年が犠牲になるしかねぇなこりゃ」


アスクーレが冷静に話す



「マルク⭐︎アスクーレを必ず守るんだ!僕の力で足止めをする!その間にアルの待つ小屋へ!」



そういうとミハエルは手をかざし能力を発動する仕草をした



…!?



「な、なんでだ!?僕の『物を浮かせる』力が…効かない!?」



なぜか手応えを感じない…?




ミハエルの力に耐性があるのか、はたまたなにかが起こっているのか分からないまま

ヘドロベアーはマルクとアスクーレの方へ全力で突進する



う、うわぁ!



「マルク!アスクーレ!」



ドォン!


間一髪で突進をかわしたマルク達の後ろで

橋にぶつかりドロドロになりながらもゆっくりと姿を再生させるヘドロベアー



グチュグチュ…グオオ!



ヘドロベアーは逃げ越しの獲物に対して勝鬨ともいえる雄叫びを上げた。


「ど、どどどうしますか!?ジャックさん!見た限り物理攻撃は効きませんよ!?」


焦るマルクにアスクーレが静かに口を開く


「マルクの言う通り、奴に物理攻撃は効かねぇな。だが、フッ。自然系の魔力がありゃあスライム系統の魔物はイチコロだぜ。」


そんな落ち着いてるってことはまさかアスクーレさんの魔力は!?




「お、おでの力は『物を透かして見る』力なんだなぁ」


急にアスクーレに付いた見るからにトロそうな中年妖精が喋り出した


「アスクーレさん冷静に話してるけど支援系じゃないですか!?しかもとんでもなくハレンチな!!」


「おっマルク俺の魔力を妖精に聞きやがったな!? まぁいいこれで分かったろ。俺たちは大ピンチってこった」



だから冷静に言うことじゃないですって



マルクがアスクーレに呆れていると

ついにジャックが口を開く


「おい!キザ男!テメェなにぼーっとしてやがる!!こいつもスライム系統なら必ず核があるはずだ!そいつを剥き出しにできるのは今はテメェしかいねぇ!!呆けた顔してねぇで気合い入れやがれ!!」


ジャックがミハエルに喝を入れた


「だ、だが僕の力は奴には効かないんだ。待ってくれ今作戦を考えるから。」



明らかに狼狽えているミハエル


「チッあいつはもう使えねぇ。元王立騎士団の隊長が聞いて呆れるぜ。おいガキ俺の力で行くぞ。」



「え、でもジャックさんこんな時にネズミやウサギを呼んだって…」



「いいからやれって言ってんだよ!それ以外に出来ることなんてねぇだろ!」


ジャックに押され、

マルクは『小動物を使役する』力を行使した


すると


「おっわ、わわ⭐︎」


マルクに向かって吸い寄せられるミハエル



!?


驚くジャックとマルク


「え!?ミハエルさん急になんですか!?」


「僕も分からないよ急にマルクに吸い寄せられたんだ⭐︎」


マルクとミハエル困惑していると

ジャックはニヤリと笑った



「おいガキあの熊スライム浮かせろ!!」


「どういうことですか??」


狂ったのかと言いたげな表情でマルクはジャックを見た


「ウルセェ!早くやれ!お前が浮くと思った物は浮く!そうイメージしろ!」


そんなやりとりをしているとヘドロベアは真っ直ぐにマルクへと突進する


うわぁ!もう、やるしかない。

そう覚悟を決めたマルクは

目をぎゅっと瞑り、唱えた


「浮け!!」



フワッ



そよ風のような音が聞こえたその後

マルクが目を開けると、目の前でヘドロベアーが空中で手足をジタバタさせてもがいている。


え!えー!?



「おー!ミハエルやっと浮かせてくれたか!たくマイペースだぜお前は昔から!」


ミハエルとマルクに起こったことを

何も知らないアスクーレは喜んでいる


「おいガキ!そのまま限界まで上空に上げて突き落とせ!!」


言われるがまま上へ上がれとイメージするマルク。


スゥーーー


遥か高く上がったヘドロベアー


満月と遥か彼方に小さく見えるヘドロベアーが重なる


「今だガキ!落とせ!!」


ジャックの号令と共に力の行使を解いた


「うぉーーー!落ちろーー!!」


マルクが叫ぶ

はるか上空からヘドロベアーがうめき声を上げながら落下する


グァァアッ!


ヒューーーーーッ


ドォォォン!!


地面に衝突し、そこらに液体が弾け飛び、地面に無数の骨と赤く光る石のような物が転がった


「あれが核だ!!早く割らないと…っ!うっ」


力の反動かふらつくマルク


「OK、それさえ分かれば任せな!!」


そういうとアスクーレはマルクの腰からナイフを抜き取り、

ヘドロベアーの核に突き刺した


ガンッ!パーーン!!


核が粉々に弾け飛び、森は再び静寂に包まれた



「ミハエルさんの力が…僕にも行使できた…?」


マルク自身も事態を把握しきれておらず

ミハエルも言葉を失っているようだった


ジャックと笑いながら口を開く


「はっはっは!さすが俺の力…!認識さえできれば妖精まで使役できるのか…!」


「え?ということは…?」


「あぁ、テメェが俺の『小動物を使役する』力を行使して、キザ野郎を使役したことで仮の宿主となり、キザ野郎の『物を浮かせる』力をテメェが行使したって訳だ。」


す、すごい、妖精も小動物のカテゴリーに入るのは意外すぎたけど…。


「ありがとうマルク。おかげでアスクーレが怪我をせずに済んだよ⭐︎さぁ。早くアルの元へ急ごう」



そういうミハエルの顔は少し曇っているように見えた



ヘドロベアーとの戦いを終えたマルク達は

アルとジファの待つ小屋に辿りついた


「アル!⭐︎名医を連れてきたぞ!!これで君も生きられる!そして立派な…おと…な、に、、」


小屋に飛び込んだミハエルは俯き、ぐっと言葉を飲み込んだ


「そんな…。」


マルクの口角が下がり、眉が上がる


「眠ってしまったようでした。ほら、今にも起きてきそうで…。」


そう言ったジファは今にも泣き出しそうだ


アルは静かに眠っているように見えたが、その心臓は鼓動を止め、体はピクリとも動かなかった。


「やっぱり。ヘドロベアーに僕の力が効かなかったんじゃない…。アルの命が尽き、僕が力を行使する依代が無くなっていたのか…。僕が…もう少し早ければ…。」



床に崩れ落ちるミハエル


するとアスクーレが呆然としているマルクを押し除けジファに向かって叫んだ


「嬢ちゃん!早くそこに赤ん坊を寝かせろ!まだ諦めるには早ぇだろ!俺が来たんだぞ!」



アスクーレはすぐにアルの救命活動に取り掛かった、



「はぁ、はぁ、今度は救うんだ!!もうこれ以上誰も俺の前で死ぬんじゃねぇ!!」



アスクーレは必死で心肺蘇生を試みる


すると、


「カッカフッ!ヒュー、ヒュー」



息を吹き返すアル



「よし!!まずは暖かいお湯だ!!それと水分!栄養失調気味だな、よし、マルクそこのソセの実と薬草を混ぜて飲ませるぞ!」



息を吹き返し、息つく間もなく指示を出すアスクーレ


マルクは言われたように栄養価の高いソセの実と、疲労回復効果のある薬草を混ぜたお湯をアルの口元に近づける


「だ、だめです飲み込みません!!アスクーレさんどうしましょう!!?」



アルは疲弊しきり、飲み込む体力も無い様子


「無理くり流し込め!まだ赤ん坊は危険な状態だ!それを飲ませなきゃまたすぐに…」


アスクーレが指示を言い切ろうとしたその時


アルは虚な目で心配と悲壮と期待を混ぜたような表情をしたミハエルを見つめた


「キャハハ…」


アルはミハエルを見つけた途端、無邪気な年相応の笑い声を上げ、その首はコテンと力無く床に落ちた


「アル…!アル!

…あぁ、あぁ…!

見えていたんだね君には!すまない…。騎士を名乗りながら僕には小さな1人も救えない…。僕はなんなんだ。国を、未来ある若者を守る為に騎士を志したのに…、これじゃあ僕が生きた理由はなんだ…!」


悲壮に満ちたミハエルは、その場で泣き崩れる


「すまない…。俺の技術が足りないばかりに…」


肩を落とすアスクーレ


マルクとジファも涙を堪えられない様子だった


するとジャックが口を開けた


「俺みたいなのに殺され、そしてお前みたいなのに殺された奴は死ぬなんて思いもしなかったろう、家族も居ただろう、未来を進めることになんの不安も抱かなかっただろう、だが死ぬ。結果みんな同じだ、それが早いか遅いか、理不尽か、はたまた不幸か、痛いか、辛いか、大半は前者だろうな。俺もそうだった、

おっさんは良くやったよアルとか言うガキは

最期は笑って死ねたんだからヨ。」



その言葉を聴き、泣き止んだミハエルは決意を決めた顔をしていた


「そうだね⭐︎ありがとうアスクーレ。」



翌朝、アルの墓の前で手を合わせる

マルクとジファ


「さぁ、アガリオに帰ろうかジファ。そろそろ帰らないとギルドの人たちが心配しちゃうと思うから」


「はい。また…ここに来ましょうね」


「うん、」


「ケッシミったれやがって!さっさとあのギルドの生意気妖精に毛皮擦り付けて泣かせに行くぞ!」


「もう、ジャックさんまだそんなこと言ってるんですか!」


ジャックの言葉に困りながらも笑い合うマルクとジファ


すると遠くからミハエルの声が聴こえる


「おーい⭐︎マルクっ!待っておくれよ⭐︎」


「なんだテメェ!キザ妖精!宿主が居なくなったんだからテメェは早く〝魔力の塔”に還りやがれ!

ん…?待てよ普通は宿主が居ない妖精は1時間もすりゃ強制送還されるはずだが何故まだここにいるんだテメェ?」


「あぁ、それがね⭐︎還れないんだ⭐︎」



!?


ミハエルの言葉に少し驚きつつも、

ジャックが推測する


「なるほど、このガキは俺の『小動物を使役する』力を介して、キザ妖精を使役して力をキザ妖精の行使した。その時点でアルの命は確かに失われていてこのキザ妖精はフリー、本来還るはずの妖精を無理くり使役したってこたぁ、つまり今のキザ妖精の宿主はマルクに書き換えられてるって訳かぁ?」



な、なにがなんだか分からない。

理解ができず困惑しているマルク


「つまりどういうことですか!?」


マルクが訊ねるとジャックは血管を浮き出しながら答えた


「このミハエルとかいうキザ妖精はテメェの魔力になったってことだよ!!」



「えーー!?」



「はは⭐︎これからよろしくねマルク。僕はアルのような子供を助けたい。真っ当な人生を送った人間の末路、精霊を増やしたいという君らの目的とも合ってはいるだろう?⭐︎」


ミハエルがマルクの周りを飛びながら語りかけた


マルクはにこりと笑って答えた


「はい!これからよろしくお願いします!ミハエルさん!」



「おーい!そろそろ行くぞ〜ガキンチョ共〜!」


「あ、アスクーレさんが呼んでる!行こうかジファ!」


「はい!」



マウォルフの毛皮の入ったバックを担ぎ、マルク達は妖精ミハエルの元宿主、アルの墓を後にする。



読んで頂きありがとうございます!投稿頻度は不定期となるので、ぜひブックマークして頂けると嬉しいです!

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