『物を浮かせる』赤子
大分期間が空いてしまい申し訳ないです(>_<)
新エピソード追加致しました!
今後も不定期となりますが、ぜひブックマークして更新をお待ち頂けたら幸いでございます(*^_^*)
マルクはアガリオ王国の街で色々あって冒険者となった。ギルドで受付嬢に付いた妖精からの煽りを受けて魔物の討伐依頼を受けようとするがランクが低くもう1人連れてくるように受付嬢に条件付けをされ、同行してくれる冒険者を探す
そこで果物店の少女『ジファ』と出会い
2人は『マウォルフ』討伐依頼へと旅立つ
アガリオ王国近郊 ファースの森
「勢いで出て来ちゃったけど、たかがマウォルフの討伐とはいえ武器もなにも持ってないんだよなぁ」
マルクが独り言のように漏らす
「短剣くらいならあるので貸しますよ!マルクさん」
ジファがそういうと小さな短剣をマルクに手渡した
「ジファ、ありがとう。」
ジファは可愛いし優しいし、本当にいい子だなぁ。
マルクがニヤニヤしているとジャックが
話に割り込む
「おい、まだか?全然居ねぇじゃねーかよ犬コロが
早くグチャグチャのメチャメチャにしてやりてぇってのによ、お前もそう思うだろ?クソ妖精」
…
ジャックはジファに付いた妖精に話しかけるも
完全に無視されている
「チッ。いい度胸だテメェ殺してやる」
「ちょっとジャックさん落ち着いて下さいって」
怒ったジャックをなだめるマルク
するとジファがハッとした顔をした
「しっ、静かにして下さい、〝声”が聴こえました。近くになにか居ますね」
ジファが恐る恐る茂みをかき分ける
「居ましたね、マウォルフが見えてるので2匹、聴こえてるのが1匹ですかね、どうしますかマルクさん」
「え、僕が決めるの!?えーっと僕らには攻撃系の魔力はないから、1匹ずつ確実に仕留めましょう!まずははぐれてる一匹から。」
うん、我ながら的確な判断だ。
「分かりました、声からするとはぐれてる一匹は周囲を警戒する見張り番のようなので私が物音を立てて誘導します、その隙にマルクさんお願いします!」
「ジファの力なかなか使えるじゃねーか。マルクあの木の上で待機するぞ。そこに誘導させて上からナイフでブッ刺せ!」
ジファの作戦にジャックが同意し、マルクはいそいそと木に登り待機する
ガサガサッ!
作戦通りジファが草むらに潜み音を掻き鳴らす
!
その物音に気づいたマウォルフは恐る恐る草むらへ近づいてくる
…、、
今だ!!
ドンッ!!
マルクが木の上から飛び降りナイフを突き立てる
ザグッ!!
見事マルクのナイフはマウォルフの首を切り付けた!
ッ!
「ダメだテメェ!浅い!」
ジャックが叫ぶ
グフッ!!ザッ!
首から少し血を流したマウォルフがマルク達に気づき、後ろに飛んだ。
ワオォォン!
マウォルフの遠吠えがファースの森に響き渡る
「おいガキ、すぐに一旦逃げるぞ!一撃で仕留められなかった。」
「え、でも1匹くらいなら僕とジファの2人かかりなら倒せますよ!」
マルクがジャックの言葉に返す
「やっぱテメェバカだな。こいつは見張り番だってジファが言ってただろうが」
ガザガサ!
ジャックがそう言った直後、遠吠えを聴いた2匹のマウォルフが草むらから出て来た
!!
あ、あぁマウォルフが3匹、今の僕らじゃ到底倒せない。せめてジファだけは逃さないと、、
「ジファ…
マルクがジファに逃げろと言おうとすると、
とっくのとうにジファは木の上に退避していた
状況判断早いんだなぁ。さすが声を聴いて先に2匹来ること分かってるだけあるなぁ。
「おい!ガキ!避けろ!」
ダダッ!ドンッ!
「う、うわぁ!」
マルクが関心している所にマウォルフが遅いかかり、間一髪で避けたマルクは腰を抜かす
あ、危なかった、つ、次が来る。逃げないと
足が動かない、、
ビビり上がってるマルクにマウォルフの鋭い爪が再び襲いかかる
「おい!ガキ!」
「マルクさん!」
ジャックとジファが叫ぶ
足が動かない、まずい!!
鋭い爪がマルクの顔面を切り裂こうとした、
その時
フォンっ
辺りに生温い風のような音が響く
マルクが目を開けると、3匹のマウォルフだけが宙に浮いていた。
…。へ?
困惑するマルクとジファ
すると空から木の葉を纏わせふわりと1人の妖精がゆったりと降りて来た
「やぁ。危なかったね⭐︎大丈夫かい?少年⭐︎」
その金の髪に端正な顔立ちをした妖精が優しい声と口調でマルクに語りかけた
かっ、かっこいい。
マルクが見惚れていると
「おいキザ男、宿主はどこだ?見当たらねぇがテメェ1人って訳じゃねぇだろ?俺たち妖精は宿主から離れられねぇんだからよ」
ジャックが金髪の妖精に問いかける
「僕の宿主は意思能力が乏してくてね、僕はある程度自由に動き回れるし、妖精の力もほぼ自由に行使できるんだよ。」
っ!!
ジャックとジファの妖精が驚いた表情をする
「そんなことありえねぇぞ!精神を乗っ取り、魔力暴走を起こしたとしても宿主との主従関係は覆らない、単体で自由に動き回れるだと?ありえねぇそんなこと!」
ジャックが金髪の妖精に焦ったようなセリフを吐く
「そうなの?⭐︎実際僕はそうだからなんとも言えないよ。ところで、僕の名前はミハエル⭐︎君たちの名前は?⭐︎」
「僕はマルクと、こっちの赤い髪の妖精さんはジャックさん、そこの女の子はジファで、妖精さんの名前は…まだ分からないです」
そういえばジファの妖精さんさっぱり喋らないけど、なにかあるのかな。
「うんうん⭐︎ところでマルク、僕の能力そろそろ切れちゃうんだけど、大丈夫そうかい?⭐︎」
あ!まずい浮いてるマウォルフのことすっかり忘れてた!!
マルクが急いでマウォルフにトドメをさそうとするとすでにジファが3匹の処理を終えていた
ゆ、有能すぎる。。ジファ
「ミハエルさんなんとお礼を言ったらいいか。。とにかく命を助けて頂きありがとうございます!」
「んー?⭐︎僕がタダで助けたと思ってるのかい?マルク」
ドキ、
爽やかな見た目で忘れてたけどそういえば妖精さんってみんな人殺しだった。ど、どんな要求されちゃうんだろう…。
「とりあえず付いて来て貰おうか⭐︎」
マルク達はミハエルに連れられ森の中にポツンと建った一軒の小屋にたどり着いた
「さぁ、入って」
ミハエルに言われるがままに小屋に入ると
!!
そこには1人のまだ一歳にもなっていないかというほどの赤子がすやすやと腐りかけた床に敷かれた布の上で眠っていた。
「え!赤ちゃんっ!!なんでこんな所に1人で!」
「そんな…。」
驚いているマルクとジファ
すると落ち着いた口調でジャックが口を開いた
「そうか、この赤ん坊がテメェの宿主ってことか」
「そうだよ⭐︎アルケイデス…アルは産まれてすぐに魔力の塔で僕、『物を浮かせることができる』力を授かり、この小屋で木こりをしていた両親と静かに暮らしていた。
だが両親はアルを置いて出て行ってしまった。この身体の僕にはどうすることも出来なかったんだ。それから数日、アルは弱ってしまってね。僕が自由に動き回れるのはその為さ⭐︎毎日水や果物を浮かせてここに運んでいたが限界が近いんだろう、最近は泣き声すら上げない。」
ミハエルは悲しそうな顔で語った。
「そんな、すぐにアガリオの街に連れて行きましょうよ!じゃないと…死んでしまう。」
マルクがそういうと、
「とても…無理ですよマルクさん、もうここまで弱ってしまっていては、ここから魔物が生息している森を抜けて街までなんて持つはずが…ないです…。それを出来るならミハエルさんもアルくんを浮かせてそうしているでしょう。」
ジファが顔を俯かせながら冷静に話す
「そんな!だってどうするんだよ!医者に見せないともう手遅れになっちゃうよ!」
「だからこそ君たちに出会えて良かった⭐︎マルク頼みがあるんだ。僕を街へ連れて行ってくれ。アルを救える医者に心当たりがある。
ジファはその間、アルを見ていてくれないか?この辺りも魔物が寄り付かない訳ではないからね。」
そうだ、今このタイミングで僕達が出会えたのはまるで奇跡…、
「みんな…お願…っ!」
「チッ。勝手に話進めやがって。おいガキ、キザ男さっさと行くぞ」
マルクが喋り切る前にジャックがすかさず支持を出した
「はい!ミハエルさん!案内を頼みます!ジファ、アルくんをお願い!」
「はい!マルクさん達もお気をつけて!」
マルク達はミハエルを連れてアガリオの街へと引き返した。
そして真上にあった太陽が沈みかけた頃。
「ゼェ、ハァ、やっと着いた。だいぶ走って来たからもう息が…ゲホッ」
「マルク⭐︎あそこの角の家の2階に僕が知る限りこの国1番の名医がいる!早く行こう!」
ミハエルがマルクを急かす
「ハァ、ハァ、はい…!」
ドンドン、「ごめん下さーい」
階段を上がり、家の戸を叩くマルク
ガチャ、
戸が開き、中からは無精髭を生やしボサボサの頭を掻く中年の男が出て来た
「なんだ?小僧、ここは酒屋だぞ?ガキに売る酒はねぇぞ〜ヒック」
うわ、酒臭っ部屋間違えたかな。
「あ、すみません間違えました、」
マルクは振り返り、引き返そうとすると
「マルク⭐︎彼がこの街1番の名医アスクーレさ。」
…!!
ミハエルの信じられない言葉に
目ん玉が飛び出そうな程驚くマルク
「そんな。そんな訳ないでしょこんな酒臭いおじさん、しかも酒屋だって言ってるじゃないですか…!」
「いや彼で間違いないんだ!少し老けたなぁ⭐︎」
ヒソヒソ話でマルクとミハエルが話していると
「なんだ小僧まだ居たのか?酒買いたきゃママ連れて来な。」
ドキ、
母という言葉にマルクの心臓が痛む
「母は、居ません。あの、アスクーレさんですよね。この街1番の名医の。」
マルクが訊ねる
「なんだと…?何故俺が医者だと思った?何故俺の名前を知っているんだ小僧、誰から聞いた」
「ミハエルさん、という方にお聞きしました。」
!?
ミハエルという名前を聞き驚いた表情を見せるアスクーレ
「ミハエルだと!?ありえねぇ冗談言ってんじゃねぇっ!あいつは20年前に死んでんだ戦争でな!この目で見たんだ奴が息をしなくなった瞬間も、炎に焼かれ、土に埋められるのも!救えなかったんだ俺はあの〝英雄”を。
だから俺のことを医者なんて言うんじゃねぇ!!帰りやがれ!!」
英雄…?ミハエルさんが?
マルクはアスクーレに怒鳴られ困惑している
ドン!
マルクを突き飛ばし、扉を閉めようとするアスクーレ
「ここに居ます!!ミハエルさんはここにいるんです!!金の髪にちょっとキザな話し方をするけど子供に対してすごく優しい人が!」
…。
「小僧…詳しく聞かせろ、とりあえず入れ…」
アスクーレの部屋に入ったマルクは淡々と説明をした。マルク自身のこと、魔力の正体である妖精のこと、人が死後どうなるのかを。
「とても信じらねぇが、お前が俺のことをミハエルから聞いたってのは信ぴょう性がある…。
そこに…居るのか?ミハエル。」
そう口にしたアスクーレの目には涙が浮かんでいるように見えた
「居るよアスクーレ、君はそんなに悲しそうな顔をする奴だったか?⭐︎子供の頃の君に戻ったみたいだ⭐︎」
ミハエルの言葉をアスクーレにそのまま伝えるマルク
するとアスクーレの目から涙がボロボロと流れた
「すまない。ミハエル、、俺はお前を救えなかった…幼馴染のお前を…。本当にすまない…!」
「気にしないでくれよアスクーレ。君が騎士になる僕の夢を支える為に医者を志し、そして僕を支えて来てくれたこと、本当に感謝をしているよ⭐︎」
微笑みながらミハエルはアスクーレを見つめていた。
「チッなんだこの感動ムード、胃がムカムカしてクラァ。白けさせたくなってくるぜ」
「ジャックさん!怒りますよ!」
「さて、本題だが小僧、いやマルク。お前ら俺に頼みがあるんだろ?」
アスクーレがマルクに訊ねる
「はい、実は…」
アスクーレにミハエルの宿主アルを救ってほしいということを伝えた。
「なんだと!?そりゃこんなとこにゆっくりしている場合じゃないじゃねーか!早く案内しやがれ!!名医アスクーレ!医者業復帰だこの野郎!」
「はは⭐︎やっぱり頼もしいね。」
40秒で支度を済ませ、家を駆け出すマルク達
駆け足でアルの待つ小屋に向かう道中
マルクはアスクーレにふと気になってることを聞いた
「あの、ミハエルさんって騎士だったんですね、20年前って僕まだ産まれてもないから、どんな人だったんですか?」
「あぁ!?今時の若い奴はミハエルのこともしらねぇのか!?ミハエルはすげぇぞ、王立騎士団、奇襲部隊隊長を張っててな、あいつが凄すぎたせいで奇襲部隊隊長は永久欠番!!
それからは副隊長が実質のトップって訳だ。」
えーー、そんなすごい人だったの!?
「はは⭐︎そうなんだ、僕なんて大したことしてないはずだけど⭐︎」
ミハエルは鼻が伸びきっている。
森を進んでいると、大きな渓谷にかかった橋に出た。
「この橋を渡れば小屋はもうすぐさ⭐︎急ごう!」
ミハエルが先行して飛行しながら橋を渡る
すると、
ドォン!!
橋の向こうで大きな地響きが鳴り響いた
!?
なんだ!?
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