2.殺気立つ甘味処
ポトッ
ん?
私の横を男性が通り、その時に何かを落とした。
巾着?
「あの、落とされましたよ。」
私が拾い、渡そうとすると、その男性は素早く振り返り、落とし物を私の手から奪い取る。
「痛っ……」
その力が思いの外強く、私が顔をしかめていると
「おい、うちの主に何やってんだ!」
っとバリトが怒鳴る。
「あぁ? オイラは悪くない。
こいつがオイラの薬を盗んだ。だから奪い返しただけだ!!」
「え? 私はただ…」
私が説明しようとすると、バリトは私を庇うように私の前に来る。
「主はお前の落としたものを渡そうとしただけだ。」
「嘘つけ!
どうせオイラが薬を大量に買ってるのを知って、少しぐらいバレないだろうと、盗んだんだろっ!!
オイラは騙されないぞ!!」
この人、正気じゃない……。
薬ってことは、あの巾着の中身はヤナイ…?
もしかしたらこの人は、ヤナイなしでは生きていけないようになってしまっているのかもしれない。
「……その薬ってやつ、ヤナイか?」
今まで甘味を頬張っていたセイブルが、口を拭きながらそう言う。
「あぁん? だったら何なん…くっ……。」
男はそう言いかけたかと思うと、バタッと倒れる。
「サンキュ、セイブル。」
フリッシュがいつの間にか男性が立っていた場所の後ろに立っていた。
なるほど、セイブルが男性の気を引いている隙にフリッシュが手刀を決めたのか。やっぱりこの二人を敵には回したくないな……ん?
ラリネが私の肩をトントンと軽く叩く。
「? どうしたの?」
「ここ、出た方がいいですよ。
僕らに殺気が向けられ始めましたから。」
本当だ。
何かの拍子に、殺し合いでも始まりそうな雰囲気だ。
この人達も、ヤナイ中毒者…?
「皆、ここを出よう。」
私は皆の返事を待たずに、店を出た─。




