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白馬の王子と黒馬(こくば)の王子  作者: あぷりこっと
麻薬編 第四章 〜拡大の理由〜
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1.意外

「フリッシュ、セイブル!」

 私─アレクシス・ベネット・トライヤンは一つの店を見ながら、王子二人の名を呼んだ。

「あそこ、有名な甘味処じゃない?」

「あ、アタシも知ってます。

 でも、行ったことないんてすよ〜。」

「テナー、行ったことないのですか?

 私はあるよ?」

「え、ペデット、行ったことがあるの?!」

 ペデットが行ったことあって、テナーが行ったことない…、少し意外だ。

「早く行くぞ。」

「え?」

 誰も行こうと言っていないのに、セイブルはスタスタと甘味処へ向かう。

「あ〜、セイブル、ワクワクしてるね。久しぶりに見たよ。」

「え? ワクワク?」

 あの、セイブルが?

 いつも通り無愛想な顔してるのに…?

「セイブル、実は甘党なんだよ。」

「え〜!? 意外……。」

 って、いつの間にか中に入ろうとしてるし。

「ちょっと待ってよ、セイブル!」

 

「そういえば昨日、お二人に何を話していたんですか?」

「「!?」」

 美味しく甘味を頬張っていた時、テナーがそう言った。

「え、嘘、起きてたの…?」

「一瞬だけ、ですけどね。」

 どうやら、ふっと起きた後、睡魔に負けすぐに眠ったらしい。

 その時に、私とフリッシュ、ラリネがいないのに気づき、不思議に思ったそうだ。

「め、目が覚めたから、星を見てたんだよ。ねっ」

「う、うん。そうそう、とても綺麗だったよ。」

 必死でそう答える私達を、ラリネはニコニコしながら見ている。

 な、なんか昨夜もこんな会話をした気がする……。

「星……ってことは外に出ていたんですか?」

 ヒルナが少し食い気味で言う。

「え、うん、そうだよ?」

「絶対、寒かったですよね?!

 お嬢さんは病み上がりなんですから、安静にしていないと駄目ですよね?」

 うわ〜〜、面倒なことになった〜〜。

「すまない、今度はこれをくれないか?」

「かしこまりました。」

 ふいにセイブルの声と店員さんの声が耳に入ってくる。

 セイブルのところに目をやる……って、嘘!?

 セイブルの目の前に皿が山積みになっている。

 軽く10皿はあるだろう。

 ここ、案外ボリュームあるよ?!

「お待たせしました〜。」

 店員さんが注文されたものを持ってくる。

 それをセイブルがあっという間に平らげて…

「ちょっといいか? 今度はこれとこれ、あとこれも。」

「かしこまりました。」

 さ、さらに追加!?

「す、すごいね…。」

「でしょ?」

 いつもの何倍食べてるんだろう…。

「好きなものは別腹、とか言うけど、セイブルの別腹はいくつあるんだろうね〜。」

 ほんと、不思議だ…。

 それに

「とても、幸せそうですね。」

「だよね〜。なかなか見れないよ、セイブルのあの顔は。」

 いつも通り無愛想に見えるけど、端々から幸せが溢れ出ている。

 ちょっとかわいいかも。

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