8.バルコニーで
あれ? またベッドの上だ。おかしいな、寝た記憶がないんだけど…。
そう思いながら私は上体を起こす。
他の皆は各々のベッドで眠っている。
って、1つベッド空いている…。
誰か起きているのかな?
「あ、アレク。起きたんだ。」
「フリッシュ…」
って、え〜!!
暗くて最初はわからなかったけど、服ちゃんと着てない!?
いや、着てはいるけど、ボタンしてない!!
私は咄嗟に目を逸らす。
「? どうしたの? アレク。」
ぎゃ〜、近づいて来ないで!!
「ち、ちゃんと前閉めてください!! 風邪引きますよ!!」
「大丈夫大丈夫。ボク、案外体丈夫だから。」
「じゃぁ、私が困ります!」
「え〜、なんで〜?」
「そ、それは…、目に毒だからです!」
「え〜、それは酷くない? 傷つくな〜。」
そう言いながらフリッシュは、面白くなさそうに服のボタンを閉め始める。
も、もしや、私をからかって遊んでた…?
「それで…、フリッシュはどうして起きているのですか?」
「目が覚めちゃって。
アレクもよかったら、バルコニーに出てみない?」
「いいですけど。」
うっわ、寒っ。
私はバルコニーに出た瞬間、体を震わせた。
もし、私が言わなかったら、フリッシュはボタンをせずにここへ…ま、まさかね……。
「アレク、寒くない?」
「とっても寒いです。」
「あはは、ボクの上着でも着る?」
「流石にダメです!」
「だよね〜。」
王に上着を借りて、風邪でも引かせたら……。
「くしゅっ」
あ〜、でも、やっぱ寒い…。先に入らせてもらお
「ねぇ、アレク。こうしたら温かくなると思わない?」
「? こうするって…わっ!?」
いきなりフリッシュが後ろから上着で包みつつ、抱きしめてくる。
「どう? 温かい?」
「そう、ですね…、でも、近いです……。」
「アレクが寒いって言ったのが悪いんじゃないの?」
「……、何か変ですよ、フリッシュ。」
「さっきから敬語を使ってるアレクも十分変だと思うよ?」
「!?」
あ、本当だ。
「じゃなくて、何かあったの?」
「……、うん、ちょっと……夢を、ね。」
「夢?」
私が尋ねると、フリッシュは言いづらそうに口を開く。
「昔の夢だよ。母上が目の前で亡くなる夢。」
あぁ、そういうことか─。
「だから、眠れないんですね。」
「また、敬語を使ってるよ、アレク。」
「!?」
しまった!と、顔に出す私を見て、フリッシュがクスクスと笑う。
「たまに見るんだ、あの夢。」
「……、私、も、ヤナイを飲んで倒れたとき、夢を見たんだ。
私が大切に思う人達に、自分の存在を否定される夢。」
「……。」
「でも、フリッシュのお陰で、その後よく眠れた。だから大丈夫って思ったのに…。
あの女の人たちに、夢で言われたことと同じようなことを言われて、目の前が真っ白になって……。
自分がどれだけ弱くて、情けないか、嫌というほど思い知らされた。」
「……ボク、も、……ボクも」




