4.白馬の王子と黒馬の王子
うっ……、緊張する……。
私は控え室に座りながら、そう思っていた。
先程、戴冠式が終わった。
フリッシュ王もセイブル王子も格好良かったな~。惚れ直してしまったかもしれない。
そして、私は自分の着ているドレスを見て、肩を落とす。
鮮やかな黄色で、とても綺麗だが、私が本当に着ていい代物だろうか……っと、どうしても考えてしまう。
シャラッ
首元で金属で出来たチェーンが揺れる。
ネックレスに似たその先には、私の身分証がある。
『フリッシュ・トライヤン王補佐役
アレクシス・ベネット・トライヤン』
これから、私がこの身分であることを、民や他国の王族などに伝えなければならない。
ふと、綺麗に結われている自分の髪が目に入る。
銀色というよりグレーに近いこの色は、母と血が繋がっている証。そんなことを考えず嫌ってさえいた昔の私に、このことを伝えたらどんな顔をしただろうか……。
「大丈夫。……、なはず……。」
いくら見た目でであることが母の子であることがわかるとはいえ、民衆がどんな反応をするかはわからない。
そうやってグルグル考えていると、少し怖くなる。
「アレク? 顔色が悪いけど、大丈夫?」
「うわっ!?」
いきなり現れたフリッシュ王に驚いて、私は座っていたソファから落ちそうになる。
落ちなかったのは流れるように支えてくれたフリッシュ王のお陰だ。
「本当に大丈夫? まさか、また傷が開いたとかじゃ……。」
「!? 傷が開いたのですか?」
そして、当たり前のようにヒルナが控え室に入ってくる。
いや、何でヒルナがいるの?!
「見せてください。」
「いや、開いてないから。緊張してるだけだから! 取りあえず、服を脱がそうとしないで!!」
私の反応を見て、ヒルナが伸ばしていた手を、ピタリと止める。
「本当ですか?」
「うん、うん。本当、本当!」
私は頭をブンブン縦に振る。
「なら、よかったです。」
ヒルナはホッとしながら、私から少し離れる。
「アレク、準備は出来たか?」
セイブル王子が控え室に入ってくる。
「はい。セイブル王子。」
私の返答を聞いて、セイブル王子は、私の頭を軽く小突く。
「アレク……。俺らは従兄妹なんだから、『王子』や『様』を付けるのも、敬語を使うのも基本なしって、言っただろう?」
「うっ……、すみません、セイブル王子……。」
すると、セイブル王子が軽く睨んでくる。
そうなのだ。実はフリッシュ王とセイブル王子に、
「『王子』や『様』を付けるのも、敬語を使うのも基本なし」と言われているのだ。
言われているというよりかは、命令に近い感じだったけど……。
「わ、わかったりセ、セイブル……。」
「よろしい。」
満足げにそう言うセイブルお…、セイブルを見ながら私は、やはり慣れないと、思う。
「大丈夫だよ、アレク。すぐ慣れるって。」
「そうです…そうだよね。フリッシュ、セイブル。
私、頑張るよ。」
「ははは。その調子、その調子。」
不思議。さっきまで緊張してたのが嘘みたいに、緊張が解けている。
「そろそろ時間ではないですか?」
「あぁ、そうだな。」
「じゃっ、行こうか、アレク。」
2人が私に手を差し出す。
私はそれを見て心の中でクスッと笑ってしまう。
誰が考えたのかは知らないけど、本当に上手いことを言ったものだ。
─白馬に乗った王子様が、白銀の髪を輝かせながら颯爽と現れる。その少し後ろを、黒馬に乗ったもう1人の王子様がその黒髪に太陽の輝きを浴びながら、一緒に来るよう手を差し伸べてくる。その手を掴めば、世界は一瞬にして変わるであろう。
多分、つづく
どうも、こんにちは。
「白馬の王子と黒馬の王子」が一段落して少しホッとしているあぷりこっとです。
まずは皆さん、一週間投稿が遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。今回は私の事情と言うことで投稿出来ませんでした。今後も同じ事があると思います。そこをご了承いただけると嬉しいです。
さて、やっと「王城事件編」は完結いたしました!
最初に投稿したのが「2021年 05月24日 00時00分」だそうなので、ここまで約半年掛かったのですね……。よく頑張りましたよね…、私……。
その半年にいろいろなことが「白馬の王子と黒馬の王子」で展開されてきました。
そしてやはり私が一番印象に残っているのは、アレクが王族であったことですかね!(めっちゃ最近じゃん)
書き始めた当時は身分差ラブコメを目指していたはずなのに……。身分差が縮まっちゃったことを知ったら書き始めた当時の私はどんな反応をするのでしょうね…? 多分、「身分差どこ行った!?」ってツッコんでくれると思います(笑)
皆さんはどのシーンがお好きですか?
感想を送ってくださるとありがたいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
(まだ続くと思うので)また次回、お会いしましょう。
バイバ~イ!




