1.脱出失敗
「お嬢さ~ん。荷物が届いてますよ〜。」
ヤバっ。
私一アレクシス・ベネットは、治療室の窓の格子に足を掛けながら思った。
ドアを開けて入ってきたのは、ここの室長をしてるヒルナだ。
今、ここでこんなことをしていると知ったら……、ヒルナ、怒るよね、絶対。
「あ、お嬢さん! また、そんなところに…。」
「お、お早いですね、ヒルナさん。」
「セイブル王子が、『今日は脱出されたら困るから、見といてくれ』と言われていたので。」
うっ……。
流石、頭のいいセイブル・トライアン王子だ。
私はそう思いながら、この窓の外をちらっと見る。
ここは2階だけど、 私には問題ない高さだ。
どちらにしろ、怒られるのだ。
だったら私は……、こっちを選ぶ!
私は思いっきりら窓の格子を蹴る。
「お嬢さん!!」
私は外に出て、そのまま落下……、なわけないでしょ。
私は蹴った勢いを利用して、空中で回転し、落下する速度も緩める。
ズキン
「っ……。」
…つもりだったのだが、痛みにより1回転もできず、半回転で止まってしまう。
ヤバい、このままでは、背中から落ちることになる。
正直言うと、私は背中で受け身を取るのが苦手なのだ。壁は……
ダメだ、遠い。
せっかく怪我が治ってきたのに……。
私は覚悟を決める。
「あれ?」
そろそろ地上に落ちた頃だと思うのに、痛みを感じない。
「どうにか問に合ったか。」
私は閉じた目を開ける。
どうやらこの声はバリトのものだったようだ。
っというか、バリトにお姫様抱っこされてるんだけど、気のせい!?
「な、なんでバリトがここに……。」
「いや~、まさか、第2王子の言うとおり、降ってくるとは思わなかった。」
バリトは私の話を無視し、そのまま走り出す。
「ちょっ、ちょっと、どこ行くの?!」
「お前が行きたくない場所。」
う……。
私が行きたくない場所というのは、多分王室だ。
実は今日の午前中に王室に来るよう、ヴィオル様に言われている。
でも、なんか気まずいんだよね……。
っということで、こうして逃げようとしていた訳なんだけど……。って、あれ?
「バリト、王室はこっちの方向じゃないよ?」
バリトは王室とは真反対の方向に向かっている。
「ん? 俺が向かっているのは、治療室だぞ?」
「え? なんで治療室?」
「お前、さっき傷口開いただろ。」
ギグッ……。
「な、何のことかな…?」
私が誤魔化そうとしているのを見て、バリトは溜息をつく。
「お前、一応スパイだろ?
だったら空中で回転して落下速度を落とす技術を持ってないわけない。なのに、半回転しか出来なかった。
どうせ、塞がっていた傷が開いて、痛みで上手く出来なかったんだろ?」
「ご名答……。」
つまりバリトは、「治療室=ヒルナたちがいる=絶対怒られる、むしろ傷が開いた分もっと怒られる」ってことで、私が行きたくないだろうと予想したんだろう。
あ~、そう考えると行きたくない。そして、この格好も嫌だ。
「お、降ろしてくれる?」
「嫌だ。」
「逃げないから。」
「嫌だ。傷が開いた奴を歩かせられるか。」
「え~。」
正論だし、私のことを思っての言葉なので、反論が出来ない。
「よし、着いたぞ。」
くっ、もう着いたか。
だったら最終手段!
上目遣い!
「バリト君。見逃してくれません?」
「……、怪我人を見逃せるわけないだろ。」
「うぅ……。」
やっぱりダメか~…。
どうも、こんにちは。
アレク、元気だな~っと思いながら描いているあぷりこっとです。
というか、こんなにバリトとアレクが話したのは初めてじゃありません? 普通に描いていて楽しいです。最高! これからもバンバンこの2人を会話させようかな~。
「それは流石にやめて。王子2人がかわいそう。」
あ、確かに。主役2人の立場が取られちゃうね。ほどほどにします。止めてくれてありがとう、アレク。
ちなみにですが、次回はヒルナとアレクがよく会話してくれるはずです。楽しみですね!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ~イ!




