5.助っ人は遅れてくる
階段を上がっていると
「よくここまで来たッスね。殿下方。」
「あら、アレクも一緒なのね。」
上から男性と女性の声が聞こえてくる。
私は女性の方の声は、聞き覚えがあった。
「メイド長!?」
メイト長─使用人頭は私の仕事(使用人)の上司だ。
もう一人の男性は誰だろう?
シルバさんとユーフォさんが雇ったのかもしれない。
と思っていると
「くっ……。」
メイド長が短剣を持って攻撃してくる。私はそれを自分の剣で受け止める。
階段の上で会ったため、私の数段上に立っているメイド長の短剣は重く感じ、受けとめるだけで精一杯だ。
もう一人の男性はフリッシュ王子が相手をしている。
そして、 下の階から続々と人─敵襲がやってくる。
って、まだいるの!?
その人たちはセイブル王子やヒルナが相手もしている。
かなりキツい状況だ。
「メ、メイド長……。まさか貴女も関わっておられるとは思いませんでしたよ。
貴女はこの国出身だと開いていたので。」
「えぇ、そうね。私はこの国の出身よ。」
「!? ではなぜ?!」
「私の夫はね。ヴィラフォ様の軍の人に殺されたの。
巻き込まれた村に、たまたまいた所為でね!」
メイド長が一気に短剣に体重をかける。
「なる…ほど……。ヴィオル様がちゃんとした対策をしていたら、命を落とさなかった……と?」
「そうよ! そんな、自分の民も守れないような王はこの国にはいらない! 私はそのためにこうして剣を取っているのよ!!」
確かに、それは一理あるかもしれない。
でも
「今、このような形で復讐するよりも、他の方法でこの国を良くしようと、例え微力でも力を尽くした方が、国のためになると思いますけどね!
それをせず、このような形で復習をする貴女方は、間違ってると思いますよ!!」
私は自分の剣に力を込め、メイド長を思いっきり跳ね返す。
メイド長は素人だ。すぐに反応できず、後ろに吹っ飛び、階段の踊り場の壁にその背を打ち付け、気を失う。
あっちゃ~、やり過ぎちゃったかも……。ごめん、メイド長……。
「その身のこなし、ただの使用人ではないなっ!!」
私の数段下にいた襲撃者の一人がそう言いながら、剣を真横に振るう。私の足を狙って……。
「おっと。」
私は剣の上を飛び、タイミングよくその剣の上に着地する。
身軽だから出来る技だ。
などと思いながら、不安定な足場でもう一度ジャンプし、そのまま空中で回し蹴りをする。
見事に相手の顔に蹴りがあたり、襲撃者はそのまま下へ倒れる。
「よっ、とっ!?」
今日はかなり調子がよかった。だから、調子に乗りすぎだ。そう、言い訳させて欲しい。
私は、着地をミスり、足を滑らせ、バランスを崩す。
やばい、このままじゃ……。
ド~ン!
上の階から何か落ちて…、いや、下りてくる。
するとすぐ、誰かに背を支えられる。
「大丈夫か?」
この声は…
「バリト?」
「そうだが?」
バリトが不思議そうに言う。
まさか、バリトか助けてくれるとは思わなかった。ちょっと、ビックリした。
よく見ると、バリトが右手に長い棒を持っている。槍の先の部分(刃)がない感じ。武器に使っているみたいだ。
私かそんなことを考えていると、バリトが手を放してくれる。
「ありがとう。助かったわ。
……、え~っと、その武器、どこから取ってきたの?」
「武器庫だよ。」
ん? 上から声が……
「ラリネ!」
「ちなみにバリトの武器は、槍の先を取ったから、殺傷能力は低いはず……多分。」
そう言いながら、ラリネがこちらへ飛び降りてくる。
いや、多分って……。まぁ、このバリトがこんな棒を振ったら、ひとたまりもなさそうではあるけど……。
「アレク!! ここはボクたちに任せて君は父上の部屋へっ……!」
フリッシュ王子が叫ぶ。
「わかりました。」
正直、この数を3人だけに任せるのは心配ではある。だが、信じるしかない。
「アレク、ラリネを連れて行け。
オレは王子たちと共にコイツらを止めておく。」
私の気持ちを察したのか、バリトがそう言う。
ありがとう、そう言いたいが、そんな暇はない。
「了解。ラリネ、行くよ!」
「もちろん。」
私たちは走り出す。
私はバリトをチラッと見る。
あの棒が、遠心力によって、勢いよくグルグル回っている。よく、壁にぶつからないものだ。
「あれ、マトモに当たったら……。」
「うん。骨が折れてもおかしくないよ。」
「ですよね~。」
あれを見ちゃうと、そりゃ「殺傷能力は低い……多分。」って思っちゃうよね……。
どうも、こんにちは。
本当は今回のストーリーのタイトルを「ヒーローは遅れてくる」とか、「救世主は遅れてくる」ってしたかったあぷりこっとです。
なぜそうしなかったか、ですか?
いや~だって、ラリネとバリトを「ヒーロー」とか「救世主」にしてしまうと、王子方の立場がないですもん(笑)。作品のタイトル的に王子2人がそうじゃないですか。その2人を差し置いて、元誘拐犯をそしうしてしまうのは、なんか違いますよね……。
でも、いつか使ってみたいです。タイトルに。それがどれだけ後になるかはわかりませんが。
さて、この王城の戦いも後1、2話ぐらいで、終わりを迎えます。戦いが終わるだけで、まだまだストーリーの方は進んでいきますよ? 楽しみに待っていただければ幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ~イ!




