2.本当の狙い
「これで終わり…かな?」
シルバさんとユーフォさんが縄で縛られ、役人につれて行かれるのを見ながら、フリッシュ王子が言う。
本来ならそうであってほしい。が
「いえ、まだ終わってません!」
「「!?」」
フリッシュ王子とセイブル王子が驚く。
いや、2人とも見られましたよね……。
「これから、いえ、もしかしたらもう来ているかもしれません。
40人もの侵入者が。」
「40……。そういえば、資料にあったね。忘れてた。」
フリッシュ王子がそう言い、セイブル王子も頷く。
いろいろあって、忘れてしまう気持ちもわかりますが……。
「40か。ハクアがあいつらと共犯だったことを考えると、もっといてもおかしくないな。」
私もそう思う。
私だったら、目的によるけど雇えるだけ雇うだろう。少なくても100人くらい……。
「……、やはり、城の内部にも共犯者がいると考えた方がよさそうですね……。」
「あぁ、ハクアも共犯だったことも考えると…な……。まぁ、40人だろうが、それ以上だろうが、厄介なことには変わりない。」
厄介度は変わると思うけど……。
もし、本当に共犯者が沢山いるのであれば、誰が味方でそうでないかの判断がしにくい。
「フリッシュ王子に渡していただいた身分証を使って、こちらの戦力は2人増えたのですが……。流石に厳しいですよね……。
すみません、それが精一杯でした……。」
「いや、別に構わない。アレクが選んだってことは、信頼出来るんだろう? 誰なんだ?」
「ラリネとバリトです。」
「あぁ、あの2人か……。」
セイブル王子が苦笑する。自分を誘拐した人が仲間に加わったというのは複雑なのだろう。
でも、あの2人は裏切らない。
あの契約書にラリネとバリトの名前もあったが、雇われた内容が「第二王子の誘拐」だった。城の襲撃が書かれてなかったことを考えると、2人の契約はもう解けている。だから、あの2人は新たな雇い主である私の命令に従う。
それがわかっているから、セイブル王子はあの2人を仲間に選んだことを受け入れているのだと思う。
「そういえば、どうして40人も雇ったんだろう?」
フリッシュ王子が素朴な疑問を口にする。
そういえば、『襲撃』が雇った内容だったけど、目的はなんだろう。考えてなかった。
「あの2人に訊いとけばよかったな……。」
セイブル王子が溜息をつく。
「そうだね。この状況で40人も侵入したとなると、国の混乱を招くことは出来なくもないけど……。」
側近になり、怪我までする覚悟で事件を起こしたのだから、2人の狙いは「王族」で間違いないだろう。
でも、今ここに王子2人はいる。
爆弾を爆発させて火事を起こしたら、王子たちが避難するのは予想できたはず。
「実は私、気になってなんです。
あの2人は両親を殺されました。普通なら当時幼少だった王子ではなく、王として軍を指揮していた国王陛下に復讐するはずです。
なのに、王子であるお2人の命を狙っていました。なぜでしょう?」
それを聞き、セイブル王子が考え始める。私とフリッシュ王子も。
3人で揃って、顎に手を当て、似たポーズをとる。
考えていると、ふと
『思い知って欲しかったんです…!』
ユーフォさんの言葉を思い出す。
もしかしたら─
「思い知らす…ため? 大切な人を失った悲しみ…を?」
「なるほど。それはありえるね。
じゃぁ、その40人はボクたちを殺すため?」
「いや、多分違う。そうだとしたら、さっき剣を抜いて殺すだろ?」
「確かにそうですね。じゃぁ、40人は……、別の仕方で思い知らすため……?」
「あの2人は両親を殺されいる。思い知らすのは、自分たちの気持ちではなくて……」
「「両親の気持ち……!」」
私とセイブル王子の声が重なる。
大量の兵が村へなだれ込んできた時、シルバさんたちの両親が何を思ったかを想像すると、容易に理解できる。裏切られたという気持ちと、子供のことが心配でしょうがないという気持ち─。それを思い知らせたいのかもしれない。
だとしたら、2人の本当の狙いは……
私はとあることを思い出し、背筋に悪寒が走る。
「セイブル王子、王様って、緊急事態の時はどこに避難なさるのですか?」
「え…っと、状況とかによるけど、基本は使用人たちと一緒に避難するはず。もちろん、最大限の身の安全は確保されつつだけど。」
「今回の場合は……?」
「? 火から逃れればいいから、使用人たちと一緒に避難しているはず……。」
セイブル王子は、質問の意図がわからないっと言う顔をしながら、答えてくれる。
「先程、避難場所を通ってきたのですが……、 そこにヴィオル様はおられませんでした。
まだ避難しておられませんでした。もしかしたら…─」
どうすれば、どうすればいい?
もしかしたら、手遅れってことも……。
「もしかしたら中かもってことか。急がないとね。」
フリッシュ王子がそう言う。妙に落ち着いた声だったので、私の焦りは少し落ち着く。
もしかしたら、私を落ち着かせるために言ってくださったのかもしれない。
「取りあえず、急いで向かうぞ!」
どうも、こんにちは。
今回は長くなっちゃったな~っと、少し反省しているあぷりこっとです。
今回のストーリーで、やっと側近2人の狙いが明らかになりました。そしてこれは後付けに近いです(笑)。
ラリネとバリトを登場させたかったり、城を襲撃させたかったりしたかったので、かなりの人数を雇わせたのはいいのですが、あれ? 理由は? っと、描きながら思いまして。いろいろ考えたのですが、過去と合わせてこれぐらいが筋が通るかな? っということで、こんな感じの動機になりました。
適当でごめんなさい……。
お詫びに(?)次回予告。
次回はアレクの過去です!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ~イ!




