1.バルンと復讐
私─アレクシス・ベネットはラリネとバリトに会った後、私は一旦 城の外に出た。
城の外には避難してきた人たちで溢れていた。
何人ぐらいいるんだろ……。
「ねぇ、貴女。」
不意に声を掛けられる。
同じ使用人の服を着た女の子だ。あまり話したことはないけど、顔見知りではある。
「何でしょうか?」
「メイド長見なかった? ずっと探しているんだけど見当たらなくて……。」
「メイド長…、ごめんなさい、見掛けてないです。」
「そう……。」
その使用人は肩を落とし、不安そうに城を見る。
メイド長は、まだ避難していないのかもしれない。
嫌な胸騒ぎがする。
メイド長には良くしてもらった。もうメイド長は、私の中で大切な人の一人となっている。
─敵じゃなきゃいいけど……。
私は迷わずにこの城の裏庭へと向かった。
セイブル王子が確信を持って、ここに犯人は来ると言っていた。確証はないけど、私も確信している。
「…思い知って欲しかったんです…!」
もう少しで着くというところまで来たときに、テナー様の声が私の耳に届く。
あれ? どこかで同じようなことを聞いた気がする……。
私は記憶を探り始める。自然と私の前に進むスピードも遅くなる。
『思い知らせてやりたいのよ。』
憎しみが込められた、誰かが言った言葉が脳内で響く。
誰がいつ、言ってたんだっけ?
私は無意識に足を止め、懸命に考える。
『この印ですか? これは…』
印……? あぁ、そうか。あの時引っかかったのはこれだったんだ。
私はまた、ゆっくりと前に進み始める。
そして、空気を吸い、良く通る声で言う。
「『これは…、このハトの印は、平和を意味しているんです。』
『皆が平和な世界で幸せに生きてほしいっと思って。』」
それを聞き、フリッシュ王子、セイブル王子、ペデット様、テナー様は驚き、固まっている。
「思い出しましたよ、ペデット様、テナー様。─いや、シルバさん、ユーフォさん。」
「「!?」」
ペデット様─シルバさんテナー様─ユーフォさんの顔色が変わる。
「どういうことだ、アレク。」
イマイチ話の掴めないセイブル王子が私に訊く。
「お2人はヴィラフォ公爵に襲われた村の支援をされていました。私はその時にお2人にお会いしています。」
私はまっすぐシルバさんとユーフォさんを見る。
「お2人は、ハトの印=平和と言われていました。
でも、お2人は今回の事件に、そのハトの印を用いられました。なんのおつもりですか?」
2人は、私が言いたいことがわかっていないようで、困惑しているようだった。
私はそんなことには構わず、思いっきり息を吸う。
「お2人は、今回の事件を起こすことによって、復讐をすることによって、誰かが幸せになったと思っておられるのですか?!」
シルバさんとユーフォさんは息を息を呑む。
そして、私から目を反らす。
「私の両親は、ヴィラフォ公爵の軍から私を庇って、死にました。
でも、お2人のようにトライヤン王国の王家の方々に復讐したいとは、一度も思いませんでしたよ。」
確かに私はバルン王国のスパイだ。
だけど、それは一つの仕事だからで、私の意思ではない。復讐しようと思って来たわけではない。
むしろ……
「私は、憎しみの連鎖を繰り返す復讐を、止めるためにここに来ました。
そのために、私は今、ここにいます。」
どうも、こんにちは。
久しぶりにキャラクター目線で描けて嬉しいあぷりこっとです。
今回のタイトルは「バルンと復讐」。この「バルン」は、バルン王国の民である3人を表しているつもりです。同じような境遇にあっても、考え方はかなり違ってましたね。
今回のストーリーでアレクは 復讐は負の連鎖しか生まない というような感じのことを言ってましたね。これは、推理小説などをを見て、私もよく思わされることです。殺人の動機の多くは復讐だからです。あの人を自殺に追い込んだからその敵を…といった感じで。それを繰り返したら本当に負しか生みません。それは絶対に避けるべきだと、私は思います。そのために私はこの小説を書きました。
まぁ、アレクの真似は置いといて(笑)。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ~イ!




