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白馬の王子と黒馬(こくば)の王子  作者: あぷりこっと
王城事件編 第九章 ~黒幕~
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3.小さな少女

 コツコツ…

 小さな足音と、兵たちの声が響く─。 

 ここはトライヤン王城の地下牢だ。

 ラリネとバリトは、セイブル王子とその使用人を誘拐した罪で仲良くその牢に入っていた。

 本来なら、城下にある刑務所に入れられるのだが、城の地下牢の方が都合が良いと、セイブルがこの地下牢に移したのだ。

 聞こえてくる牢番たちの声と一緒に、女の声も聞こえてくる。

 だが、ラリネとバリトには、何を話しているのかまでは、聞き取れない。

 2人のいる牢に向かって、誰かが歩いてきているということが、足音からわかるら、

 その足音に紛れて、ガチャガチャと金属同士がぶつかり合う音がする。

 ラリネとバリトにとって、この音は、それなりに聞き慣れた音だった。

 なぜなら、少なくとも一日に3回は必ず聞くからだ。つまり、『鍵』の音だ。

 朝食、昼食、夕食の時に、牢の鍵が開けられ、中に食事が置かれる。

 だが、今は食事の時間ではない。先程食べたばかりだからだ。

「こんにちは。ラリネ、バリト。」

 それは、ラリネとバリトには、聞き覚えのある声だった。

「ア、アレク?」

「あっ、覚えてくれてたんだ。ちょっと嬉しいな~。」

 ラリネが自分の名前を覚えていたことを知って、アレクが少し嬉しそうにそう言う。

「コイツは記憶力がいいからな。」

 バリトが素っ気なくそう言う。

「へ~。そうなんだ。

 じゃぁ、バリトは? 覚えててくれた?」

 バリトは自分にこの話が振られるとは思わなかったため、少し驚きながら答える。

「オレはラリネほど記憶力は良くない…が、お前のことは覚えてるよ。

 最後の仕事で会った奴だったし。」

「それはどうも。」

 まぁ、そりゃ覚えてるよね。

「それに……。」

「?」

「その髪、特徴的だったから。」

「え? あぁ、そう、だね……。」

 アレクの髪は、よく「銀色(グレー)」と言われるが、アレクはそうではないと思っている。どちらかと言えば「灰のような色」……。

 アレクはこの髪が好きではない。人とは違うし、あまり綺麗な色とは思わないからだ。

 例え、この髪色が、今は亡き母親譲りだったとしても……。

「銀色の髪……か。

 そういえば20年前、行方不明になったこの国の国王の妹も、銀髪だったよね。あまり明るい色ではなかったらしいけど……。」

 ラリネが言う。

 アレクも、この話は聞いたことがある。

  「未だ行方不明の王女様」と。

「その話は一旦置いておこうぜ。」

 バリトは話を切り替える。

「それで? あんた、何しにこんなとこに来たんだよ。

 鍵まで持ってきて。」

「あぁ、そうだったわね。」

(さて、本題に入るか。)

 これから伝えることに、ラリネとバリトがどう反応するかは全くわからない。

 アレクの鼓動が自然と速くなる。

「これから多分、この城で戦いが起きるの。

 2人には私たち側の戦力になってもらいたい。」

「戦い…か。

 相手の戦力は把握できてるの?」

 思いの外、2人は冷静にアレクの話を聞いてくれる。

 そして、ラリネは質問もしてきた。

「今確認できているのは雇われてる40人だけど…、城内部にも共犯者がいそうだから、もっといるだろうね。」

 アレクは“例の資料”の内容を思い出しながら言う。

「結構多いね……。ちなみにアレクたち側の戦力は?」

「……、少なくても私を入れて3人。ラリネとバリトを入れても5人。」

「雇われているほど、相手が強いであろうことを考えると、普通に考えて勝算はない…な……。」

「うん。だから2人にお願いしに来たの。

 2人はそれなりに腕が立つでしょ?」

「それはそうだけど……。」

 ラリネは言葉を濁す。

 それもそうだろう。アレクも一筋縄でいくとは思っていない。

「あんた、金は用意できてるのか?」

 今まで黙っていたバリトが口を開く。

「お金は用意できてない。結構急だったし。

 でも、それなりの身分を与えるつもり。」

 アレクは落ち着いた口調で言う。

 何も持たない小さな少女が、本来なら許されないことを言っている。

 ただ、それを唯一許可してくれる物が、その少女の手にはある。

 アレクはラリネとバリトにバレないように、そっと今は亡き王妃の形見を握る。

「身分…か……。面白い。

 オレはその話に乗るぜ。」

「え!? バリト!? 本気なの?!」

 バリトが思いの外あっさりOKするので、実は長年の付き合いであるラリネが驚く。

「身分を報酬に、雇われたようなものだし。

 面白そうだから、オレは行く。」

「絶対、後に言った方が本音でしょ……。」

 ラリネが呆れつつ言う。

「まぁ、いいよ。

 自分も行く。」

 アレクは心強い味方を手に入れたことに安堵しながら、牢の鍵を開ける。

「よろしくね。ラリネ、バリト」

 どうも、こんにちは。

 実はラリネとバリトが気に入ってるあぷりこっとです。

 最初にこの2人を登場させた当時は、ここでこの2人の出番を終わらせるのは嫌だな~っと、思いまして。気がついたら今回登場してましたね。

 これからも、なんだかんだこの2人は登場してくるのではと思っています。皆さんにも好きになってもらえたら嬉しいです。

 さて、今回のストーリーのタイトルは「小さな少女」でした。ほとんど何も持たないアレクがとても大きなものを背負い、仲間を得て、守りたいものを守ろうとするという意味を込めているつもりです。

 うまく伝わっていればいいのですが……。

 これからも、そんなアレクが頑張る姿を見て、応援してくださると幸いです。

 

 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

 また次回、お会いしましょう。

 バイバ~イ!

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