1.黒幕
「まさか、お前たちが黒幕だとは最初は思わなかったよ。」
セイブル・トライヤンは苦笑交じりに言う。
「では、どうして今は私たちが黒幕だと思われているのですか?」
ペデット・バスクが落ち着いてそう言う。
それに対し、セイブルも力を抜いて応える。
「そうだな~。まぁ、順を追って話すか。」
(少しでも─1秒でも時間を稼ぐのが、俺の役目だ。落ち着いて、少しずつ話そう。)
そう思い、セイブルは一呼吸置く。
「まずは第一の事件─。
あの時はお前ら2人は偵察に行ってたよな。だから、最初はお前らが黒幕である可能性を除外していたんだ。
だが、あの時お前らは、城下町の偵察に行っていたんだ。お前ら2人が事件を起こすことは不可能ではない。」
「ですが、それでアタシたちが黒幕とは限らないでしょう?」
自信ありげにテナー・バスクが言う。
「あぁ、だからお前らが偵察に行ったときに、1人で城下町に行ってきた。町人などに聞き込みをしたら、側近2人は事件が起こった時間帯に、城下町にいたことがわかった。
ペデットと一緒にいた女が右利きであったことも。」
「「!?」」
テナーは左利きだ。なのに左脇に剣を差していたらしい。
『いつもと違うところに剣が差してあって、不思議に思ったのを覚えてますよ。』
セイブルは1人の町人の言葉を思い出す。
「第一の事件でテナーはその女と交代し、城へ向かった。
そしてテナーは『ハトの印』を残し、俺たちを閉じ込め、書庫に放火し、書庫を去る。
クロアが犯人を威嚇している様子がなかったのは、俺の側近であるテナーの犯行だったからだろうな。」
「なるほど。
でも、どうしてアタシたちが、書庫にセイブル様が行かれるとわかったんでしょうか?」
「それは簡単だ。
─共犯であるハクアに書庫に行くよう誘導させたんだろう?」
セイブルは余裕の笑みを浮かべる。
「なるほど。確かに筋は通ってますね。」
「でも、アタシたちは何者かに命を狙われたんですよ? ほら。」
そう言いながらテナーは流れるように上の服をずらし、腕の包帯を見せる。
「わ、わざわざ見せなくていい。」
セイブルは反射的に目を背ける。
セイブルはこういうことされるのは慣れていない。
(慣れたくもないがな。)
お、ナイスツッコミ。
「え~、せっかくサービスしてあげたのに~。」
テナーが不満の声を上げる。
「誰に対してだよ……。」
「セイブル様? もしくは読者の方々。」
「いや、この物語には基本挿絵は着かないから! 全く意味ないから!!」
それを聞いて、テナーは溜息をつきながら服をちゃんと着直す。
「え~っと、お前らが狙われた件か?
あれは雇った奴にやらせたんだろう?
今回の偵察は2人だけじゃなかったから、そうするしかない。つまり自作自演…だろ?」
その自作自演をした理由はセイブルにもよくわからない。
第一の事件以外は自分たちがやったという証拠をわざと残していた。そう考えると容疑者から外れるためとは考えづらい。
「でも、私たちが黒幕であると言える“完全な証拠”はないのではないですか?」
それを聞いて、セイブルは不敵な笑みを浮かべる。
「それはもうすぐ到着すると思うぜ。」
どうも、こんにちは。
やっと、王城事件編が第九章に入り、安心しているあぷりこっとです。
え~、この第九章はキャラクター目線ではなく、ナレーター目線で描いてみています。登場人物たちの目線でもよかったのですが、第三者として、ストーリーに参加したり、ツッコんでみたかったりしたかったので…(笑)。
あ、でもちゃんとするところはちゃんと描いているので、そこはご安心を!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ~イ!




