キノコジジイとエルフ大全集
魔法校舎の地下の古びた鉄の扉を開けると、8歳くらいの女の子、ネネが部屋の奥から出てきた。
「わあ!お兄ちゃん待ってたよ!」
その声を聞いて爺さんも杖をつきながらやってきた。
「おう、待ってたぞ。お主が今唯一うちの研究室に在籍する生徒じゃからの。」
「在籍した覚えはないんですが。」
「そうなのか?ネネ、お兄ちゃんは入ってくれないらしいぞ。」
「お兄ちゃん、ダメなの?」
ネネが目を潤ませながら聞いてくる。
(孫を使うなんで汚えな。)
そう思いながらも話だけ聞いてみることにする。
「研究室に入ると何が変わるんですか?」
「他の研究室だと論文を書く義務や学会への出席義務があるんじゃが、うちに関しては何も変わらんぞ。卒業後に箔が付くだけだ。」
「おじいちゃんのお給料が変わるの!うちなんかを出ても箔なんかつかないっておじいちゃん言ってたよ!」
「こらネネ、言うでない!」
「本当のことを言ったのにダメなの?」
「おい、爺さんどういうことだ?」
リュートは思わずタメ口になった。
「…実を言うと、研究室に所属する人数によって給料が変わるんじゃ。特に特別科の生徒を所属させると通常の3倍貰えるのじゃ。」
「そんなに金が欲しいならなんで俺を魔闘大会に推薦したんだ?」
三大大会では、教師のボーナスが推薦した生徒の成績によって変わる。
「そ、それはお主の目の輝きが」
爺さんが言い終わる前にネネが口を開いた。
「お兄ちゃんを研究室に入れるためのせんりゃくって言ってたよ!一回戦に負けてもそっちがお得なんだって!」
「ネネお前覚えておったのか。」
「どう言うことだジジイ?」
この瞬間、呼び方が爺さんからジジイに変わった。
1年生のリュートが所属すると6年分の給料が上がるので目先のボーナスを取るよりお得らしい。
「なるほどな、入ってやってもいいぞ。」
こんな下心見え見えのお誘いはもちろん断るべきだと言う人もいるかもしれないが、リュートは違った。
「ただし、これから1週間強くなるために付き合え。それと新しいキノコの情報があればすぐに分けてくれ。」
こちらに大したデメリットがない以上、利用した方が得だと思っていた。
「いいのか?ありがとう!増えた給料で買った本は読み終わったら貸してやるぞ!」
爺さんの目が輝く。
(本を買うためにお金が欲しかったのか。意外とまともな理由だったな。)
こうしてリュートはキノコ研究室に所属することになった。
「これらが魔闘大会で勝ち抜くために必要だと思われるキノコじゃ。」
翌日、爺さんがそう言って一枚の紙を見せてきた。そこには2つのキノコの写真と特徴、採れる場所などが載っている。
「このうち1つはワシとネネが採りにいくから、お主は残りの1つを採りに行っておくれ。」
こうしてリュートは新しい魔法の習得のためにキノコ採りに行くことになった。
「そしてこれが約束の本の1冊目じゃ。お主には役に立つと思うぞ。」
見ると表示には『エルフ大全集』と書いてあった。エルフの生態か歴史家なんかの本だろうと思いリュートは後で読むことにして持ち帰った。
「な、なな何よこれ!!」
リュートの部屋の掃除をしていたニーネが『エルフ大全集』を開いて顔を真っ赤にして叫んでいた。
『エルフ大全集』はエルフのセクシーな美女の写真を纏めた本だった。
"大全集"と名がつくだけあって、昔のエルフの美女から最近のエルフの美女、そして和服、水着、制服、首輪等様々なコスプレを網羅している。
セクシーなメイド服のエルフの写真を見て顔を真っ赤にするニーネ。胸元が大きく開いており、スカートがかなり短い。
(あいつこんなのが好きなの!?私もこんな格好をしたら気を引けるかしら。)
「って何考えてるのよわたしいいい!!」
ニーネの叫び声が屋敷中に響いた。




