騎士科の授業
校長が去った後、リュートは騎士科の授業に向かう。リュート以外の4人は魔法科の授業に行くそうだ。
入学試験の会場でもあったグラウンドへ行くと、剣や斧の素振りをやっている生徒達の中で、なぜか1人だけ土を耕している犬耳の女の子とその横で片手剣を振っている真っ白な髪の少女がいた。
学園には制服があるが、イベントごとのときだけ着ることになっている。
イベントのときは騎士科は白、魔法科は紺、技術科はベージュ、貴族科はワインレッド、特別科はグレーの制服を着るため一瞬で所属がわかる。
しかし、普段は特別科以外はそれぞれ一学年400人程もいて授業は選択性なので、制服を着ていないリュートが何も言わずに紛れ込んでもわからない。
そういうわけで目立たないように素振りしている生徒たちに混ざろうとしたのだが...
「お久しぶりです!師匠の息子さん!」
優れた嗅覚を持つ獣人のミリーはすぐにリュートに気づき大きな声で挨拶してきた。
「リュート...久しぶり...」
白髪の少女スーナもそれに続く。
生徒たちはリュートを見るとざわめき出す。
一部の男子生徒は「見ろ、"真の勇者"様だ。この後の模擬戦でもしかしてあの技を見せてくれるのか?」などと言っていた。
リュートはもう【スライム繊維溶解】を人前で使う気はないのだが。
「よお、初日に来てくれるとは光栄だな。」
「お久しぶりです!先生をしているって噂は本当だったんですね!」
リュートに声をかけたのは筋骨隆々の男、ダインだ。
リュートが王都に来てすぐに当時Cランク冒険者だったダインはリュートとの模擬戦で敗北した。
「そうだ!お前に負けたのが悔しくてトレーニング量を増やしたら、Bランクに昇格できて、ここの教師になる資格を得たんだ。」
「そうだったんですね!授業参加させていただきます!」
「ああ、先に言っておくが俺の授業では女の子の服を溶かすのは無しだからな。」
男子生徒から不満の声が上がる。
「いや、言われなくてもやりませんって。あれは仕方なくやったことですから。」
「はっはっは、冗談だ。というかお前ロンダの息子だったんだな。あれは俺の元パーティーメンバー兼筋トレ仲間だ。」
リュートの父ロンダとダインは同じ称号を持っていた。
【鍛えし者】・・・10年以上ほぼ毎日筋トレを行い、高タンパクの食事を続けてきた証
もしかして知り合いなのか?とは思っていたが、まさか元パーティーメンバーだとは、奇妙な巡り合わせである。
というか、ダインの称号がパワーアップしている。
【さらに鍛えし者】・・・10年以上ほぼ毎日筋トレを行い、高タンパクの食事を続けてきた者が、屈辱の敗戦をバネにさらなる高みを目指した証。
「そうなんですか!ここにいるミリーはとーちゃんの弟子ですよ!」
「ああ、知ってる。素質はあいつよりだいぶ上みたいだがな。」
身体能力に優れている獣人は近距離での戦いが得意なことが多い。実際、騎士科には多くの獣人の生徒がいる。
「そうだ!これから模擬戦をするところだし、ミリーと戦ってみねーか?スライム無しだと勝負になるかもしれねえと思うんだ。」
「わ、私ですか?いや、でも服を溶かされるのはちょっと…」
「溶かさねーよ!スライム無しだとそもそも溶かせないし。」
「それなら是非!」
こうしてリュートとミリーは模擬戦をすることになった。




