恋に落ちた王女様
オープンキャンパスの回の学長の表記を校長に改めました。
前々回何も考えずに校長とか教頭とか書いちゃってたので…
今回はメリル王女視点です。メリル王女、作者が思ってた以上にかわいい笑
リュートの受勲と婚約の知らせを伝えにきた使者が帰り、従者を部屋の外に出すと、メリルはベットにダイブして足をバタバタさせた。
普段は大人しくて人見知りのメリルを知る者がこの様子を見たら、変な呪いでもかけられたのではないかと疑うだろう。
(リュート様と婚約なんて、これは夢でしょうか?)
極度の人見知りでまともに話せるのは、家族と小さい頃から一緒に遊んだヘリウスとテナくらい。
王女という地位にいるにも関わらず他人と関われないのは致命的であり、国の貴族からもあまりよくは思われていなかった。
ソリリス国王もこれだけ人見知りだと簡単に嫁にも出せないと嘆いていた。それ故にSランク冒険者とはいえ下級貴族でしかないリュートとの婚約を認めたのである。
ランザーク王都へ行き学園に通えとの命を受けたとき、メリルは広い海の真ん中で溺れかけているような絶望を感じた。
幼い頃から本ばかり読んできたメリルにとって高い水準の教育を受けることは魅力的であったが、1人で知らない人間に囲まれて学園に通うなどメリルにとっては地獄であった。
せめてヘリウスとテナを同行させるように父に懇願し許しを得たが、それでもやはり心細かった。
リュート達に辺境伯邸で会ったとき、リュート達が一生懸命話しかけてくれていることに気づいたが、それでもどうしても緊張して上手く話せなかった。それでも勇気を振り絞って船の上でリュートに話しかけたのは、リュートが連れているスライムに一目惚れしたからだった。
(触ったらどんな感触なんでしょう、かわいい、触ってみたい、撫でたい。)
そんな強い感情に背中を押されてリュートに話しかけて以降、不思議とリュートの前では自然体で話せる自分に気づいた。
そしてリュートが会いに来る日が楽しみになっていた。
(次は3日後か、どんなお話を聞かせてくださるのでしょう。早くお会いしたい。)
そんな風にリュートと会う日がモチベーションとなっていることをテナに話すとテナはニコッと笑ってこう言った。
「メリル様にも春が来たのね!嬉しいわ!」
「春?」
メリルが尋ねると、
「そう春、その感情は恋だと思うよ!」
「こ、こここ恋?」
それ以来メリルは余計にリュートを意識するようになった。今まで自然体で話せたはずなのになぜか緊張してしまう。しかしそれが悪い感じではない。そんな不思議な感情であった。
そんな中届いた婚約の話、喜びで頰が緩みっ放しのメリルをテナが見て、「どうしたの?変な呪いをかけられたりしてないよね?」と驚きの声を上げるのはこの5分後の出来事である。




