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スライムしかテイムできない男、スライム道を極め最強となる  作者: やまのうえのおくらん
第1章 学園入学を目指して
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オーガ千本ノック

『オーガ千本ノック』


500年前に召喚された勇者はこの試験をそう名付けたという。


Sランク冒険者昇格試験は1次試験と2次試験に分かれており、1次試験は『オーガ千本ノック』と呼ばれている。


オーガといえば、リュートとアイカが【役職】を得て半年のときに苦戦を強いられ、危ない目にわされた相手である。

そのCランクの魔物オーガに棍棒を持たせ、30体同時に相手をさせる。もちろん試験官が危ないと判断した場合、待機している数人の冒険者が助けに入るが、多くの者はここでトラウマを持つという。


そんな試験に挑むのは、リュート、レイ、ライリ、そしていかにもベテランといった感じの男が1人、若い男が1人であった。この試験は1つの大きな部屋の中で行われるため、他の受験者たちはその様子を見ることができない。



「俺は天才なんだ。オーガなんか怖くないさ!軽くクリアしてみせる!」


若い男は周りに自信満々といった顔でそう話して部屋に入っていく。



しばらくすると、冒険者たちに連れられて男が出てきたが、その男は全身ボロボロで青い顔をしてガクガク震えていた。



「なるほど、トチッたら棍棒でボコボコに打たれるから千本ノックなのね。」


あざだらけになった男を見ながらレイがそう言うが、野球がないためもちろんノックもないこの世界に生まれたリュートにはよく意味がわからなかった。


「次は私の番だね!前はここでやられちまったが、今回は軽くやっつけてくるさ!」


ライリは明るくそう言って部屋に入ったが、その足は震えてることにリュートは気付いた。

隠そうとしているが、どうやらライリにもトラウマがあるようだ。



しばらくして、ライリが部屋から出てくる。


その体にはいくつかあざがあったが、その顔は明るかった。

成功したようだ。



次にレイが入っていった。


「…これはクリアできても軽くトラウマになるわね。」


レイはそう言いながら辛そうな顔をして出てきた。

ライリよりは時間がかかったが、なんとかクリアできたようだ。




そして、リュートの番になった。


扉を開くと、中には真っ白い壁に囲まれた広い空間が広がっており、部屋の真ん中を檻で仕切られていた。

檻の向こう側には30体のオーガが、エサを見つけたという感じでリュートに飛びかかろうという雰囲気を出していた。


「準備はいいか?」


頭上の方から声がする。

部屋には2階部分があり、試験官や助けに入る冒険者はそこから様子を見ているようだ。


「ああ」


リュートがそう答えた瞬間、目の前の檻が崩壊し、砂になった。

オーガ達がすごい勢いでリュートに向かってくる。


リュートは、スライムを3分裂させて巨大化させ、6体ずつ相手をさせる。


今回はmp回復に割くスライムがいないため、勝負はリュートとスライムにかかっている【マスターエナジー】が切れるまでの3分間だ。効果が切れるとボコボコにやられるだろう。


mp回復用のスライムを分裂させておいてもいいのだが、そのスライムをオーガの大群から守り切れるかが定かではない。


リュートは12体のオーガを相手にする。


まずは正面から無防備に突っ込んできた3体を素早く処理する。

実際、【マスターエナジー】を使っている状態のリュートなら、オーガの4倍以上の素早さを持つので簡単に倒せる。


残りのオーガは驚いたような表情をし、今度は包囲するようにして襲いかかってくる。


「遅いな」


オーガのうち1体が棍棒を振り上げたタイミングで、しゃがみながら前へスライディングして包囲を抜け出すと、目の前にいた2体を背中側から屠る。


残ったオーガたちが慌ててリュートに襲いかかってくるが、包囲してこないオーガの処理はさらに簡単だ。

近くにいるオーガから順に1撃で倒していくと、あっという間に残りの7体も煙と化した。


その後、スライム達が相手をしていたオーガもサクサク処理した。

1グループにつき2、3体はスライムが倒していたし、1、2体は麻痺や毒にかかっていたので余裕だった。



なんとリュートは勇者でも苦労するという『オーガ千本ノック』を初挑戦ながら無傷でそれも1分半程度で終えてしまったのであった。


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