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スライムしかテイムできない男、スライム道を極め最強となる  作者: やまのうえのおくらん
第1章 学園入学を目指して
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犬耳娘と師匠の出会い

1話だけ犬耳娘のミリーちゃんのお話を挟みます。

「ハァハァハァ…」


犬耳の獣人、ミリーは森の中を走っていた。



ミリーは獣人の村で生まれた。その歴史からなのか村の人々は人間(種族としての意味)を敵視していた。


ミリーの順風満帆な日々に影が差したのは10歳のとき。獣人の村でも「運命の日」に、教会にて【役職】が授けられる。


そこでミリーが手にした【役職】は【農民】。肉を好むからなのかは不明だが獣人が【農民】になることはほとんどなく、そのためミリーの村には農業をする文化などなかった。


獣人なのに【農民】の職を得た。そんなミリーを家族や友人すらも気味悪がって避けるようになった。「人間の血が混じってるのでは?」なんて言われたりもし、巻き添えで誹謗中傷を受けた家族はミリーに当り散らした。


人間の血が混ざっているという事実はない。母親と同じベージュ色の髪と耳、尻尾を持ち、父親譲りの大きな緑色の目を持つことからも明らかだった。



そんなミリーに唯一優しくしてくれたおばあちゃんもミリーが11歳のときに病にかかり死んでしまった。


『辛くなったらすぐ逃げるんだよ。人間にもいい人はいるから、一か八か頼ってみればいい。』


それからしばらくして、おばあちゃんが生前残してくれたその言葉を信じて村を抜け出した。



村から追っ手が来るのが不安でミリーは必死に走っていた。実際はミリーがいなくなっても追いかけて来る人なんて村にはいないのだが。


どれくらい走っただろうか、気づけば森の中に入っていた。

(しまった!)とミリーは思った。森には危険な魔物が出ることがある上に、森の中にいると人に会える可能性は低い。


獣人特有の優れた五感を用いてゴブリンなどの魔物から命からがら逃げ回っていると、幸運にも2時間後、ミリーは森の出口らしき場所を見つけた。


(やった!森から出られる!)


そう喜んだのもつかの間、左斜め前方にオークの気配を察知した。


(そんな、もう少しなのに…)


散々走って体力を消耗していたミリーには逃げ切れるだけの体力は残っていなかった。オークはどんどん近くに寄ってくる。


「ひいっ!いやだ!助けてー!」


オークに捕まった女性の末路は耳にしたことがあるので、ミリーは必死に叫び声をあげる。叫び声をあげるたびにオークは笑っているように見えた。


オークの手がミリーに伸びてくる。


もうダメかと諦めたそのとき、オークの腕に何かが振り下ろされ、腕が切断されぽとりと落ちた。


「嬢ちゃん、大丈夫かい?」


筋骨隆々の男はそう言いながら痛がるオークの腹に蹴りを加え、手に持っている武器で頭をぶっ叩いた。

オークは煙と化し魔石が落ちる。


「た、助かった…」


呆然としていたミリーは、間一髪で助けてくれた男より、オークの腕をぶった斬ったその道具を見ていた。


なんとそれは農作業に使う鍬だった。


「あ、これか。俺は【役職】が【農民】で、魔物を倒すときはこれを使うんだよ。」


「…かっこいい。」


「え?」


「かっこいい!その武器!【農民】でも使えるんですね!」


農業をする文化がない獣人の村で生まれたミリーは鍬を見るのもこれが初めてだった。


「いや、これは普通は武器じゃなくて畑を耕す道具だ。俺にとっちゃ武器だけど…」


そう説明する男を見ながら、ミリーはおばあちゃんの言葉を思い出した。


『辛くなったらすぐ逃げるんだよ。人間にもいい人はいるから、一か八か頼ってみればいい。』


一か八か頼るのは今だと直感したミリーは土下座をしながらこう言った。


「師匠!弟子にしてください!お願いします!」


「いや、師匠て呼ぶのは弟子になってからだろ。」


「お願いします!お願いします!」


ツッコミを無視して地面に頭を擦り付けるミリーを見て、筋骨隆々の男、リュートの父親ロンダはやれやれといった感じでこう答えた。


「わかったよ、うちも息子が出て行ったばっかだし、面倒見てやるよ。」






ミリーが弟子になった翌日、なぜか畑の上でミリーを教えるロンダの姿があった。


「【農民】が戦えるようになるにはコツが要るんだ。」


「コツ?」


「ああ、【耕起】っていう畑を耕すスキルがあるんだがこいつのレベルが上がれば鍬での攻撃力も上がるんだ。」


「こうき?」


「そう、このスキルのレベルだが、魔物と戦っても上がることはない。畑をひたすら耕す、これが最も近道だ!」


「なるほど、よくわからないけど畑を耕すってのをやればいいんですね!」


「そうだ!まずは村中の畑を耕すんだ!」


「はい!頑張ります!」


こうして1年半にわたる訓練が始まったのだった。

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