プリン頭の勇者の誕生(おまけ)
ユキヒロとレイが召喚されたときの話です。
おまけ程度です。
「はあ」
自宅のベットの上でユキヒロはため息を吐いた。
大学生になって3ヶ月、大学デビューしてやろうと張り切って染めた金髪はいつの間にかプリン頭になっていた。
ユキヒロは友達が少なかった。
それが思春期の男の子にありがちなつまらないプライドのせいだと気付いた時にはもう遅く、周囲の人間はユキヒロから遠ざかっていた。
小中高一貫校の出身で人間関係をリセットできる機会すらなかった。
早くに両親を亡くしており、お金を出してくれている親戚に転校したいなどと言えるはずもなかった。
そんな中なんだかんだ構ってくれる妹のレイはユキヒロにとって天使のような存在だった。
妹のレイと一緒に通学できるという理由だけで一度も休むことなく学校に通い続けた。
しかし、大学ではそういう風にはいかない。妹離れをしなくては、そう思って気合を入れて金髪に髪を染めて大学デビューを試みたのだが…
当然、周りから煙たがられた。ユキヒロの気合いの入れ方は誰から見ても空回りしていたが、残念ながらそれを指摘するものはいなかったためだ。
レイも変わった兄のいつもの奇行くらいにしか思っていなかったのだ。
そういうわけでユキヒロは引きこもりになった。
いつものように今日は妹が帰ってくるまでどのようにして時間を潰そうか、そう思っていたとき急に視界が暗転した。
気がつけば真っ白な空間にいた。
「お!異世界召喚か?」
引きこもってその手のアニメをいつも見ていたユキヒロが喜びの声を上げると、いつの間にか目の前に立っていた神らしきおじいさんが答える。
「そうじゃ、話が早くて助かる。年齢は10歳になっておる。それでは、いってらっしゃい。」
「ちょっと待て!ここはチートとかもらう流れだろ!」
「そうじゃな、炎の聖剣召喚とか魔法とか鑑定とか適当に与えてある。あと、そのプリン頭の金色の部分と黒の部分の比率、髪が伸びても変わらないようにしてやる。では、いってらっしゃい。」
「いや、最後のいらねえよ。あと妹も一緒に呼んでくれよ。今妹と二人暮らしだから、っておい、聞いてんのか?待て、待ってくれよ!おい!じじい!おいいいいい」
こうして光に包まれたユキヒロはランザーク王国に召喚されていった。
召喚された直後、「妹もこの世界に呼んでくれないとこの場で死ぬ」と騒ぎ出した勇者に周りの人間は騒然となったのだが、神らしきおじいさんはちゃんとユキヒロの願いを聞き入れてくれていたらしい。
1分後には7歳まで若返ったレイが召喚されてきた。
こうして、歴史上初めて同時期に2人の勇者が召喚され、歴史上初めて、一生プリンヘア のままであるという”加護”を受けた勇者が誕生した。




