依頼
リュート達は貴族街にある個室のある店に入った。話の内容が漏れないようにするためだ。
ヘリウスが貴族であるので、貴族用の店にも入れる。
分厚そうな真っ白い壁には高そうな大きな額に入った絵が飾ってあった。
店員の接客も洗練されており、リュートとアイカは以前行った高級レストランを思い出していた。
「それで、今回王都に来た理由だが…」
リュート達と机を挟んで反対側の椅子に座ったヘリウスは早速口を開く。
「実は、うちの第三王女様が来年から王都の学園に通うことになってな。」
ソリリス連邦国とランザーク王国は、同盟国であり、その同盟の証として、王族を1人互いの王都に置いておくという習わしになっている。
王都にいる王族は人質としての役割も持つのだが、今のところかなり2つの国は仲が良好でありどちらも安心して王族を送り出しているらしい。
ランザーク王国の王都の学園はこの世界の中でもトップレベルの教育水準を誇るため、ソリリス連邦国から送られる王族は王都の学園に通うことが多い。
このとき、最低2人の護衛をつけるらしいのだが、王都の学園は部外者への立ち入りを普段は固く禁じており、必然的に同年代の貴族の子供が一緒に王都の学園を受験するそうだ。
「そういうわけでソリリス貴族の子供の中で、王女様と仲良くて同い年で前線での経験もある俺様に白羽の矢が経ったんだってさ。俺は前線の方が性に合ってるし、最初は乗り気じゃなかったんだけど…」
そう言ってヘリウスがリュート達を見た。
「お前らも行くんだろ!王都の学園!」
リュート達が頷くとヘリウスは嬉しそうな顔をした。
「お前らと一緒なら学園生活も退屈しない気がするんだよな!」
「ただリュートは一般試験だから頑張らなきゃね」
アイカが言うと、
「まあ、リュートなら問題ないわよ。私たちの中で一番強いんだから。」
レイが言った。
「そうか、勇者より強えのか!俺とも手合わせしてくれよ!」
「いや、そもそもレイは俺と手合わせしたことないだろ」
リュートが突っ込んだ。
そんな感じで楽しい時間が過ぎていったが、ヘリウスがふと思い出したように言った。
「そうだ、大事なこと言い忘れてた。それも2つも。ゲンコに刺さった針のことと、俺からお前らへの依頼のことだ。」
「「「依頼?」」」
針のことは話があると聞いていたけど、依頼の話は聞いてなかったのでそちらに食いつくと、
「そう、2週間後にうちの王女様を一緒に迎えに行って欲しいんだ。」
ヘリウスはそう言った。
2週間後には第3王女は、今年の3月まで王都の学園に通っていた第2王女と交代する形で王都に入るそうだ。
どうやら王女の受け入れ態勢を整え、護衛がしっかりできるように王都の地理などを把握するためにヘリウスは先に王都に来ていたようだ。
しかし、あまり外交的ではない第3王女は王都での生活を少し不安がっているという。そこで、王都の学園で一緒になるであろうリュート達に、一緒にソリリス連邦国の首都へ向かい、一足先に友達になって欲しいとのことだった。
リュート達は2つ返事で了承した。
「それであの紫の針のことだけど」
ヘリウスがそう言うと、大きな袋を渡してきた。
開くと、その中には大量の紙幣が入っていた。




