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45話 ラウラ、トラウマを抉られたのです。


「ラウラ!」

「なのです!」

「g…………」


 ラウラが燃焼玉を投げ込み、ドラゴンゾンビにとどめを刺す。


「今回も上手く行ったな」

「段々とパターン化してきたのです」

「これで30体目。他の方達が回っている事を考えると、もう数百体は倒しているでしょうかね?」

「しかも街以外の場所にも現れているそうね。一応家に籠もるように連絡はしていたそうだけど、既に何人かの被害が出ているらしいわ」

「ふふふ、殺りがいがあります♪」


 話していると──


『♪♫♬』


 咲からの着信が来た。


「夜様……オタクなる種族ですか? 確か愛の為にとお金を投資し、慈愛に生きる第六の種族──」

「その第六の種族は咲です。これは咲からの着信、分かりやすいから着メロを咲のハマっているアニソンにしているだけです」


 何やら誤解が生まれそうだったので即座に否定する。

 確か致命傷を受けても死なないが、その代わりに幼くなる人間の話だったか?

 しかもその物語の舞台じゃ人間も魔法が使えるらしい。

 羨ましい限りだ。


 まあ取り敢えず、電話に応答する。

 p──


「どうした咲?」

『あ、お兄ちゃん? 良かった……』

「ん、良かったって?」

『いや、とんでもない魔物を見つけたから無事かなって』

「とんでもない魔物?」

『うん、物凄く大きい竜。しかもその竜、透明化を使った立体眼(サードアイ)に気付いて、一瞬で壊されちゃった』


 透明化を使った立体眼(サードアイ)は、感覚拡張(スプレッドセンス)を使った俺でも見つけるのが難しい高性能な物だ。

 そして──


「物凄く大きい竜、か……」


 【災禍の竜(アスタロト)】、増え続けるドラゴンゾンビ──嫌な予感が頭をよぎる。


「咲、そいつの特徴は確認出来たか? 何でも良い」

『うーん……目が八つあったかな? 写真送るけど、画質悪いかも……』


 立体眼(サードアイ)で入手したデータは、何故か他の端末に送ると劣化するらしい。

 一度電話を切って、画像を確認する。

 近くにいたシャルが画面を覗き込んできた。


「うわ何これ、不気味ね……」

「…………」


 再びかけ直す。


「咲、映像を確認したい」

『何か気になった事でもあったの?』

「ああ、寮に行けば確認出来るか?」

『うん、大丈夫だよ。一階のホールで待ってるね』


 電話を切る。


「何かありましたか?」

「ああ、ドラゴンゾンビ大量発生の原因が分かったかもしれない」

「本当なのです!?」

「ああ、俺は確認の為に寮に戻るつもりだが、どうする?」

「勿論私も行くわ」


 シャルに賛同し、頷く三人。


「少し休憩と致しましょうか♪」


 そうして、俺達は寮へと戻った。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「あ、お兄ちゃん! えっと、そこにいる物凄く強いエルフさんは?」

「あれ、何でミーシャさんが強いと?」

「えーと、それはこの映像を見て頂ければ分かるかと」

「では自己紹介を、私はミーシャ・ヴァレンタイン。しがない普通のエルフでございます♪」

「その説明にはいささか無理があると思います……」


 まさかラウラと同じ事を数時間後に言う羽目になるとはな……


 ともかく、俺達は映像を見る事に。


「出来れば音声付きの方が良いと思うけど、今は夜中。ほとんどの人が寝てると思うのでこれを」


 咲が取り出したのは、線が異様に太い二十人用イヤホン。

 需要があるのかは分からないが、趣味で作ったらしい。

 ……需要、あったな。


 ノートパソコンに差し込み、皆でそれを取り囲む。

 イヤホンは片耳外しておく。

 咲の解説があった方が良いだろうという判断だ。

 無駄に長く映っているそうなので、所々飛ばしてくれるとか。助かる。



 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 映像はミーシャさんの戦いから、ドラゴンゾンビが空中都市の側面を降りて、下に作られていた巣の中心に入る前までいった。


「魔洞が沢山あったわね……」

「ああ……」

「…………」

「この後、注目です」


 巣の中心部に入る。

 そこには──

 

「【災禍の竜(アスタロト)】じゃない!?」

「ああ……というかシャル、知ってるのか?」

「ええ、画像でしか知らないけど。さっき見た時も似てると思ったけど、まさか本物とはね……」


 俺が『まものずかん』で見た画像と全く同じ存在が、そこには映っていた。


 ──【災禍の竜(アスタロト)】。

 戦争中に竜界を崩壊させた指定災害級の魔物が。


「あ……あぁ……!」

「ん、どうしたんだラウラ?」


災禍の竜(アスタロト)】を見てから、ラウラの様子がおかしい。


「ラウラ……?」






 ──ラウラの目から涙が溢れ出した。






「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! やめて、やめてやめてやめてやめてやめてやめて!!!!!!!」

「おい、おいラウラ!」

「ラウラちゃん!? 突然どうして──」

「お母様ぁぁあ!!! お父様ぁぁぁぁ!!! ラウラを、ラウラを置いていかないで、いかないで、欲しいのです…………!」

「ラウラ様に【災禍の竜(アスタロト)】をこれ以上見せては不味いです! 早く、早く映像をストップして下さい!」

「わ、分かりました!」


 急いで映像を止める咲。


「お兄、様……ラウラを、ラウラを置いて、いかないで……」


 涙を流したまま、何かを求めるように手を前に伸ばし続けるラウラ。

 俺は──


「大丈夫だ、ここにいる」


 その手を掴んで、何かと戦っているラウラの手を掴んでやる。

 事情を知らない俺には、手を握って安心させてやる事しか出来ない。


「あぁ、お兄様。いたのです……」


 何かに安心したラウラが、そのまま前に倒れてくるのを抱きとめる。

 寝息と「お兄様、ずっと一緒なのです……」という独り言が聞こえ始めた。

 俺は手を握ったまま、ラウラをソファーに寝かせた。


お兄様……いかないで………………

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