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42話 私、九尾になったので無双したいと思います。


「もう見つかったわね……」


 歩いてニ分もしない内に、次のドラゴンゾンビが見つかった。

 だがこのドラゴンゾンビは──


「エースドラゴンゾンビだな」

「エースまでいるのです……」


『まものずかん』で調べた魔物だ。

 エースドラゴンゾンビはドラゴンゾンビの亜種で、性能的には蘇生後のドラゴンゾンビと比べてもかなり強い。

 蘇生はしないが、いくつかのブレスと強固な鱗を利用した体当たりを使う。

 それを皆に説明する。


「ふむ……それなら大丈夫そうですね。次はシャル様月夜様ペアの実力を見せてください♪」

「分かりました!」

「大丈夫なんですか?」

「本当に不味くなりそうだったら私が入りますのでご安心を♪」

 

 シャル達の安全面は大丈夫そうだな。

 さ、ともかく退治だ。

 

「oooooooooo!」


 エースドラゴンゾンビもこちらに気付いたらしく、奇妙な叫び声を上げながらこちらに体当たりしてくる。

 それを──


「はぁっ!」


 シャルは大剣で弾き飛ばす。


「むっ!? 重いわね……」

「【八重桜】!」


 弾き飛んだエースドラゴンゾンビに、数多の刃が襲いかかる。

 だがあまり効いていなさそうだ。


「弱点を作らないと桜の追撃が活かしにくいわね……」

「面目ないです……」

「ならいつも通り、弱点を作るだけよ!」


 硬い体表にシャルの大剣で凹みを作り、そこに月夜の桜で追い打ちをかけるのがシャル達の戦い方だ。

 今回もそのパターンで攻めるらしい。


「oooooooooo!」


 次は爪による引き裂き攻撃。

 それを──


「うるさい!」


 回避し、すかさず間合いを詰めて横薙ぎに大剣を振るう。

 しかし──


「嘘っ!?」


 その横薙ぎを、エースドラゴンゾンビは後方に跳躍して躱した。

 魔物なのにスキがないな。


「月夜様の桜では威力が足りない。でもシャル様の大剣では躱されてしまう。お二方はどうやって対処するでしょうかね♪」

「ミーシャ殿は気楽なのです」

「私もそれなりに修羅場潜ってますから♪ それに、月夜様には何やら秘策があるみたいですよ?」

「秘策?」


 再び戦いに目を向ける。

 すると──


「シャルさん! 一分程時間を稼げますか!?」

「月夜……? ええ、大丈夫よ!」

「お願いします!」


 月夜は薙刀を鞘に収め、目を瞑る。

 そして右手の人差し指と中指を立て、それをおでこに当てる。

 

「月夜殿は何をしているのです?」

「さあ……」

「月夜様……まさか【百鬼夜行】(ひゃっきやこう)を使える様になっているとは……あれすんごい怖いんですよね」

「【百鬼夜行】?」

「見てのお楽しみです♪」


【百鬼夜行】が何かは分からないが、月夜の周りに薄い(もや)のような物が漂っているのが見える。


「ooooooooooo!」

「ブレスは回避っ!」


 その間、シャルはエースドラゴンゾンビの攻撃を躱し続ける。

 

「突進は弾く!」

「噛み付きは引いて反撃!」

「切り裂きは弾いて反撃!」

「ブレスは回避っ!」


 一つ一つ丁寧に対処し続け、ついにその時が来た。


「シャルさん、準備完了です!」

「分かったわ!」

 

 素早くシャルと位置を切り替える月夜。

 その月夜は──


「マジか……」


 尻尾が九つに別れていた。

 先程の薄い靄は金に変わり、神々しい雰囲気を身体に纏わせている。

 そして──


「【百鬼夜行】」


 青白い炎のような物が、ひょろひょろとエースドラゴンゾンビにぶつかる。

 すると──


「oo!? ooooooaaaa!!!」

「おかしくなってるのです!?」


 地面をのたうち回り、頭を鋭い爪で掻き毟るドラゴンゾンビ。

 血を吹き出しているにも関わらず、掻くのをやめる様子は無い。


「【百鬼夜行】はあらゆる恐怖を対象に与える技です。何でも独自の文化を持つ狐の獣人に伝わるオリジナル魔法だそうで」

「知ってるんですか?」

「はい。というか私、【百鬼夜行】食らったことありますから♪」

「「!?」」

「でもあの魔法、九尾状態になれる狐の獣人にしか使えないんですよね……はぁ、私も使いたかったです」


 ミーシャさんがとんでもない事を色々と言っていたが、取り敢えずそれはスルーしよう。

 

「九尾状態って……今の月夜の?」

「はい。狐の獣人は自分の魔力を代償に、一定時間無類の強さを発揮する事ができるのです。そしてその間にのみ使える魔法が【百鬼夜行】、そして──」

「【狐火(きつねび)】」


 月夜の周りに、小さな青白い炎が九個出現ずる。

 それらが当たると──


「o………………」


 青白い炎がエースドラゴンゾンビを燃やし尽くした。


「先程の【狐火】です。【狐火】は対象の恐怖を燃やします。つまり【百鬼夜行】による恐怖によって、【狐火】は威力を爆発的に上げます。いやー、輝夜ちゃんから【百鬼夜行】【狐火】コンボを食らった時は流石に死ぬかと思いました♪」

「輝夜ちゃんって……先生!?」


 ともかく、エースドラゴンゾンビは燃え尽きた。

 尻尾も元に戻り、ヘトヘトになった月夜を抱えてシャルが戻ってきた。


「二人共お疲れ様」

「お疲れ様なのです!」

「ぜぇ……ぜぇ……私これしか魔法使えなくて……しんどい……」

「お疲れ様です月夜様、シャル様♪ さ、次は私が倒しますよ。期待してて下さい♪」


 だそうだ。

 輝夜先生も一番の精鋭と言っていたし、俺も見てみたい。

 にしても輝夜先生とミーシャさんの間に、昔何があったのか……

 俺にはそれが気になって仕方なかった。


獣人はモチーフの動物によって遠距離戦が得意か近接戦が得意かが変わってきます。

例えばリンカやガイア達は狼で近距離戦闘が得意ですね。

一方、狐の月夜は桜や九尾状態による遠距離戦闘が得意です。

同じ狐の獣人である輝夜ですが、彼女は近接戦でS級のブラッドドラゴンゾンビを倒しています。

そんな彼女の遠距離戦、是非お楽しみに!

 

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