27話 私、桜の刃でお相手さんを倒します。
AnotherView:Tukuyo Sumeragi
舞台に降りると、そこには色々と痛そうな魔族の男性と試験官さんがいました。
私を見つけると、フッとわざとらしく笑って──
「貴様が俺の対戦相手か」
「はい、皇月夜です。あなたは?」
「今から死にゆくお前に名乗っても意味は無いだろうが……まあ、冥途の土産に教えてやろう」
私を殺したら失格ですよ?
「俺の名は紅蓮の──」
「始めっ!」
「ちょ!」
どうやら今回の試験官さんは真面目なようです。
お相手さんの名乗り(?)を無視して試合が始まってしまいましたね。
すかさず私は薙刀を構え、その柄に魔力を流します。
この武器はお母さんが私に作ってくれたもので、刀身が魔石で出来ているんです。
魔石で出来た武器は、柄に魔力を流し続ける事で刀身が光り、その切れ味を増す事が出来ます。
魔力を流し続けるから他の魔法は使えなくなっちゃうんですけどね。
この武器は魔力を流した時、刀身が薄桃色に光って、もっと魔力を込めると桜が舞うんです。
その桜だって、綺麗なだけじゃ無いんですよ!
魔石を武器にする際、その魔石が出来た場所によって、武器は性質を変えると言われています。
例えば火山で生まれた魔石なら、刀身は熱を発するでしょうし、海で生まれたなら刀身から水の刃を放つ事も出来るでしょうね。
そして、私の武器に使われた魔石は、一年中桜が咲き続ける私の故郷で生まれたものです。
──銘は【桜花】。
幼い頃から握り続けた、私の自慢の相棒です!
「その薙刀は……なるほど、貴様もかなりの使い手という訳か。ならば」
お相手さんは剣の刀身をなぞって──
「こちらも本気を出させてもらおうか。【属性付与】!」
剣の刀身に炎を宿しています、いわゆる魔法剣ですね。
魔石武器に魔力を流した時と効果自体は同じですが、簡単な金属で出来た武器だと、魔法による負荷に耐えられなくて壊れてしまいます。
それを考えると、お相手さんの武器も相当な代物なのでしょうね。
「私から参ります!」
薙刀の強みは長いリーチ。
相手に近付けさせず、一方的に攻撃を続けられる事だとお母さんは言っていました。
そのリーチを利用して、お相手さんに薙刀を振り下ろしますが──
「甘いな!」
剣で薙刀を弾き返されてしまいますが、弾かれた刀身をすぐに身体に戻し、今度は突き出しで攻撃。
でも、これも避けられてしまいます。
夜さんの剣ほど鋭くはないですが、私もお母さんに鍛えられてきましたし、それなりに強い自負は持っています。
こうも簡単に躱されてしまうとなると、桜を使った方が良さそうですね。
変わらず薙刀を振るいますが、お相手さんに弾かれる寸前に、私は更に多くの魔力を柄に注ぐ。
「……ん?」
それによって生まれた舞桜は──
「なっ!? 【物理防御】!」
数多の刃になって追撃を掛ける。
お相手さんが桜を防御している間に、私は薙刀を八方向に薙ぎ、更に舞桜を生み出していきます。
そして──
「【八重桜】!」
先の8倍の量の桜は、お相手さんの防御の外からも襲いかかる。
「防ぎ、きれぬ!」
「そこまで!」
試験官さんが防御魔法で私の攻撃を止めたと同時に、私は桜を霧散させます。
「勝者、2187番!」
「くっ……」
「ありがとうございました!」
お相手さんと試験官さんに頭を下げて、夜さん達の所に戻る事にします。
Tukuyo'sview end
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
月夜が勝利した後、ガイアとリンカも勝利を収め、二回戦は全員勝利。
最後の三回戦は、咲、月夜、ガイア、リンカの出番が最後に固まっていた為、俺は月夜の試合を見ている事にした。
薙刀の使い手は中々いないし、今後そういった相手と戦うときに参考になると思ったのもあるが、何よりあの桜が美しくて、もう一度見たいと思ったからだ。
ちなみに、月夜の対戦相手は二回戦目に俺と当たったラウラで、桜による攻撃が竜装を通らず、強引に近付いたラウラの竜腕による一撃でラウラの勝利となった。
咲とリンカは勝利し、全勝という結果になったが、ガイアは負けてしまったみたいだ。
なんでも──
「あのエルフはやべぇ。こっちの考えてる事を全部読まれてるみたいだった。もう二度と戦いたくないな」
くそぅ、被ってなかったらしっかりとガイアの試合を見れたのに。
そして──
『最後の試合だ! 2642と2001!』
最後の試合が始まる。
そして、俺はその最後の試合の当事者だ。
「じゃ、行ってくる」
「頑張って……」
リンカは眠たげな顔をしながらも、最後はしっかり見てると言ってくれた。
そんな彼女の期待に答えるためにも、しっかり頑張らないとな。
「あれ? 2001番って……」
「……月夜、知ってるの?」
「はい、二回戦目の試合見てたんですけど、すんごく大きい剣を器用に扱ってました。魔界に孤児院を建てて、角と尻尾が無い事で有名な魔族。確か名前は──」
「え、それってもしかして……!?」
「あぁそうそう、シャル・アストリアさんだ」
咲達が騒いでいるようだが、よく聞こえなかった。
そんな事より次の試合だ。
気を引き締めなければ。
私の八重桜ですが、数が多いだけで一つ一つの威力はそこまで高くありません。
もろに受けると切り傷だらけになっちゃいますが、竜装を貫通する程の威力はどう頑張っても出せませんよ。
一応決定打になりうる攻撃はあるのですが、それを使うとしばらくスキだらけになっちゃうので、1対1だと上手く使えません。
もし集団戦なんかがあれば、使う機会もあるかもしれませんね!





